ドキドキ  思いっきり体を崩している看護師たちと医師を見て、
柚香も真輝も、顔を見合わせて、
「…???」

柚香、看護師のひとりに、
「どうか…、したんですか…???」

その声に彩芽、困ったような笑顔で、
「あ…。はは…。ううん。なんでもないの。…うん。とにかく、柚香さん、見つかって良かった。はは。」
そして彩芽、松峰に、
「先生。」

松峰、
「あぁ。」
そして、
「あ~~ごめん。」
他の看護師に、
「戻っていいから。…また、何かあったら…お願いします。」

看護師たち、松峰に一礼をしてその場を…。

柚香は真輝と楽しそうに会話をしている。
まるで昨日の事は何処に行ったのか…???
それに陽織は…???

松峰、
「とにかく、熊沢先生に連絡を…。」

彩芽、
「あ、はい。」

「あっ。それと…。昨日の件で、一緒だった看護師は…、美祢君。石垣君だったね。」
「あ、はい。」

「彼女にも、一応、連絡は…、頼むよ。」
「あ、はい。」

そして松峰、
「あっと~~。それから~~。」

彩芽、声の前に、
「おばあちゃん。汀、幸乃さん。ですね。」

「あ~~、うん。頼むよ。」

彩芽、ニッコリと、
「分かりました。」

松峰、ふたりに近づいて、
「はは。それにしても、熱心だ。うん。…と、言う事は~~。柚香さんも、真輝君も…、同じ…???…大学は…。」
僅かに前屈みになりながら…。
「確か…。」

真輝が、
「慶稜です。」

柚香も、
「うん。…私が2年で、真輝君が3年。」

松峰、笑顔で、
「そっか~~。」

柚香、松峰に、
「先生。」

「うん…???…何かな…???」
「私って、いつ頃退院できるんですか…???…おばあちゃんからも、術後は順調だって、聞いてるんですけど…。」

その声に松峰、今度は口を尖らせて、
「うん。そうだね~~。確かに、それほど遠くない時期には退院、見込んではいるんだけど~~。…但し、こればっかりはね~~。検査結果で、間違いなし。後は自宅療養でOK。そういう紋所が手に入らないと。だね。」

その声に真輝も柚香もクスクスと…。

柚香、
「紋所って…、テレビの水戸黄門みたい。かかかか。」

真輝もその声に、そして柚香を見て笑いながら…。

松峰、
「…で…???真輝君は慶稜で専攻は…???」

「僕は機械工学です。」

柚香が、
「私は理工学。将来、天文に関する仕事に就きたくって。」

その声に松峰、
「おやおやおや。柚香さん、天文学、いいね~~。正に、宇宙~~。…と、言う事は…、星が好きなんだ~~。」

その声に柚香、ニッコリと、
「はい。小っちゃい頃に、おかあさんの実家の群馬で、星を見て以来、もぅ~~。星を見るのが大好き~~。」

「かかかかか。そぅか~~。ん~~。確かに…、東京では、あんまり…。う~~ん。群馬、星、奇麗だろうな~~。」
そこまで言って、今度は、
「じゃあ~~。真輝君は…、機械工学。」

真輝、
「あ、はい。」

また柚香、
「真輝君、凄いんだよ先生。」

松峰、
「ん~~~???」

「将来、車のエンジニアになるんだって。」

松峰、瞬間、体を…。腕組みして、背中だけ後ろに、
「おや。これまた凄い。エンジニア。へぇ~~~。いやいやいや。最近の大学生、凄い将来…。うんうんうん。先生も、見習わないと…。」

その頃、窪谷彩芽、ナースステーションの電話から熊沢と石垣、そして幸乃に電話を…。

3人、共に、開口一番、
「えっ…???…本当ですか…???」

そして…、幸乃だけは…。暫くの沈黙。…そして、ようやく、スマホに、
「わざわざ、ご連絡、ありがとうございました。私、これからそちらに向かいます。」
通話を切って幸乃、テーブルにうつ伏せ状態になり、
「柚香に…、戻った~~~。あ~~~。神様~~~。」

松峰、何とかスマホに連絡が来るまでは柚香と一緒にいたかった。
話の途中で真輝とは検査と言う事で別れている。

柚香、珍しく自分と一緒にいる医師に、
「先生、珍しいね。ずっと私たちと一緒だなんて…。しかも、今度は私と…。はは。」

そんな声に松峰、
「はは。そうだね~~。まっ。気晴らしと言う事で、たま~~には、いいかも。」

けれども柚香、僅かに顔を傾げて松峰を…。
「もしかして…、先生…???…私…、どっか、悪いトコ…???」
今度は意地悪そうな顔で医師を…。
「あったりして…???」

その声に松峰、車椅子の柚香に、見下ろすように、
「はっ…???」
そして顔を上げて、
「ひとつだけ。」

その声に柚香、
「テレビの相棒の、杉下右京みたい。ひとつだけ。な~~んて…。」

瞬間、松峰、
「かかかか。あんなに頭は良くないよ。それに…、先生は東大出でもない。」
そして松峰、再び、
「ひとつだけ。…もし、体に悪いとこがあるとしたら~~。」

柚香、車椅子の中から顔だけ左上に、
「あるとしたら~~。」

松峰、顔をグシャリとさせて体を躍らせながら、
「先生の方が、聞きたいよ。どこだ―――――ってね。」

LIBRA~リブラ~   vol,013.   昨日の事は何処に行ったのか…???

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Source: THMIS mama “お洒落の小部屋