ドキドキ 看護師が体温計を…。

そして…、
「うん。オッケー。大丈夫。…また、後でね。」

その瞬間、
「あの…。」

そこまで声に出たが…、思わず目が小刻みに…。

看護師、にこやかに、
「うん…???」
そして、
「ふふ。じゃあね。また。」

「あ。はい。」

看護師はドアに向かって、そして振り返って一礼をしてドアの外に。

2秒後、
「ちょっとちょっとちょっと~~。何々何…???…どういう事…???…私今、ここで、何してる…???…看護婦が来るって事自体、ここは病院。」
布団をバンと捲って、ベッド上で胡坐を掻いて。右手で髪を掻きながら…、
「何が何だか、分かんないんだけど…。…しかも…、生まれて初めて見る景色なんだ…よ…な…。…って言うか…。」
泣きそうな顔で、
「私…、今、何歳なんだよ~~。」
そして、ベッドのすぐ傍を見て、「…ん…???…車椅子…???…何で…、私がこれに…???」そして、またベッドの名前を見て、
「汀…柚香。」
目をキョロキョロとさせて、
「…もしかして…、お姉ちゃんに、何か…あった…???」
そして、拳を額に、顔をきつくグシャリとさせて、
「ん~~~~~。」
そして、
「か~~~~~。だめだ。全~~然っ、分かんない。」
また泣きそうな顔で、
「…だよな~~。実際、私、体が、こんなになっていること自体…。」
ぶすっとした顔で、
「有り得ないでしょ。」
口を尖らせたままで、
「記憶が…、な~~~い~~~。」

その時、一瞬、頭の中である衝撃が…。
「あっ、痛~~~~。」
激しく感じる激痛。
「痛った~~~~。」

凡そ数秒。けれども、その痛みも次第に和らぎ、
「ふ~~~~。何なんの、今の痛み。何か、カナヅチかなんかで頭をぶん殴られた感じ~~~。いやいやいや。…って、私、車椅子に乗んなきゃなんない病気…???…こんなに元気なのに…。」
そしてまた、ベッドの名前を見て、
「だから。私は、柚香じゃない。陽織。」
ベッドに端坐位になりスリッパを履いて、そしてゆっくりと歩いて窓に。
目に飛び込んでくる景色。
「すんご~~~。初めて見るわ、こんな景色~~。」
そこまで言って、
「…てか…。私、今まで、何処にいた…???」
病室の中を見渡し、そして、テーブルの上にある書物やノート。
そして床頭台にある、こちらも書物。
「ふん…???…何、この本…???…自然科学…。星座の誕生から…。…宇宙の…。天文学…。…はっ…???天文学って…???はっ…???…何…???…どういう事…???」
そして、ペラペラとページを繰ってはみるが…。バシッと、ページを閉じて、
「全く分からん。…って、言うか、お姉ちゃん、今、何歳…???」
そうこうしているうちに、歩いてドアに。その時、ふと頭に、
「あっ。」
すると体を後ろに、足をすりすりと…、車椅子に…。
「看護婦、言ってたよな~~。これからはもっと病室の外に…。…って事は、もしかして、この車椅子で…???…まっ。念のため…。」
車椅子に乗ってドアまで、そして静かにドアを開けて。廊下に。
「ヨシっと。」
そして、
「ふ~~ん。」

渡り廊下を通って、別棟に。数人の入院患者を見掛ける。
そして…。目の前には看護師が、自分を見てニッコリと。そして右手を振る。

そして、見えてきたのが、「ナースステーション。」
その瞬間、小声で、
「おっと、ヤバッ。」

と思った矢先に、後ろから、
「あら、柚香さん。」

声を掛けられ後ろを…。そして自分の前に姿を現す看護師。

「車椅子、頑張ってるね~~。」

その声に、思わず、何とか笑顔で、
「あははははは。はい。」

するとナースステーションから次々に看護師が…。
「あら~~。汀さ~~ん。」
「あは。柚香さ~~ん。」
「うんうんうん。元気、元気~~。」

そんな看護師の声に、頭の中で、
「…なんで、こうなる…???…って言うか…、ま。こう…なるか…。」

看護師のひとりが、
「うんうんうん。体、動けるようになった。いいぞぉ~~。」
他の看護師も頷いて、
「うんうんうん。」

その声に、
「あのぉ~~。私~~。」

「うん…???…どうしたの…???」

さっきの看護師。ネームを見ると、「石垣美祢(いしがきみね)」
頭の中で、
「…あ、病室に来た看護婦。」

石垣、
「うん。どうした~~???…病気の事以外なら…、なんでもいいよ。」

そんな風に言われて、思わず、どんな顔をすればいいのか迷い、
「あっ。あっ、あ~~~。ははは。ううん。なんでもありませ~~ん。もうちょっと、動いて、病室、戻りま~~す。」

その声に石垣、
「うん。じゃ、行ってらっしゃい。」

ゆっくりと動く車椅子。その中で、思わず顔を崩して…。
「とほほほほほ。言える訳ないじゃんよ~~。私は柚香じゃありません。陽織です。な~~んて。」
そこまで言って、
「…って、言うか~~~。私、ほんとに、どうなってんの~~。この体~~~。」

LIBRA~リブラ~   vol,004.   「私今、ここで、何してる…???」

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Source: THMIS mama “お洒落の小部屋