ドキドキ 柚香、思わず可笑しがりながら、
「何…???この偶然。かかかか。」

真輝も、
「いやいやいや。かかかか。…どうなってんだか…。今まで、全然…。…気づかなった~~。…って、言うか…。同じ階で、端と端…???」
笑いながら。

柚香、
「うんうんうん。そうだよ。」
そこまで言って…。けれども顔を傾げて…。
「ん~~。…でも、仕方ないかも…。」
廊下を見ながら、
「私、この病院来て、昨日、初めて車椅子に乗って病室の外、出たから。」

その声に真輝、
「あっ。そっか。はいはい。…で、昨日…、売店で…。」

柚香、その声に、
「あ~~。うんうんうん。そぅ。」

「そっか~~。…でも…。もしかして…、僕より早く、退院…???」
「ん~~。どうだろ…???…その辺の事は…先生と看護婦さんに…聞いてみないと…。おばあちゃんが言うには、そんなに長く入院する必要は、ないかも…って、言ってたけどね~~。」

真輝、そんな柚香にニッコリと、
「そっか。うん。」

そして柚香、真輝にニッコリと、
「うん。じゃ、私…、病室、戻るから…。」

真輝、
「うん。じゃまた…。」

そしてエレベーターに。

そこに…、30代後半くらいの男性。柚香の前でエレベーターのボタンを。
エレベーターのドアが開く。

「お嬢さん、ちょっとごめんなさいね~~。」
そう言って車椅子のハンドルを…。

柚香、思わず目をパチクリと、
「あっ、すみません。」

男性、車椅子を押して、エレベーターの中に…。
「何階ですか…???」

柚香、ペコリと頭を下げて、
「5階…です、けど…。」

「分かりました。」

そして、5階に…。

ドアが開き、また男性、車椅子のハンドルを、今度は引いて、エレベーターから出て、
「はい、どうぞ。」
そして男性、またエレベーターの中に。

柚香、エレベーターの男性にペコリとお辞儀を、
「ありがとうございました。」
そして顔を見た途端に、
「へっ!!!」

エレベーターの男性は閉まるドアから軽く右手を振る。

柚香、思わず目を真ん丸に、そして、両手で口を塞いで、
「え―――――――っ!!!うそうそうそ。松田龍平~~~っ!!!」
そこまで言って、
「いやいやいや。…んな訳ないでしょ。ここに、松田龍平…???…って言うか…。もしかして…、そっくりさん…???」
そして、
「わお。発~~~っ見~~~。いやいやいや。び~~~っくり~~。」

そして、病室に…。…だれもいない病室。

ベッドに車椅子を付けて、
「ヨッコイショ。」

僅か、30分の病室の外。

ベッドに入り、布団を…。そして、ポツリと…。
「そっか~~。…じゃ、同じ階に…、いるんだ~~彼。へぇ~~。…しかも…同じ大学って…、何…それ…???マジ…???…いるもんだね~~。」

何故か、さっきの事を思い出しながら自然に、うとうとと…。

…1時間は眠ったろうか…。…そして…、再び、目が覚めた。しかも、パチクリと…。
…ただ…。瞬間、顔が小刻みに左右に…。

開口一番、
「ここ、どこ…???」
そして体を動かし…、
「へっ…???…私…、なんでこんなとこにいる…???」
そして、身なりを見て、
「…で、パジャマだし…。なんで…???」
部屋の中をあちこちと、見ながら…。
「へっ…???…いやいやいや。ここ、何処よ…???」
瞬間、体を捩じってベッドを見る。…すると、ベッドの名札に、「汀柚香様」の文字。
「へっ…???…いやいやいや。汀柚香って…。私…、柚香じゃないし…。…ってか…。柚香って…???…もしかして…、お姉ちゃん…???」
そこまで言って顔を傾げて、
「えっ…???…って言うか、何々…???…どうなってる…???…私…???…え~~~~???…私…。私…、柚香じゃな~~い。陽織(ひおり)だよ~~~。」
嘆くように…。
…けれども…、自分の着ているもの。パジャマ、襟元に目を…。
そしてパジャマの中から自分の体を…。すると…。
「うそ…。私…、今、何歳…???」
そして、つい大声を出して、ベッド上で、
「えぇ~~~。どうなってる~~~???」

その声が廊下まで…。

近くにいた看護師が…、その声に…、
「???」

部屋に近づく。そしてドアをノック。

柚香…???…いや…。陽織…???瞬間、
「ヤバッ。」
いきなりベッドに…。そして布団を顔まで…。

ドアが開いて、看護師、
「汀さん。柚香さん、どうしました…???」

顔まで布団を被ったままで…。その中で、
「あっ。いえ…。いや…。な…、なんでもありませ~~ん。」
そこまで言って、柚香…???…いや…。陽織…???小声で、
「何…???…って、ここ…、病院…???…なんで…???」

看護師が、
「戻ってきてたのね。うんうん。まっ。これからは…、出来るだけ、病室の外、出てみようっか。その方が、体にはいいかも…。」

布団の中で、
「だから…、私は、なんでここにいるんだっつぅの。訳分かんないし…。」

そして看護師、布団の上から、トントンと。

仕方なく…布団を…。柚香…???陽織…???…自分で捲って…。
「はい。」

「お熱…、計らせてくれるかな…。」

「あ、あ~~。はぃ。」
頭の中で、
「…もぅ~~。何にも言えないじゃん。」

LIBRA~リブラ~   vol,004. 「初めて車椅子に乗って病室の外、出たから。」

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※ご本人の承認の下、紹介させて頂いております。

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Source: THMIS mama “お洒落の小部屋