ドキドキ その声に柚香、
「機械工学と電気工学の本…。…って、凄い。難しそう〜〜。」

男性、目の前の女性にニッコリと、
「はは。」
そして、僅かに顔を傾げて、
「そぅ…かも、知れないね。」

柚香、男性の傍に置いてある電気工学の本に目を。
「何か、凄い。何か…こぅ〜〜。エンジニアって感じで…。」

その声に男性、思わず、
「そう、それ。僕…、エンジニアになりたくって。」

瞬間、柚香、
「へっ…???うそ…???」

男性、ニッコリと、
「うんうんうん。そう。エンジニア。自動車のね〜〜。」

柚香、男性を見てニッコリと、
「へぇ〜〜。そうなんだ〜〜。自動車のエンジニア〜〜。はは。なんか、凄い。」

「だから勉強中。」

柚香、まだ本を見ながら、
「凄っ。頭…、良さそう〜〜。」

その声に男性、
「えへぇ〜〜〜???」

「だって…。エンジニアって、聞いただけで、凄いって思っちゃう。」

男性、顔を空に、
「ん〜〜〜。そんな…感じ…なのかな…???…元々、僕って、車、好きだったから…。子供の頃からの夢…。」
 

「へっ…???…そうなんだ…???」
「うん。親戚のおじさんから子供の頃は良く、カーレース観に連れてかれて、それからだよね。」
 

「…と、言う事は、君のその…、親戚の叔父さんも…、車好き…。」
「うん。そう。ヤマセ自動車って知ってる…???」

「あぁ、うん。自動車メーカー。知ってる〜〜。」
そこまで言って柚香、男性を見て、
「へっ…???…もしかして…、ヤマセ自動車の…???」

男性コクリと頭を、
「うん。エンジニア、してる。」

瞬間、柚香、目を真ん丸に、
「すんごぉ〜〜〜。へぇ〜〜。凄いんだね〜〜。…エンジニアか〜〜。機械工学…。そして…電気工学。」
そう言いながら柚香、いきなり口からブルルルル。顔を左右に、
「私には、全く、未知の分野だわ。難し過ぎて…。」

そんな女性を見て男性、ニッコリと。
「はは。」

その時、柚香、いきなり気付いて、
「あっ。いきなり私。ごめんなさい。」
思わず恥ずかしそうに、
「汀…、柚香って言います。」

男性、女性を見て、
「みぎわ…、ゆずか…さん。」
そして男性、
「あっ。…僕は…。勝巳真輝(かつみまき)。」

柚香、
「かつみ…、まき…さん。」

男性、いきなり、
「はは。…さんはいいよ。…そんな…。社会人でも、ないから。」

「へっ…???」
「都内の…、大学に通ってる。大学生。」

「わお。大学生なんだ。」
キョトンとして柚香。
「へぇ〜〜。…じゃあ、私と同じ。大学生。」

「君も…???」
真輝、
「大学…。生…。」

柚香、
「うん。慶稜(けいりょう)大学、2年。」

一瞬、真輝、
「うそ。…へっ…???」

柚香、
「うん…???」
顔を傾げて…。

真輝、そんな柚香に、
「いやいやいや。…って…。はは。僕も、その…慶稜(けいりょう)大学。…3年だけど…。」

瞬間、柚香、
「うそ。私と同じ大学…???…えへ…???」

真輝、ニコニコしながら、
「いやいやいや。まさか…。ここで同じ大学の人と会うなんて…。…って言うか。」
顔を傾げて、
「いや〜〜。まさか…。…でも…。何々…???…全然。全く、会った事もない。」

柚香も真輝の顔を見て、
「私も〜〜。慶稜に、2年もいるけど…。うんうん。確かに。一度も会った事、ない。」

真輝、
「まっ。専攻も違うから…、かも…、知れないけど…。僕は…、機械工学科。」
そこまで言って、
「君は…???」

「あん。」
柚香、
「私は…、理工学部。」

「理工学部…。」
「うん。私…、星を見るのが好きなの。」

その声に真輝、
「へぇ〜〜〜。…と、言う事は…、もしかして…、天文学…???」

「うん。」
頷いて柚香。
「だから…、私…。…将来、星に関する仕事に就けたらって…思って…。」

「いやいやいや。すげぇ。」
そしてニッコリと、
「なんか…。凄い。完璧に…、宇宙って感じ…。スケール、あるねぇ〜〜。」

そんな風に言われて柚香、何とも照れ臭そうに、
「…そぅ…かなぁ〜〜。」
真輝を見て、
「…でも、はは。うん。ありがと。そんな風に言ってくれて…。」

真輝、ニッコリと、
「はは。」

「あっ。私…、もぅ、戻らなくっちゃ。」
舌をチロリと出して。
「看護婦さんに、怒られちゃう。」

真輝、そんな柚香に、
「体…、何処が悪いの…???」

その声に柚香、空を見て、
「え…っと〜〜。私…、元々、事故でここに来て…。交通事故ね。車に、撥ねられちゃって…。」

いきなり真輝、
「わっちゃ〜〜。」

「…で、全身打撲。特に、頭、強く打ったらしい。足にも…、ひびが入ったみたいで…。ただ…、後々、血液がどうとか…で…。最初は、脳神経外科…。…でぇ〜〜。今は…、循環器の…方…???」

思わず真輝、目をパチクリとさせて…。
「…って…???…僕と同じ病棟…???」

その声に柚香も目をパチクリさせて、
「はい…???」

「病室は…???」

柚香、
「私…、521。」

真輝、
「僕…、530。」

柚香、口を開けて、
「わお。」

LIBRA~リブラ~   vol,003.   その声に柚香、「機械工学と電気工学の本…。」   

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Source: THMIS mama “お洒落の小部屋