イギリスには職業により割引を受けられる場合がある。
その代表とも言えるものは、やはりNHSである。
医療従事者に与えられるこの割引カードであるが、数年前から現場で困る問題が起きた。
同じく医療従事者も持っている「ブルーライトカード」と呼ばれるものである。
ブルーライトカードなら割引をする事になっていたのであるが、医療従事者以外の職業でもダウンロード一つで購入できる事から、保持者が急激に増えた。
これにより、本社から「 NHSの割引可能。ブルーライトカードは割引廃止」となった。
その為、NHSとロゴが入った証明書の提示が無い限りはレジにて割引が出来ない決まりとなった。
が、今までの流れからブルーライトカード保持者は必ずどこでも割引を受けてこれた流れ上、これが問題となった。
レジでブルーライトカード保持者は必ず割引を求めるが、この本社が出した新たなルールを伝えると、まず半分の客は気分を害した顔になるか怒鳴る時もある。
というのも、ブルーライトカード保持者は必ずしも NHSカードを持っていないからである。
そこで本社の人間に聞いてみた。
がしかし、本社の人間は「とにかく給料明細でも良いので、その人が NHSから給与を貰っている、つまり働いている証明を見せてもらえ」というばかり。
スタッフは時にブルーライトカード保持者に対し説明するのを怖がる始末であった。
そこで、私はかねてからの友人とランチに行った歳に聞いてみた。
友人は精神科医であるからイギリスにおいては医療従事者であり、NHSカードを保持しているが、加えてブルーライトカードも保持している。
まず、何故2種類持っているのか聞いた。
医者、ナース、それに相当する職業人がNHSカードを持ち、それ以外で一定の職業に該当する人ならブルーライトカードの申請ができる。
NHSカードは紛失したら大変なので持ち歩きは禁じられているが、顔写真入りの証明書は携帯電話内での持ち歩きのみ許可されているらしい。
その為、紛失してもあまり大変な事にはならないブルーライトカードを常に保有して歩き、NHS証明が必要な際は携帯を見せるとのことだった。
ブルーライトカードでも99%の店舗は割引が有効かつ割引率は同じである為に、皆そうしていると教えてくれた。
で、私はブルーライトカードとNHSカードちゅうもんは同じなのかと聞いた。
何故なら99%の客はそう言うからである。
友人は「違う」と言った。
あくまでもブルーライトカードはブルーライトカードを申請出来る職業にある人のみで、NHSはつまり国民健康保険サービスで働く人のみ保持できる証明カードだと。
しかしブルーライトカードを持つ客は「ブルーライトカードはNHSカードだ」と怒る、怒鳴る。
と友人に言うと「違う」と言った。
友人は「医療従事者なら携帯にIDを持っているから、怒らず見せられるはず」だと言った。
確かにNHSカードの提示を求めると、ムッとした顔はするが、携帯から証明を見せてくれる。
携帯に証明なんか無い、だってブルーライトカードはNHSカードだからと怒り出す客は必ずNHSの名前が入ったものを携帯にも保持していない。
私は現役医師の友人に説明され、初めて違う事の納得が行った。
が、厄介なのは「同じ」だと怒り怒鳴る客である。
レジにて違うと説明しても「同じ」だと言う。
友人曰く「 NHSカードはあくまでも指定された職業の人のみ」だと言う。
ほぼ毎日、これで客から怒りを買う我が職場。
何とかしてくれと本社に頼んで数年経過…
たまらん…
Source: イギリス毒舌日記