凡そ、そんな雰囲気の虎一郎、1週間が過ぎた。
いい加減に堪忍袋の緒が切れた輪湖、いきなり虎一郎に、
「いい加減にしろっ!!!」
そして、
「生きてんのか死んでんのかどっちっ!!!」
その声に秀美も葉子も、いきなりビクンとして。
匡子は、
「おっと〜〜〜。」
佐武郎も心配そうに…。
そして輪湖、虎一郎の頭を左手でペン。
「なんなのよ〜〜。」
けれども虎一郎は、へたれた顔をして…、
「は…ぁ…。」
輪湖、
「おぃ。そっちがそんなだと、こっちにも伝染してくるじゃない。どうにかしてよ、もぅ〜〜〜。」
匡子、
「コイっちゃん。みんな、心配してんのよ。何か、あった…???…みんな…、聞くよ。」
葉子、ポツリと、
「コイチ〜〜。いい加減にしてよ〜〜。」
秀美も、
「コイチさん…。」
虎一郎、そんな面々に、また溜息で、
「はぁ…。」
いきなり輪湖、
「あんたねぇ。」
佐武郎が思わず、
「輪湖さん。」
輪湖を制するように。
輪湖、思わず目をパチクリと、
「へっ…???…サブちゃん…。」
秀美も葉子も、
「佐武郎さん…。」
「サブちゃん、喋った…。」
目をキョトンと。
匡子は、そんな佐武郎を見て、ニッコリと、
「ふふ。」
佐武郎、虎一郎を見て、
「コイチさん。…もしかして…。中途採用の女性に…。告白…された…、とか…。」
瞬間、輪湖も秀美も匡子も、
「え————————っ!!!」
葉子だけは、目を真ん丸に、
「うそ…。」
虎一郎、まるっきり、覇気のない声で…。
「なんだ…。サブちゃん、分かってたんだ。」
その声に再び輪湖も秀美も、匡子すらも、
「え…、えぇ————————っ!!!」
葉子、ポツリと、
「有り得ないでしょ。」
輪湖、虎一郎に、
「何々何、コイチ…???…あんた、まさか…???…中途採用の…、その女子から…、告白…されたって…。ねね。ほんとなの…???…ねね。」
虎一郎、虚ろな目で、
「勘弁してくれ〜〜〜。どうしたって…。体質的に…、無理〜〜〜。」
輪湖も秀美も、
「マジ…。」
葉子、口をグンニャリとさせて、
「ふ〜〜〜ん。参ったね、こりゃ。」
「…って言うか…。佐武郎さん。」
秀美、思わず佐武郎をポカ〜〜ンと、見て…。
匡子、そんな秀美に、
「おんや〜〜。秀美ちゃん。」
秀美、そんな匡子の声に、
「あ。あ…、いえ…。初めて佐武郎さんの声…。聞いたと思って…。」
途端に匡子、肩をガクンと…。
「あ・は…。はは、そっち…???」
秀美、
「…でも、佐武郎さん、凄い。コイチさんの事…。」
輪湖も、
「うんうんうん。」
そして、
「何、あんた。ほんと…???…告られた…???」
両腕に顔を埋もれさせている虎一郎、
「だから…???」
「だから…って…。あんたね〜〜。私ら、あんたのそんなの、見たくないって言ってんのっ。」
すると虎一郎、蹲ったまま、
「仕方ねぇじゃん。何言っても、まるっきし、効果ねぇんだもん。」
その声に輪湖、
「はぁ〜〜ぁあ…???…どういう意味よ、それ〜〜???」
「なんでもねぇよ〜〜。」
まだ蹲っている虎一郎を今度は輪湖、右脇に左手を入れて、グィっと。
「そんなあんたを見て、心配になれない訳、ないでしょ。このぉ〜〜。」
途端に虎一郎、
「痛てててててて。」
「ハッキリしろ—————っ!!!」
何とか体を起こした虎一郎、不貞腐れた顔で…。
そこにドアが…。
海江田と美知佳。
「部長、どうぞ。」
「ありがとう。」
そしてカウンターに。
「おっと。コイっちゃん。」
「あら、佐賀美君。」
輪湖、
「はい。ナイスタイミングでみんな、揃ったよ。」
海江田、葉子と匡子を見て、
「ナ…、ナイス…、タイミング…???」
美知佳も、
「うん…???」
葉子、
「コイチ…、営業の、その…中途採用の女性に、告られたんですって。」
瞬間、獏、目を真ん丸に、
「うそ。」
美知佳は、
「えぇ〜〜〜ぇえ…???」
獏、
「マジかぁ〜〜〜。彼女、40だぞ。」
その瞬間、獏、目をキョロキョロと、
「あ。いや…。失礼。」
虎一郎、ゆっくりと深呼吸。そして、鼻を啜って。
「は…ぁ…。」
口をへの字にして、
「あのね…。あの人…。営業に来て…、1週間…かな…???」
輪湖、
「うん。」
「なんだか…。妙に気になる…ような…。」
「何…???」
「…いや…、俺の気のせいかな…と、最初は思ったよ。なんか…。いつも、顔合わせると、ニッコリと…。笑顔…って言うか…。…って言うか…。内心。ちょっと…、勘弁してくれって…。」
「いやいやいや。あんた…、それ…、女性蔑視。その人に失礼でしょ。」
「…って言うかさぁ〜〜。おま…、輪湖とさ、秀美ちゃんとさ、葉子…。いつも3人の顔見ていて、その…、あの人と…一緒には…、さすがに…。勘弁してくれって…。」
匡子、
「かかかか。確かに、3人、共に、美人さんだからね〜〜。」
葉子、
「匡子さん。」
瞬間、匡子、目をパチクリと、
「すみません。」
輪湖、
「…って…、どういう人よ…。」
虎一郎、
「どういう人よって…。」
体を僅かに後ろに、
「課長〜〜。」
海江田、その声に、
「ん〜〜???…ふ〜〜ん。どういう…人…???」
こんな私です。〜選葉子(すぐりようこ)〜 vol,238. 「生きてんのか死んでんのかどっちっ!!!」
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Source: THMIS mama “お洒落の小部屋