ドキドキ 午前7時20分。飛行機は予定通りアメリカ、シカゴ、オヘア国際空港に。

葉子、あちらこちら、見渡しながら獏に、
「朝…、なんだよね~~。」

そんな葉子に獏、
「あぁ…。日本とは、15時間の時差があるから…。」

そして荷物を確認して、税関に…。到着ロビーへと…。

獏、
「時差ぼけ…、大丈夫…かなぁ~~???」
葉子に、ニッコリと…。

そんな獏に葉子、顔を傾げて、
「分かんないよ。初めてだし…。」

「確かに。」

そして…。

こちらは腕時計を気にしながら、今か今かと首を長くして待っているひとり男性。
腕組みをしたり、辺りを気にしたり、左手で頬を撫でたり…。
今度は右手人差し指と親指で顎を…。そして下唇をビロンと。そして、
「フゥ~~。」
そして…、一点だけに集中して…。
ようやく見えてきたひとりの男性に目が留まる。思わず右手を高く振りかざし、
「ヘィ、バク~~~~。」
甲高い声。

その声に気付いたかのように声のする方に顔を、そして目を。
「はは、ローガン。」
獏。

ローガンが見る久しぶりの獏。
…けれども、その隣で歩いている女性を目にした時、いきなりローガン、
「…ア…メージング。…オーマイガッ。」
そして、口の中の物を飲み込んで…。
僅かに小鼻が赤く。いきなり目に涙が…。
「ナンシー…。」

自分の下に近づいてくるふたりの男女。

茫然としながらそのまま立ち尽くしているローガンに獏、
「ヘィ、ローガン。」

その声に、気付かないローガン。ローガンはただ、ただ、目の前の女性を見ている。

獏、今度は大きな声で、
「ヘィ、ローガン…???」

その声でローガン、いきなりビクンと。
「ワッ!!!」
顔を小刻みに揺らして声の主を…。

獏、ニヒルに、
「ローガン…???」

その声でようやく我に戻ったローガン。そして獏を見るなりニッコリと、
「ハイ、バク~~~。」

獏、そんなローガンにニッコリと…。そして握手を求める。
「ご無沙汰。」

ふたりは握手をして…。

ローガンも、獏の手を握り、
「久し振り。元気だった…???」

「勿論。」
そして獏、女性を紹介する。
「ローガン、見ていて驚いたと思うが…、紹介するよ。こちら、選葉子さん。」

全て英語の会話に葉子、瞬間、
「…アメリカ…。来たんだ~~。」

ローガン、女性を見て、顔をまた小刻みに揺らして…。
そして…、また目に涙を…。唇は硬く噤んだまま。
そして目は赤く。思わず鼻に右手指を…。
「ハハ。何てこったい。…まさか…。まさか…。」
目に溜まった涙は溢れて頬を伝っていた。

獏、そんなローガンを見て、
「ローガン。」

ローガン、僅かにまた呆然と…。
そして、今度は左手で口を塞ぎ、今度は両手で顔全体を…。涙を拭うかのように。

僅かに5秒ほど…。

そして…、ようやく…。
「アハ。」
そして、
「ハッ。」
咳払い。けれども、涙はまた出てくる。
でも、出て来る涙をそのままにして、目の前の女性に、丁寧にお辞儀をして、
「す…、すみません。恥ずかしいところを、お目に掛けて…。」

葉子、ポツリと呟く。英語で、
「とんでもない。初めまして、選葉子と申します。」

ローガン、その声に、ニッコリと、
「選葉子さん。」
そして…。
「信じられない。」
次の言葉が…、
「ナンシーが、生きてる。」

葉子、
「ローガンさん。話は…、獏から、聞いてます。」

その声に獏、
「わお。葉子、英語…、や~~るじゃん。…しかも…。」

ローガン、まだまだ零れる涙、
「声までそっくり。」

確かに。日本語で喋る葉子と、英語で喋る葉子のイントネーションが、
僅かに異なり、英語の葉子は正に、ナンシー・フレデリックの声のままなのだった。

まだまだ興奮冷めやらぬままにローガン。
目の前の選葉子と言う女性に、自分の右手を差し出す…が…。
すぐさま右手をズボンのポケットに。そして両手をハンカチで懸命に拭いながらも…。
それでも、申し訳なさそうに、葉子に右手を…。涙で濡れた手で…。
それでも…、ハンカチで拭ってはみたが…。

でも葉子、右手をそのまま目の前の男性に。
ローガン、葉子と握手。

ローガン、ニッコリと、
「ありがとう。」

葉子、
「どういたしまして。」

ローガン、笑顔で…。そして、
「ヒュ~~~。何て良い日なんだ。…じゃ、行きましょうか。」

葉子の手が掛けられているキャリアケースを、
「これは、私が。」

葉子、
「センキュ~~。」

獏、
「おぅ。」

歩きながらあれこれと話すローガンと獏。そして、時に葉子と…。

けれどもローガン、葉子の話す英語に感服。
「英語、上手ですね~~。」

獏、そんなローガンに、
「もしかすると…。英語以外に、フランス語も、中国語も、イタリア語も…、話せるかも…知れない。頭脳明晰。」

その声にローガン、ビックリして、
「うそだろ…???」

いきなり葉子、獏に、
「何をバカな事を言って~~。」

獏、ローガンに、
「そぅ~申しております。」

ローガン、ニッコリと、
「ハ~~ッハハハ~~。」

こんな私です。〜選葉子(すぐりようこ)〜   vol,230.   アメリカ、シカゴ、オヘア国際空港に。

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Source: THMIS mama “お洒落の小部屋