ドキドキ 立見席の方からゲストたち、カウンターに寄り、通に握手をしてから出て行く。
そんな通も、いよいよカウンターを出てゲストひとりひとりとハグ。
そして握手をしながら…。

ゲストのそれぞれが、みな口々に、
「凄い物、観させてもらったよ、大興奮だ、こりゃ。はは。またよろしく~~。」

始終笑顔でゲストたちを送り出す通。

多くのゲストたちが帰り、陣屋、財務企画の社員たちにも、
自分たちが葉子を見ているからと…。
節や佐智たちも帰っていく。都沢も海江田に挨拶をして。
海江田、都沢の肩をトントンと叩いて。

残ったのは、カウンターのすぐ近くのテーブル席。
まだ輪湖に抱き抱えられて葉子は眠っている。

そんな輪湖の隣には秀美と虎一郎。そして海江田。
陣屋は立ったままで葉子の頭を優しく撫でながら…。
蔵井氏はカウンターの椅子に。その隣に紫。そして椅子をひとつ開けての美知佳。

カウンターの一番端には愛莉。そんな愛莉の前、カウンターの中で愛生。

通、海江田を見て、
「バクちゃんよ~~。かかかか。やってくれたんじゃない~~。ん~~~???」

そんな通の声に獏、頭を掻きながら、
「あっ。はははは。いや~~。」

匡子、
「うう~~ん、素敵だったぞ、この~~。」
そして美知佳を見て。

美知佳、その声にこっくりと頷き、海江田に左手をまっすぐに。そして親指を突き出して、
「イェ~~イ。」

「しっかし…、ぐっすりと眠ってやがんな葉子。」
虎一郎。

輪湖、
「うん。多分、相当疲れてる。」
葉子の右肩から肘まで優しく撫でながら、
「今まで、葉子があんな風に踊れるなんて…、有り得なかったから…。一切、感情、表に出さないんだよ。当然、体なんて、動くはずがない。」
そして輪湖、海江田に、
「課長…。…もしかして…。また…、蝶…???」

その声に陣屋、蔵井氏、紫、そして通、
「蝶…???」

「…って、うそ。…また…???」
虎一郎。

陣屋、蔵井氏、紫も通も、
「えっ…???…またって…???」
顔を見合わせて…。

匡子、
「実は、最近、ヨウちゃんも輪湖も、コイチっちゃんも、それに、獏も、不思議な体験してるのよ。」

陣屋、
「不思議な…。」
そして紫と共に、
「体験…???」

蔵井氏、
「おやおや。」

匡子、
「最初は輪湖のインフルから始まって、次にコイチっちゃん。そして、獏とヨウちゃん。それぞれの体験に、蝶が出てくる。」

いきなり蔵井氏、
「はっ…???」

陣屋も紫も、通も、愛生も、
「蝶…???」

愛莉、顔を傾げて…。

輪湖、
「うん。蝶。」

陣屋、
「蝶…って…???…何なの…、それ…???」

「でも…。その蝶って…、実は、葉子、生まれる前からおかあさんやおとうさんには聞いてたんだって。」

虎一郎、
「えっ…???うそ。」

匡子、
「そうみたいね~~。」

陣屋、匡子に、
「どう…いぅ…???」

匡子、まだ蝶の話を知らない通と陣屋、そして蔵井氏と紫、愛生に話して聞かせる。

陣屋、
「へぇ~~。そんな事が…。」

蔵井氏、
「あったんですか~~。…それで…、蝶…。」
そこで蔵井氏、
「あっ、いや…。それは、うんうんうん。ともかく…ですけど…。…何ゆえに…。海江田課長までも…???」

その声に匡子、思わず顔を傾げて…。
「それは…、ん~~。こぅなると…、多分…、奇跡と…しか…、考えられない…かな~~。」

匡子に美知佳も、
「うんうんうん。確かに、ミラクルねぇ~~。」

陣屋、
「…って、美知佳、あんたも…、何、…???…話…、知ってるの~~。」

美知佳、陣屋に、唇を丸く。

匡子、陣屋に、
「はは。陣屋部長、実は松樹部長、東京来て、すぐにお腹を満たそうと入ったお店が、私の店でして…。その時からご贔屓に~~~。」

その声に陣屋、
「へっ…???…そうだったの~~???」

美知佳、
「ふん。そうしたら~~。お店には、既にみんながいるから…。選さんに、館城さん、佐賀美君に鮎川さん。それに、海江田課長。」

紫、
「わお。」

蔵井氏、
「いやいやいや。これは、これは…。」

通、
「ほっほっほ~~。な~~るほどね~~。…で、肝心のバクちゃん。…その…。蝶との因果関係…。は…???…匡ちゃん。」

匡子、
「あん。…実はね。」
チラリと獏を見て…。
「話しちゃうよ~~。もぅ。こうなったら…。」

獏、そんな匡子に、
「いやいやいや。…って言うか、輪湖ちゃんも、秀美ちゃんもコイチっちゃんも、松樹部長だって、知ってるんだから…。…今更…。」

途端に陣屋と紫、
「は、あ~~~???」
そしてふたり共に、美知佳を見て…、ジロリと…。

瞬間、美知佳、目を丸く、口をオチョボ口に、
「いやいやいやいや。私は、まま、事の成り行きで…。…って言うか、あの状況…。どうしようも…ないよね~~。私たちも。驚いたから…。ねぇ…、館城さん。」

その声に輪湖、苦笑いをして、
「あ…。…はい。」

陣屋、
「はぁ~~???…一体、何がどうなってる…???」

こんな私です。〜選葉子(すぐりようこ)〜   vol,223.   始終笑顔でゲストたちを送り出す通。

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庄司紗千「海をこえて」
※ご本人の承認の下、紹介させて頂いております。

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Source: THMIS mama “お洒落の小部屋