ドキドキ 匡子の声を聞いて由佳理、いきなり、
「うそ――――っ!!!」
瞬間、椅子から立ち上がり、
「うそうそうそ。」
小走りに廊下を…。そしてドアをコンコンと。ドアを開いて、
「稜平っ。おとうさん。」

稜平、いきなりの由佳理に、椅子からドアに振り向いて、
「どうしたの、いきなり~~。」

由佳理、慌てふためいたように、
「葉子、葉子、葉子~~。」
スマホを持ちながら…。

そんな声を聞きながらの匡子、スマホを耳にしたままで獏に、
「ははは、慌ててるよ、由佳理さん。」

獏、そんな匡子を見て、
「ふふん。」

稜平、由佳理に、
「かあさん。かあさん。ちょっと、落ち着いて。」

由佳理、余りの興奮状態に、顔のあちらこちらに手をやり、
稜平の座っている椅子の背もたれに左手でパンパンと叩いてみたり。
「あん。どうしよう~~。葉子、葉子、葉子なのよ~~。」

稜平、
「だから~~。」
そして椅子から立ち上がり、由佳理をそっと抱き締めて、
「どぅどぅどぅ~~。落ち着く。落ち着く~~。」

稜平に抱かれながら由佳理、稜平の胸に顔を埋めて…。

稜平、そんな由佳理の頭に顎を…。そして、
「…で…???…葉子が…、どうした…???」

瞬間、由佳理、
「あっ。」
由佳理、スマホを持って、稜平の前に、
「葉子が、泣いた。」

その声に稜平、
「へっ…???…葉子が泣いた…???…ん…???」

僅か2秒。

「葉子が…、泣いた…。…ねぇ~~…。」
けれどもその瞬間、いきなり形相を変えて、
「えっ!!!うそっ!!!葉子が泣いた。うそ。うそうそうそ。」

由佳理、嬉しそうに、
「うんうんうんうん。」
そして由佳理、スマホを稜平に。

稜平、スマホを耳に、
「うそ。うそうそうそ。葉子、おま。泣いた~~~???」

するとスマホの向こう、
「もしもし。私です。匡子です。平塚匡子。…もしかして…、稜平さん…???」

その声に獏、
「うん…???」

匡子、獏を見て、
「旦那様。ベストセラー作家。」

獏、すぐさま大きく2度頷く。
「う~~ん、うんうん。」

稜平、スマホに、
「あっ。いや…、失敬。申し訳ない。稜平です。ご無沙汰してます匡子さん。」

匡子、
「ほ~~んとに、ご無沙汰。もぅ何年になっちゃうの~~。」

その声に稜平、申し訳なさそうに笑いながら、
「かかかかか。申し訳ない。」
そして両目を左右に、由佳理を見て…、そして顔を傾げて、
「いやいやいや…。何とも…。」

「今、由佳理さんにも話したけど…。ある話の流れで…、ヨウちゃん。泣いちゃったの。目を真っ赤にして、目から涙。鼻も赤くして…。いやいやいや。あんなヨウちゃん見たの初めて…。私の方が、感動で涙モンだよ。はははは。感情一切表に出さないヨウちゃんが。な・い・た。嬉しかったんだって~~。周りのみんなとの話の流れでね~~。」

稜平、スマホを耳で、
「そうですか~~。匡子さんのお店で…。そっか~~~。」

匡子、
「だから…、ヨウちゃん、帰っても、優しくしてあげて…。今、まだ、気持ち…。」

稜平、
「気持ち…???」

「あ。うん。いろいろとね~~。考える事、あると思うから…。」

稜平、匡子の話を聞きながら、
「はは。分かりました。いやいやいや。家ではあまり話す事がなくて…。僕も家にいながらなんですが…。面目ない。」

「忙しいもん。ベストセラー作家。はは。頑張ってください。…で、お願いよ。ヨウちゃん、優しくして。」

笑顔で稜平、
「はい。もちろんです。大事な娘ですから…。」

匡子、その声に、
「ありがとう。ふふ。じゃ、おやすみなさい。」

「おやすみなさい。…あっ、電話、代わります。」

その声に由佳理、顔を振って、
「いいよ。匡子さん、わざわざありがとう。おやすみ~~。」
スマホに。

稜平、スマホを由佳理に渡そうと。スマホから、
「うん。おやすみ~~。」

そして通話は切れる。

由佳理、
「まさかね~~。葉子が…泣いたって…。」

稜平、由佳理を抱きながら、
「なぁ~~~。」

電車の中、葉子、輪湖の右肩に頭を…。輪湖も葉子の頭に頭を…。

葉子、ポツリと、
「不思議だね~~。」

輪湖も、
「…だよね~~。」

帰宅しての葉子、リビングに、
「ただいま~~~。」

由佳理、
「おかえり~~。」
ソファからゆっくりと立ち上がる由佳理。
そして葉子をニコリとしながら見てゆっくりと葉子の前に。

葉子、
「おかあさん…???」

そして葉子を優しく抱き締める。
「葉子~~~~。愛してるよ~~~。」

「おかあさん…。」
そして葉子、
「あっ。匡子さん。」

由佳理、葉子を抱き締めたままで、
「そっ。電話くれた~~。良かったね~~。葉子~~~。」

葉子、また少し、目頭が緩むように、
「うん。ありがと…。私…。」

由佳理、抱き締めながら右手で葉子の腰のあたりを、ポンポン。
「うんうん。良かった~~。」

こんな私です。〜選葉子(すぐりようこ)〜   vol,218.   由佳理、いきなり、「うそ――――っ!!!」

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Source: THMIS mama “お洒落の小部屋