葉子、その画像を見てからと言うもの、鼓動は高鳴っていた。
匡子、葉子を見て、
「ヨウ…ちゃん。」
葉子、匡子に、
「私と…。」
匡子、頭をコクリと、
「うん。」
「同じ…顔の人。」
匡子、また、
「うん。」
けれども、
「なんだけどさ〜〜。」
いきなり困ったような顔をして匡子。そして不貞腐れたように、腕組みまでして…。
その恰好に輪湖も秀美も、
「えっ…???」
美知佳、
「はい…???」
匡子、獏を見て、
「このボケナス。」
輪湖、秀美、両眉を歪めて、顔を見合わせて、
「ボケナス…???」
葉子も葉子で、
「えっ…???」
美知佳は美知佳で、
「ぷっ。」
匡子、
「そう〜〜。このボケナス。」
獏、その声に、
「いやいやいやいや。ボケナスって…。」
いきなり美知佳、
「かっかかかかかか。」
そして海江田の背中をバン。
「海江田課長〜〜。あなたがボケナスって。何それ…???」
輪湖、
「えぇ〜〜え…???」
秀美も困ったような笑顔で、
「かか、やだ…。」
匡子、
「人が、どう見ても、これは、ヨウちゃんと瓜二つって言ってんのに。ねぇ、サブちゃ〜〜ん。」
佐武郎、2回頷いて…。
「それなのに、このボケナス。全然似てません。全く別人。そぅ〜〜言い張るの。」
またまた輪湖と秀美、
「えぇ〜〜〜ぇえ…???」
美知佳、
「いやいやいや。それはないでしょ。誰がどう見ても〜〜。」
匡子、そんな美知佳の声に、
「ほ〜〜ら、見ろ。でっしょう〜〜〜。」
そして匡子、スマホ画像をそのままにして、獏に、
「はい。良く見てみろ。」
獏、スマホを手に取って…。
葉子、匡子に、
「もしかして…。その人の名前…。ナンシーって…。」
匡子、その声に、
「へっ…???」
目をパチクリとさせて…。
獏も、葉子を見て、
「えっ…???」
すると…。今まで隣に座っていたブラウスとパンツ姿の葉子が、
いきなりワンピース姿の笑顔が奇麗な女性に…。
海江田、一瞬、目を疑ったが、目の前の女性、紛れもなく…。
そして海江田…、静かな声で、英語で、
「Nancy…???」
目の前の女性、自分の事を、「Nancy」と呼ばれて海江田の方に自分から振り返り、
笑顔で、
「Baku…。」
いきなり海江田の鼓動がドキンと…。
瞬間、我に返った獏、僅かに両眉を歪めて…。
匡子、葉子の声に、
「うん。ナンシーさん。へっ…???ヨウちゃん…。どうしてその名前…。」
輪湖も秀美も、
「わ〜〜お。」
輪湖、匡子に、
「いやいやいや。匡子さん、お昼にね、葉子が、ナンシーって、誰って…???」
その声に匡子、
「はっ…???」
葉子、
「実は〜〜。…さっきの…私の話…。の…、続き…なんだけど…。」
海江田と美知佳、
「話の続き…???」
輪湖、
「うんうん。葉子、実は今日の午前中に奇想天外な経験をしちゃったの。」
海江田、
「へぇ〜〜。」
美知佳、顔を顰めて、
「奇想天外…???…ふん…???」
輪湖、
「まま、ここでまた最初っからだと、話しがかなり長くなっちゃう。葉子が幽体離脱して社長室に行ったんだったよね。」
その瞬間、海江田、
「幽体離脱…???…って、何…???」
いきなり葉子を見て。
美知佳も、
「やややややや。なんなのそれ〜〜???…現実に有り得る〜〜???」
輪湖、頭を傾げて、
「それを、やりのけちゃいました、こちらの選葉子。」
海江田、葉子に、
「おぃおぃおぃおぃ。とんでもねぇぞ、大丈夫か選さん。」
「…って言うか…。この通り、生きてますけど…。」
瞬間、美知佳、
「ぷっ。まっ。確かに。」
「いやいやいや。それは分かるけど…。」
何気に葉子の体を心配する海江田。
そんな獏に匡子、
「あら、獏ちゃん。何やら、ヨウちゃんの体…、気を遣っているように…。」
そんな匡子に、
「いや…。だって…、今まで一緒に〜〜。対策室でも〜〜。」
匡子、
「ふんふんふん。」
「対策室って…、あぁ〜〜。日比谷先輩。」
美知佳。
葉子、
「えぇ。」
輪湖、
「葉子、話し、逸れちゃってるよ。」
その声に葉子、
「あっ。」
「…でもさ。」
輪湖。
「その…幽体離脱の時の…、葉子、日本語で喋ってるのにぃ〜〜、自分の声、聞こえるのは英語って…。しかも…、着ているが、ワンピース。」
そこまで言って輪湖、
「あっ!!!」
いきなり葉子も秀美もドキン。
秀美、
「びっくり〜〜。」
輪湖、
「課長〜〜。さっきの課長の彼女さんの写真〜〜。」
海江田、
「あ、あ〜〜。どうぞ…。」
輪湖に葉子の背中越しに。
輪湖、
「ありがとうございます。」
そしてアルバムを…。ササササと。
「ふんふんふん。」
そして、
「おっと〜〜。ビンゴ。」
葉子に、
「葉子〜〜。もしかして…、そのワンピって、これ…???」
葉子、その画像を見て、
「あっ。うんうんうん。これこれ。このワンピ。あまりにもリアルだったから、しっかりと覚えてる。」
海江田、
「…って…、どういう事…???」
「多分…、葉子…、幽体離脱で、海江田課長のその亡くなった彼女さん、葉子に乗り移ったんじゃないかな〜〜。」
匡子、
「はいはいはい。うんうんうん。」
こんな私です。〜選葉子(すぐりようこ)〜 vol,208. 「それなのに、このボケナス。全然似てません。全く別人。」
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庄司紗千 つつじヶ丘の坂道で…。
※ご本人の承認の下、紹介させて頂いております。