数秒、沈黙状態のその場…。
匡子、
「…って…。あれ…???…はは…。」
輪湖と秀美はキョトンとして…。葉子は葉子で口を尖らせて…。獏は獏でグラスの水を…。
美知佳は、右頬に右手を…。そしてそのままカウンターに右肘を突いて、
「ふん~~~???」
海江田、
「ふ~~ん。実は…、シカゴ時代に僕、ある女性と付き合ってまして…。」
瞬間、輪湖、
「わお。」
美知佳、
「ナイス。」
「結婚の約束、してました。」
いきなり輪湖、
「うっ。」
秀美は目を閉じる。
葉子は口を尖らせたまま。
美知佳、
「うんうんうん。…つまりは…。…婚約者…的な…???」
海江田、照れながらも、
「…ですね…。」
「うんうんうん。」
「…でも…、その彼女、今は…。この世にいないんです。」
瞬間、誰もが、
「えっ…???」
葉子、ここで海江田に顔を…。そして、
「まさか…。」
海江田、葉子に、
「その…、まさかって…、選さん…、どっち…???」
その声に葉子、思わず目をパチクリさせながら、
「えっ…???…あ…。事故か…。」
僅かに頭を下げて、
「…病気…。」
海江田、キッパリと、
「事故です。」
匡子、
「シカゴでね~~。」
輪湖、
「うん。」
匡子が獏の代わりに話し出す。
静まり返るその場。
そして…、匡子の話を聞きながらも目を真ん丸にする輪湖、秀美、葉子。
美知佳、
「う、わ~~。何それ…???…ドラッグ…。」
秀美、匡子の話を聞きながら、
「課長…。」
輪湖も、
「課長…。」
匡子、そして……。
「…と、まぁ~~。こういう訳。」
海江田、頭をコクリと…。
「はい。その通り。」
「ただね。その…、彼女、なんだけど~~。」
そして匡子、獏を見て、
「獏…。」
獏は匡子を見て、
「ふん…???…いや…。そこまで話して…、何…???」
「実は、彼女、会社の経営者。つまりは社長だったって事。」
輪湖、いきなり、
「うそ。」
秀美、
「凄っ。」
また匡子、話し始める。
話を聞きながら、いきなり輪湖と秀美、
「え゛――――――っ、イブロマン。うそうそうそ。」
「凄い、凄い。滅茶苦茶人気のブランド~~~。あ~~ん凄~~い。」
そのふたりの声に匡子、
「えっ…???」
輪湖、秀美に、
「うそうそうそ。イブロマン。…って、あのイブロマンの創始者よ、その人。秀美ちゃん。」
秀美も、
「うんうんうん。」
海江田、
「えっ…???…そんなに有名…???」
秀美、
「有名なんてもんじゃないですよ~~。」
いきなり葉子、僅かに体を後ろに。
秀美、葉子に僅かに被りながらも、
「人気絶頂のアメリカのブランド~~。いつだったか、日本上陸…まで、話しが出たほど…。だけど…。駄目になって…。」
輪湖も、頷いて、
「うんうんうん。そうそう。」
秀美、
「確か…、2年ほど前…。」
美知佳も、
「あ~~。確かに…、そういうブランド、あったね~~。私も、覚えてる。…ってか、私は、専ら子供の事ばっかりで…、あんまり…。」
匡子、
「ヨウちゃんは…、それって…???」
いきなり振られて葉子。目を見開いて…。そして目を左右に…、口を尖らせて、ポツリと、
「あいにく…。」
輪湖、
「あははははは。葉子、芸能人とか、お洒落関係は…、全く…。」
秀美、
「うそっ。」
海江田、
「確かに。佐藤浩市、知らなかったし…。」
秀美、
「へっ…???…あの名優の…???」
輪湖、
「わお。」
葉子、
「課長…、何か…、恨み…、あります…???」
海江田、急に、申し訳ない顔をして、
「あっ。いや…。これは、失礼。」
匡子、
「でもね~~。みんな。ここで、大爆発宣言、しちゃうね。」
その声に、いきなり息を吸い込む海江田。
匡子のその声に佐武郎もいきなり口の中の物を飲み込むように…。
美知佳、
「おや。何…???」
匡子、
「うん。実はね。その…、獏のフィアンセ。…もぅ、亡くなっちゃったけど~~。」
そして匡子、獏に右手を、
「はい。出して。」
獏、その声に、
「はいはい。」
自分のスマホを匡子に。
そして匡子、スマホでサササ…。アルバムから一枚の画像を…。
そして、スマホの画像を、まず輪湖と秀美、そして葉子の前に、
「その彼女がこの人。」
輪湖、秀美、
「ふん…???」
葉子、
「……。」
いきなり輪湖と秀美、
「うそ。」
葉子、ビクン。
輪湖と秀美、
「え――――――――っ!!!」
後ろの客がカウンターに振り向く。その景色に佐武郎が両手を合わせて頭をコクリと…。
葉子、いきなり口の中の物を…。
匡子、その画像を美知佳に…。
美知佳、
「ふん…???」
そして画像を見て、目を真ん丸に、
「え゛っ!!!…うそ。」
4人が4人、葉子を見る。
輪湖、
「葉子。」
秀美、
「葉子先輩。」
美知佳も、
「選さん…???」
輪湖、思わず椅子から立ち上がり、
「うそうそうそ。葉子、あなた…。」
秀美、口に手を。
「…こんな事って…。」
美知佳も、
「いやいやいやいやいや。マジで…。」
匡子、
「どう~~見ても、この人、ヨウちゃんだよ。」
輪湖も秀美も、数回頷いて、
「うんうんうんうん。」
輪湖、
「まるで、瓜二つ。」
こんな私です。〜選葉子(すぐりようこ)〜 vol,207. 海江田、「実は…、シカゴ時代に僕、ある女性の人と…。」
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
《PR》
庄司紗千「海をこえて」
※ご本人の承認の下、紹介させて頂いております。