通路に出て葉子。そして秀美。振り返りアパートを見て…。
「うんうんうん。確かに素敵~~。いいんじゃな~~い…???秀美ちゃん。」
葉子。
秀美もアパートを見て、ニッコリと、
「うんうんうん。」
虎一郎、通路に出てきて、
「…で…???…何なんだよ、その…。あれって…???」
葉子の隣に。そして自分も振り返ってアパートを見て…。
葉子、ポツリと、
「横領。」
その声にいきなり虎一郎、葉子に顔を、
「横領…???」
そして、
「えっ…???…えぇぇぇぇ…???…なんで…???…何処で横領…???…まさか…、ウチで…???」
「…って…。…じゃなきゃ、輪湖が私に訊く訳、ないじゃない。」
「いやいやいや。…って言うかさぁ~~。」
「昨日、財務の美神さんが、何やらおかしいって…。…で、課長に報告。部長に報告。もぅ…、社長の耳にも…。」
顔を歌舞伎の見得のような顔で虎一郎、
「えぇ~~~え…???…なんじゃそりゃ~~。」
「まっ。ついでって言えば、変な表現になるけど…。昨日、秀美ちゃんの家からの帰り道。課長にもその事は、話したから。…多分、鳩崎部長…辺りは…、知っている…はず。」
虎一郎、
「うそ。」
「ほんと。」
葉子、秀美に、
「ふん。帰ろ。駅までは一緒。」
秀美、ニッコリと、
「はい。」
虎一郎、まだ顔をクシャリとさせて、
「え~~~ぇ。何がどうなって、横領…???」
そして腕組みをして…、
「う~~ん。」
葉子、
「ふん。さすがに、この暑さ。マスク、熱いよね~~。」
秀美を見て。
そしてふたり共に、マスクを外して…。
秀美、
「輪湖先輩…。何日かは…。」
葉子、その声に、
「うん。…かもね~~。」
虎一郎、
「…で、葉子~~。その…金額って…???」
「まだ言ってるよ~~。コイチ~~。」
「だって…、気になるじゃんよ~~。」
そんな虎一郎に葉子、少し考えて、
「ま~~。確かに。私たちも…、それ知った時には…。」
そして虎一郎に、
「5億。」
いきなり虎一郎、
「5億。…5億。…って。え゛――――――っ!!!」
そしていきなり体を崩して、
「…な、なんだよ、それって…。」
そして顔だけ挙げて、
「ショックだわ~~~。」
そんな虎一郎を見て秀美、
「コ…、コイチ…さん…。」
葉子、そんな秀美を見て、
「うん。ねぇ~~。そんな感じになるよ~~。」
秀美、葉子を見て、
「…でも…、コイチさん…。財務じゃ…。営業で…。」
「もし会社で、何かしら有事があったとして…。それは…、一個の部署の責任じゃない。会社全体の責任。…そうでなければ会社は育っていかない。成長はしない。…だから…、もし、会社の中で、何かしら、膿があるとしたら…。取り除く。多分…、それが、今の扶桑。天春廿楽社長、なんだろうね~~。」
虎一郎、
「…5億って…。なんで…???…勘弁してくれよ~~。」
秀美、また、
「コイチさん…。」
葉子、
「帰るよ~~~。」
その後、3日経っても横領の件は、結局、発展せず…。
そして、輪湖の方は…、ようやく熱は37度から38度台。
しかも…、まだ、眠っている時には夢を…。
そして…、日中には不動産会社に電話。アパートの件を打診していた。
カフェ匡子のドアを開けて、
「こんにちは~~。」
カウンターの匡子、目を丸く、
「あら~~。いらっしゃ~~い。」
既にカウンターには4人の姿が…。
海江田、
「お疲れ様です。」
葉子も秀美も虎一郎も、
「お疲れ様で~~す。」
美知佳、4人にお辞儀をして、
「お疲れ様です。」
自然に海江田の隣の席に。
「ここ、いいですか…???」
海江田、ニッコリと、
「もちろんです。」
匡子、美知佳に笑顔で、
「いらっしゃいませ~~。」
美知佳も、匡子に、
「こんにちは~~。はは。また寄せてもらうなんて言って、ちょっと…、日数掛かっちゃいましたけど…。」
海江田、
「社長の手配した…住まい…???」
美知佳、
「えぇ~~。いやいや。なんと、それも…。マンションみたいなアパート。物凄い、広い~~。結局、部屋の環境に慣れようとして自炊はしてたけど~~。」
その声に匡子、獏を見て、
「ほら。ビンゴ~~。実家に帰れば、主婦ですもんね~~。」
美知佳、思わず、笑いながら、
「まま、そうなんですけど~~。…でも…。さすがに…、生活の…音がしない。…これには…。かか、さすがに…。」
匡子、
「あんあん。ひとり~~。」
「なんですよね~~。まっ、神戸に…、初めての時の…。まだひとりの時は…良かったんですけど…。家族が増えて~~。年を経て~~。…となると~~。」
海江田を見て、そして葉子たちを見て。
「食事の時も、生の声が聴きたい。…とは言え、毎回、スマホのラインで話しする訳には…。」
そして美知佳、
「あら…。おひとり…???」
葉子、美知佳に、
「インフルで…。今、おやすみで…。」
「あら~~。大変。夏のインフルエンザ~~。」
その時、葉子、
「あっ。松樹部長…。財務企画の…例の件。」
こんな私です。〜選葉子(すぐりようこ)〜 vol,191. 「膿があるとしたら…。取り除く。」
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庄司紗千 つつじヶ丘の坂道で…。
Source: THMIS mama “お洒落の小部屋