匡子、いきなり、両手を上げて、
「分~~かった、分かった。はいはいはいはい。私が悪ぅございました~~。」
そして、
「ふん。確かに、時間を掛けるしか…、ないみたいね~~。…でもって~~。ふ~~ん、秀美ちゃん…。確かに、獏より、ひとまわり…、下なんだよね~~。」
そこまで言って匡子。僅かに頭を傾げて、
「…でも、歳…の差。今の世の中…、関係ないけどね。」
獏に。
獏、すかさず、
「匡姉ぇ。」
「はいはい。」
そして獏、腕時計を見て、
「おっと。こんな時間…。俺、行くわ。」
「ふん。」
秀美の仕事ぶりを見て輪湖、
「ん~~~。」
そんな輪湖の後ろを通り…、励子、
「何…???…輪湖…。秀美ちゃん、何かあった…???…いつにも増して、インプレッション…???」
その声に輪湖、左斜め後ろに、
「あっ、励子さん。」
そして椅子を僅かに回して、
「うんうん。なんか、いつもと違って、凄い気迫~~。ある意味…、葉子に似てきた…???」
励子も、
「うんうんうん。そんな感じ。凄いよね~~。はは。」
そんな励子を見送っての輪湖。また体を戻して、頭の中で、
「…なんとも…、海江田課長効果…かぁ~~???」
仕事に戻っている海江田、頭の中で、
「…ふん…。秀美ちゃん。選さん…ってね~~。はてさて…。どうなる事やら…。」
そして自分の左手、薬指を見て…。
「…ナンシー…。」
いきなり、脳裏に、車の中で眠っていた葉子が…。
「おっと。…なんで…???…彼女とナンシー、似てるか…???…」
午後からの客に匡子、笑顔を振りまきながら…。
けれども頭の中には、やはり…、獏の事…。
「…た~~くぅ~~。あの子、まだ分かってないもんね~~。ナンシーって人と、ヨウちゃん、瓜二つだって事。」
そして匡子、頭を傾げて、
「なんで分かんない…???…とにかく、不思議だよ。」
ポツリと口から出た匡子の言葉に、佐武郎、頭を傾げて、
「…???」
そんな佐武郎を見て匡子、目をパチクリと、
「へっ…???…あっ…???かかかかか。思い出しちゃったの、獏の前の婚約者とヨウちゃん、瓜二つだって。」
佐武郎、瞬間、大きく頷いて…。
終業時間。
輪湖、
「終わった~~~。さ~~てと~~。葉子~~。行くよ~~。秀美ちゃんも~~。」
秀美、
「は~~い。」
葉子、
「はいはい。」
通りを歩きながら輪湖、
「ねね、システム企画部、部長…、誰なんだろうね…。全く話、聞こえてこないけど…。」
その声に葉子、
「ふん。だよね~~。全~~ん然。」
秀美、
「尚子さんも全く分かんないって言ってましたもんね~~。」
そして匡子の店に入っての3人、
「こんにちは~~。」
匡子、
「はい、おかえり~~。お疲れ~~。」
佐武郎もニッコリとお辞儀を…。
そんな佐武郎を見ての輪湖と葉子、少しだけ、可哀想な感じの笑みを…。
カウンターに落ち着く3人を見て匡子、丁寧にお辞儀をして、
「昨日は、ありがとうございました。」
そのお辞儀に3人、思わず目をパチクリとしながら、
「へっ…???」
輪湖、
「どしたの…匡子さ~~ん。」
葉子も、2度程、コクリと、
「うんうん。」
匡子、少しだけ照れながら、
「いや…。昨日、ヨウちゃんと秀美ちゃんから、あんな事言われて…。なんか…、こぅ…、嬉しいって言うか~~。」
輪湖、大きく頷いて、
「あ~~あ~~。うんうんうんうん。」
匡子、
「そういうのって、あるじゃ~~ん。何たって、自分の甥っ子だし~~。まっ。歳は35だけどね~~。叔母としては~~。」
そんな匡子に3人、ニッコリと。
葉子、
「うんうんうん。だよね~~。」
そして葉子、
「ふん。私は、課長と一緒にいて、楽しい。まっ。…でも、私の言う意味は…、私、こんなだけど、そんな風に見てくれてない。…と言うのが、課長には、あるし…。…だから~~、違和感ないって言ったんだけど。」
匡子、
「うんうんうん。ありがと。」
佐武郎はグラスに水。そしておしぼりを…。
そして匡子、
「秀美ちゃんも、ありがとね~~。」
匡子に秀美、にこやかに、
「いえいえ。…でも私、昨日、帰りに葉子先輩からも言われましたけど、海江田課長の事、好きですから。葉子先輩関係なく。葉子先輩も、そんな風に言ってくれましたから。」
その声に匡子、目をパチクリとさせて、
「へっ…???そうなの、ヨウちゃん…???」
葉子、匡子に、
「だ~~って~~。私、こんなだし…。人を好きって言う感情…。」
頭を傾げて、
「残念ながら…、分かんない。…一緒にいてて、抵抗感や違和感はないって、言うのは、昨日もさっきも、言ったけど…。そんな…、好きな感情ない人よりは…。…だったら~~。私なんか、関係なく、どんどんと。」
匡子、そんな葉子に、
「おや…。」
そして、
「ふ~~~ん。」
こんな私です。~選葉子(すぐりようこ)~ vol,169. 「時間を掛けるしか…、ないみたいね~~。」
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