いきなりの輪湖の声に匡子、目をパチクリと…。そして、頭の中で、
「…わお。この子…。なんともダイレクト…。」
ただ、秀美は…、と言うと、思わず顔を赤らめて…、輪湖を見る。
瞬間、輪湖、頭の中で、
「…わっ。まずい。」
佐武郎は佐武郎で…、あちらこちらを見ながらも、そして時々秀美の顔を…。
虎一郎、そんな輪湖の声に、顔を顰めて右手を大きく振り、左手は顔を覆うようにして、
「な~~に、バカな事言ってんだか~~。」
そして輪湖に、
「おぃ。」
そして、当人の獏は、口を窄めて、目を真ん丸に、
「ふん…???……。」
輪湖、そんな虎一郎を見て、クシャリとした顔で、
「だから、ごめ~~んて、言ってるでしょ。鈍い人ね~~。」
匡子、思わず腕組みをして…。けれども数回瞬きをして、
「はは。輪湖~~。」
そして、ニッコリとして、
「グッジョ~~~ブ。良い事言うね~~。」
そんな匡子を見て輪湖、途端に、
「へっ…???」
そして、
「うそ…。」
秀美はまだ僅かに顔を赤く。そしてこちらも口を窄めながら…。
輪湖、咄嗟の匡子の声に、思わず、
「ぷっ。」
そして右手を大きく振って、
「や~~だ~~。匡子さ~~ん。葉子に怒られる~~。」
けれども、当の本人の葉子は…、というと…、なんともポーカーフェイスのままで…。
匡子、そんな葉子に、テーブルに両手を付いて、
「さぁ~~、ヨウちゃ~~ん。どうする~~~???」
ニッタリとして葉子を見る。
瞬間、獏、匡子に、
「お、おぃ、何言ってんだ~~よ、匡姉ぇ~~。」
匡子、そんな獏に、間髪入れずに、
「あんたは黙ってて。」
瞬間、虎一郎と輪湖、
「へっ…???」
秀美は真ん丸の目で匡子を。そんな匡子に獏、意表を突かれたように、
「い…、いや。いやいやいやいや。おぃ。…いや…。なんで…???」
そう言って獏、顔を傾げて、
「どうみても、それって…、選りさんにとって、し…。」
「いいかも…。です。」
ポツリと葉子の声も重なる。
獏の声も、
「…つれいでしょ~~。」
瞬間、匡子、
「えっ…???」
虎一郎も輪湖も、
「えっ…???」
秀美は葉子を見て、
「……。」
獏、またもや意表を突かれたように、
「へっ…???」
すぐさま匡子、目を閉じて、両の手をヒラヒラとさせながら、
「いやいやいや。ストップ。」
そして獏に、
「だから獏~~。今、あんたの声でヨウちゃんの声、聞こえなかったって~~。」
そんな匡子に獏、口をへの字にして、
「いっ…???…いやいやいやいや。そっち…???」
虎一郎が、右側の葉子の顔に僅かに上体を前に、
「よ…葉子~~。」
輪湖は目をパチクリと、そして、
「えっ…???…あ、ははははは。あ…。」
秀美はまだ葉子を見たままで…。
匡子、今度は腕組みして、ニッコリと、葉子を見て、
「ヨウちゃん。」
獏も葉子を見て、心ならず、困ったような、申し訳ないような顔で…、
「す…、選り…さん。」
葉子は葉子で、未だにポーカーフェイスで…。そしてサワーを飲んで、
「私、今…。いいかもって、言いました。」
瞬間、秀美、僅かに顔を下に。
匡子は、僅かに自信を持った顔をして、頭の中で、
「…してやったり。」
虎一郎、輪湖、獏、共に、葉子のその声に、
「え―――――――っ!!!」
輪湖、葉子を見て、
「葉子っ!!!」
虎一郎は、
「マジかよ。」
その声に葉子、虎一郎と輪湖を見て、
「うん。だって、私、子供の頃からここ、扶桑に入る前まで、友達いなかったし。男の人なんて、気さくに話せるのって、とうさんと弟、それに、蔵井氏課長、それに、コイチだけだし。」
その話に、輪湖は思わず、
「ぷっ。確かに。」
虎一郎は虎一郎で、
「いやいやいやいや。それは、おまえから聞いて、知ってるけど~~。」
いきなり匡子、虎一郎に、腕組みして、
「コイッちゃん、何か、文句あんのぉ~~。」
そして笑顔で…。
虎一郎、目を閉じて顔を左右に振りながら、
「いやいやいや。文句って…、そんな…。」
と、
「いっ…???…匡子さんが、それ…言う…???」
匡子、思わず、虎一郎に舌をチロリと…。
顔を傾げての輪湖、
「いやいやいや。まさかね~~。…単に、何気なく感じちゃった事、口から零れたかと思えば…。いやいやいやいや。葉子~~。あんた~~。」
そんな輪湖に、葉子、輪湖に顔を、そして、
「ふん…???…ふん。」
虎一郎、思わず体を後ろに…。
「課長~~~。」
輪湖、瞬間、
「わっ!!!課長~~~~。」
そこまで言って、
「あ~~ん。葉子の事ばかりで、課長~~。」
ぷ~たれた顔で獏、
「なんですか~~~。」
匡子、輪湖ににやけながら、
「不貞腐れてるよ。かかかか。」
獏、そんな匡子に、
「すみませ~~ん。聞こえてますけど~~。」
こんな私です。~選葉子(すぐりようこ)~ vol,158. 「いいかも…。です。」ポツリと葉子の声も重なる。
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庄司紗千 「雫音〜shizukune〜」
※ご本人の承認の下、紹介させて戴いております。