ホテルの顔、フロントでは、男性も女性も、
客には知られないように、目を合わせてニッコリ。そしてお互いに右手でガッツポーズ。
廊下ですれ違うスタッフたちも、そのままの状態で目だけで合図して、僅かに頭をコクリと。
…けれども…。残念ながら、今回の大元でもあるホテルキャッスルチャイナ側では、
M&A全面白紙に関してのコメントは一切なく…。
ほどなく…、百貨店扶桑、財務企画部、陣屋の机の電話が鳴る。
同じく営業推進部、鳩崎の机の電話も…。
陣屋、そして鳩崎、同様に、
「分かりました。」
そして、陣屋、紫と葉子に、
「社長がお呼びだそうよ。行ってらっしゃい。」
鳩崎も海江田と都沢に、
「社長が、お呼びだ。」
対策室メンバー全員が社長室から招集され…。
廿楽から労いと感謝の言葉。
「みんな、ありがとう。みんなの力がなかったら…。こんなには…行かなかった。感謝します。」
メンバー全員に廿楽、深々と頭を。
そして、美海も同様に…。
そして…、数分後にはメンバー一同、社長室を…。
高村家の食卓。カウンターで3人。
「乾杯~~~ぃ。」
蔵井氏、
「いやいやいや。」
紫に、
「お疲れ様~~。」
陣屋、
「うんうんうん。とにかく良かった~~。無事に解決。」
そして陣屋、
「それにしても、通ちゃん、ヒットよね~~。何と、総務部長と、その、ベンチャー企業の社長の顔。さすがは名シェフ。とにかく、瓜二つとは驚き。」
その声に通、にやけた顔をして、
「いやいや。何のなんの。」
「それに。もっと驚きなのが葉子。」
紫。
その声に陣屋も蔵井氏も、目を真ん丸に、
「そうよね~~。」
「いやはや…、選葉子。大したものだ。」
「それに、今回の事で、何々…、いろんな事が…。」
陣屋、そんな紫に、
「いろんな事…???」
顔を傾げて…。そして、
「あぁ~~。長谷部部長と日比谷部長~~???」
陣屋の顔を見て紫、
「えぇ~~。はい。」
「まぁ~~。あのふたりは…。私も、扶桑に入って、3人で食事した時には話し、聞かされてたから~~。」
紫、
「まさか。長谷部部長が会長と…。それに…、日比谷部長に至っては、元…刑事。いやいやいや。」
口を真一文字に目を丸く、
「全く以って。信じられなかった。…けど…。事実なんだよね~~。そして、葉子だよ~~。あの子、凄~~い。何から何まで、ピタッピタと。」
通、
「何…???ヨウちゃん。そんなに…???」
紫、両眉を数回上下に。
通、笑顔で、
「とにかく、不思議な子だよ~~、あの子は~~。」
そして、また紫、
「…それに…、まだまだびっくりが…。」
「クシュン。」
いきなり葉子。
隣で獏、
「かかかか。誰か、選さん、噂してるか~~、今回の事で~~。」
「とにかく、お疲れさまでした。葉子先輩。」
葉子の隣で秀美。
輪湖も、
「うんうんうん。大したもん。」
虎一郎、
「これで、M&A一件落着。俺たちにも特に、影響なしってね~~。」
「それにしても葉子~~。…その…、光浦総務部長と、その…、上沼美和子さんて人…。そんなに瓜二つ…???」
葉子、口を尖らせて、
「うん。そのまんま…。」
獏も、ビールを飲みながら頷いて、
「うん。それは僕も保証する。まさか…、あぁいうのって、あるんだね~~。」
そんな獏を見て匡子、おちょぼ口のままでニッコリと。そして獏と葉子を見て、
「ふ~~ん~~。瓜二つ…かぁ~~。」
獏、そんな匡子を見て、両眉の先端を吊り上げて、
「何…???」
葉子と秀美、そして輪湖も、そんな匡子を見て、
「へっ…???」
「えっ…???」
「ぷっ。何…???…どうしたの…、匡子さん。」
獏はそんな匡子に、少しムッツリと。
葉子、目をパチクリとさせて、
「匡子…さん…???」
匡子、思わず、目を逸らせて、
「ふん…???…あっ。あぁ~~。う~~ん。ふふん。…うん。なんでも~~。」
そして匡子、
「なんか…。前にも、そんな…、瓜二つの顔の人の話…、お客さん…、言ってたなぁ~~。…なんて…、思っちゃったって訳。」
瞬間、獏、匡子に形相を変えて…。
そんな獏をチラリと見て匡子、
「ふふん。」
葉子、目を丸く、サワーを飲みながら、
「へぇ~~。」
輪湖は、
「わっ。匡子さん。」
そんな輪湖に秀美も、
「うんうんうん。聞きたい、聞きたい。」
輪湖も秀美の顔に、
「うんうん。だよね~~。ねぇ、葉子~~。」
葉子、口を尖らせて、
「うん。確かに。興味はあるかも…。」
虎一郎は、それほど興味は示せず、
「ふぅ~~~ん。サブちゃん、生、お代わり。」
佐武郎、ニッコリと。
獏、顔を引きつかせて、頭の中で、
「…なんなんだよ、この流れ…???」
輪湖、ふたりの奥から、
「ねね。課長も聞きたいですよね~~。ねぇ~~。」
獏、左肘をカウンターに付けて、親指を頬に、中指と薬指でコメカミ辺りを撫でながら、
「う、うん。…だよね~~。」
こんな私です。~選葉子(すぐりようこ)~ vol,155. 獏、頭の中で、「…なんなんだよ、この流れ…???」
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庄司紗千 きっと大丈夫
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