ドキドキ 帰りの車の中で…。

紫、思いっきり両腕を伸ばして、
「あ~~ぁあ~~。これで…、何とか…。」

都沢も、バッグミラーを見ながら、
「そぅっすね~~。」

紫、
「…って言うかさ~~、課長~~。」

その声に海江田、
「ん~~~???」

「鳩崎部長の馴染の…って、何処なんですか~~。さっき、日比谷部長に何やら、耳打ちしてましたけど~~。」

海江田、
「あ~~。結構、洒落たバーです。確か…、ニクラス。」

都沢、
「おっと~~。中々素敵なネーミング。…なんか、ジャックニクラス的に…???」

紫、
「へぇ~~~。ジャックニクラス。あの…、ゴルフの…???」

そんな声に海江田、
「はははは。いやいや。僕には分かんないけど…。確かに、その名前。シカゴからこっちにきて、営業推進部に配属されて、部長から初めて連れて行ってもらったお店。…けど…、まだ2回しか…。」
そこで海江田可笑しがりながら、
「まっ。部長のお供みたいなものだけどね~~。」

都沢、
「へぇ~~。さすがに部長、佐藤浩市ばりに、いい店、知ってますね~~。」
そして都沢、少し思い出したように、
「そういえば、日比谷部長のほら、警視庁時代の恩師も、何やら佐藤浩市ばりって…。」

海江田、その声に、
「あ~~。うんうんうん。確か、そう言ってた。」

そして都沢、
「でも…、そんな佐藤浩市を知らなかった~~選さん。…もしかして…、まさか、ジャックニクラスも知らなかったりして…???」
またバッグミラーを見て…。

紫も、
「はは、葉子。」

すると葉子、シートに深く背中を…。そして目を閉じて…。

紫、思わず目を真ん丸に、
「うそ。葉子…、寝てる。」

都沢、
「はぁ~~~ぁあ…???」

海江田も、
「え~~~???」
そして助手席から右後ろに体を思いっきり。そして右後部席の…。瞬間、
「えっ…???」
眠っている葉子の姿が、正に。思わず海江田、
「…ナンシー…。」

紫、海江田を見て、
「へっ…???」

都沢も、顔をチラリと、
「課長…、何か言いました…???」

紫、思わず顔を傾げて、
「ナンシー…???」

海江田、すぐさま我に返り、体を元に、
「あ、いや…。」
そして、
「はは、疲れたんだね~~。」

紫も、ニッコリと、
「うんうんうん。ねぇ~~。」
そして葉子を見て、
「何か、澄ました顔で寝てる~~。ま~~ったく~~。この子は、とにかく、感情、表に出さないからね~~。笑いもしなきゃ、楽しそうな顔も、哀しい顏、怒った顔すらしないから…。」

海江田、
「まっ。確かに、今まで今回の件で一緒だったけど…。全然ね。」

「でも。」
都沢、
「凄いっすよね、選さん。とにかく頭が良い。」

「ねぇ~~~。今回の件でも、葉子から外より内って聞かされた時には、はっ…???…って思ったもんね~~。それに、ホテルの社員の個人情報。…で、ホテルに来ることに…。そしたら、今度は社員の細かい履歴。中国関係者まで出てきて。宮越弁護士まで…。そしたら、ん~~、ん~~、ん~~。最後には光浦総務部長。び~~っくりだわ~~。」

その話に前のふたり…。

都沢、両眉を歪ませて、
「鈴村さ~~ん。それ…、来る途中に、俺、課長に言った事…、なんだ…けど…。それって、選さんも…。はぁ~~あ…???」

海江田は黙って聞いたまま。

都沢、
「はは…。…って言うか…。どうなって…???」
そして海江田を見て、
「課長…???」

紫も後部席で姿勢を正して、
「海江田課長~~。何か…、私たちに隠している事~~。」

海江田、助手席で僅かに困惑気味に…。
「…い、いや…。隠して…いるって訳では…。な…いんだ…けどね~。」

わずかに沈黙する車内。

海江田、ようやく、口を開くかのように、
「まぁ…。偶然にも、そこに…、彼女たちが…いたと…。言う訳で…。」

紫、その声に、
「偶然にも…。彼女たち…。そこに…???」
そこまで言って紫、
「いやいやいや。だから…。その…、彼女たちって…???…それに、そこにって…???…どこ…???」

都沢はハンドルを…。そしてバックミラーで紫を…。そして前を見て…。瞬間、
「あ~~~。分かった~~~。」

いきなり海江田、都沢を見て、
「びっくりした~~~。」

紫も、両肩をビクンと。そして都沢に、
「驚かさないでよ~~。」

都沢、ニッコリとしながら、
「分かりましたよ、課長の言っている意味。」

その声に紫、
「へっ…???」

都沢、笑顔で、
「課長、あそこでしょ。」
そして都沢、
「僕を初めて連れてってくれた、あの店。」

海江田、そんな都沢に、
「お~~っと~~。分かっちゃった~~。」
右手親指を立てて、
「ビンゴ~~。」

紫、顔をグシャリとさせて、
「え~~。何処よ、そこって~~。」

こんな私です。~選葉子(すぐりようこ)~   vol,150.   「そんな佐藤浩市を知らなかった~~選さん。」

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※ご本人の承認の下、紹介させて頂いております。

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Source: THMIS mama “お洒落の小部屋