「…って言うか、凄いっすよね。」
交差点でハンドルを切っての都沢、
「日比谷部長の警視庁捜査第二課は、驚きですよ。…でも…。」
海江田、都沢をチラリと見て、
「…でも…???…俺なんか、さすがに、課長、尊敬しちゃいますよ。」
その声に海江田、
「はっ…???…なんで俺が…???」
そんな海江田に笑顔で、
「だ~~って、そうでしょう~~。俺なんて、M&Aが発覚した後、どうにもこうにも、入り口さえ見えなくって、何がなんだか…。それなのに課長が、外ばかり見ても…。時には内側。ホテルの社員の情報なんかも探ってみた方がって…。しかも…、その次は履歴もって…。」
瞬間、海江田も紫も、
「えっ…???」
「だってそうでしょう。」
都沢、続ける。
「それに…。ホテルの社員の細かい個人情報…。…でも、これは個人情報になるから外部からは漏洩になっちゃう。…で、ホテル側に~~。それって、課長からの情報っすから~~。」
都沢の話に海江田、
「えっ…???…えっ…???」
いきな海江田、背中に冷たい汗を…。
そしてこちら、紫も今の都沢の話を聞いて、目を真ん丸にして、口を尖らせて…。
そして、
「都沢さん…。それ…、ほんと…???」
紫の隣で葉子は、ただタブレットの画面を見ながら…。
紫、葉子を見て、
「葉子~~。」
海江田、いきなり口の中の物を飲み込んで…。目をあちらこちらに…。
葉子、紫の声に…。ようやく画面から顔を上げて、小刻みに右左を…。そして紫を見て、
「えっ…???…あ、はい…。どぅ…???」
キョトンとしている葉子。
そんな葉子を見て紫、思わずクスリとして、
「あっ。」
そして顔を左右に振り、笑顔で、
「ううん。うん。なんでもない。はは。」
都沢、そしてまた、
「凄いっすよ、課長~~。ねぇ、鈴村さ~~ん。」
紫、
「う、う~~ん。ほんとね。凄い、海江田課長~~。」
そんな紫に海江田、
「いやいやいや。そんな…、鈴村さん。僕なんて…。」
そして、思わず海江田、咳払い。
「う。うん。」
紫、頭の中で、
「…何々…???…どういう事~~。私と部長や課長だって、今の事、葉子から…。なんで海江田課長と同じ事が…、葉子も…。」
そして、葉子と前座席を交互に見て、
「…このふたり…。…どうなってる…???…怪…しい~~。」
都沢、
「あっ。そういえば…。課長、あの店…、行ってるんすか…???」
そしてチラリと海江田を見て、
「初めて俺を連れてってくれた店。なんか、凄い素敵な店って感じっすよね。…はは、俺…、ごめんなさい。店の名前…、思い出せなくって…。」
その話に海江田、
「あ、あ~~。うん。行ってるよ~~。」
そう言いながら海江田、頭の中で、
「…もぅ、言うな。もぅいい。」
「いやいやいやいや。…でも、凄いっすよ。客の顔とその雰囲気で、何も言わなくっても、好みって言うか、食べたい料理、出てくるんすから~~。あれには俺も、驚きましたよ~~。」
その声に紫、
「へぇ~~~。そういうお店…、あるんだ~~~。」
そして紫、葉子に、
「ねね、葉子~~。」
その声に葉子、またタブレットから顔を上げて、
「へっ…???あ、あ~~。はい。」
葉子、頭の中で、
「…何の話…???」
海江田のポケットのスマホに着電。
「日比谷部長。…はい、海江田です。お疲れ様です。」
スマホの向こう、
「お疲れ様、あと、どれくらい…???」
海江田、車の向かっている方向を見て、
「あ、はい。もぅ、目と鼻の先ですね~~。部長の方は…。」
日比谷、目の前の久留巳と阿刀田、ふたりを見て、
「うん。私はもう既に着いてるから。じゃ、待ってる。」
海江田、
「あっ、はい。分かりました~~。」
そして都沢と後ろを見て、
「日比谷部長、もう着いてる。」
都沢、
「了~~解~。我々も、現着ですよ~~。」
葉子、顔を上げて、ようやく、
「いよいよ…ですか~~。」
紫、葉子に、
「何、ず~~~っと見てたの~~???」
その声に葉子、
「えっ…???…あっ。はい。いろいろと…。」
そんな葉子に紫、笑顔で、
「はは。さっすが、葉子、中々どうして、抜け目ない。」
「そんな…。主任~~。」
そして都沢、駐車場に入って。
「…けど…日比谷部長、早いっすね~~。自分の車で来たんすかね~~。」
海江田、顔を傾げて、
「さぁ…。…まっ。部長は、部長なりに…。何か…。それこそ…、訳アリ。」
そんな海江田に都沢、
「そうっすね~~。」
車をバックさせて、
「オッケーっす。」
海江田、
「ヨシ。じゃ、参りますか。」
ホテルのロビーで日比谷と合流、そして4人共に久留巳と阿刀田と握手。
「お世話様です。」
そして…。こちらは百貨店扶桑、社長室で廿楽と宮越が握手。
廿楽、
「お久しぶり。」
宮越、
「いやいやいや。相変わらずお奇麗で…。」
こんな私です。~選葉子(すぐりようこ)~ vol,142. 都沢、「…俺なんか、さすがに、課長、尊敬しちゃいますよ。」
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