ドキドキ  「あっ。でも…、励子さん。この事…。」
葉子。

励子も、
「あ〜〜ん、分かってる〜〜。私も紫自身から聞いて…、まだ、他の人には何も…。それに…。今、状況が、こんな感じだからね〜〜。何かあって、紫と、その…御曹司…。しかも…、当人の専務にも…。」

葉子、その声に頷いて、
「えぇ。」
そして、
「しかも…。この事…。実は…。今回の…、対策室のメンバーで…。」

「うんうんうん。ホテルの帰り道ね〜〜。運転は営業推進部の都沢主任、そして助手席には海江田課長。でぇ〜〜、後ろには葉子と紫。」
そこまで言ってクスリと笑って、
「なんだか…、可笑しな組み合わせだけど…。」

「まだ。」
葉子、
「知っているのは、私と主任含めて、そのふたりだけで…。」

ニッコリとそして顔を傾げて励子、
「うんうんうん。知ってる。まっ、他言無用の今の対策室。こと、メンバーのプライベートとなれば、それこそシークレット。」

葉子、そんな励子に、
「…です。」

「…と言う事は〜〜。葉子の大親友の〜〜。輪湖にも…。」
「はい。言ってません。」

「そっか〜〜〜。うんうんうん。じゃ。とにかく、この事は…。」

畏まったような姿勢で葉子、
「お願いします。」

励子、腕組みをして、
「うん。分かった。」
そして励子、
「あっ。それとさ。…」

葉子、目をパチクリとさせて励子に、
「はい…???」

「秀美ちゃん、どお…???」

葉子、その声にも、
「はい。大丈夫です。順調です。」

励子、嬉しそうな顔をして、
「うん。分かった。」
そして後ろを振り向いて、
「ふふ。じゃね。」
そのままトイレの入り口に。

葉子、
「あの、励子さん…。トイレ…。」

瞬間、励子、また振り向いて、
「わっ。やばっ。」
急いでドアを…。そして、葉子に、
「もぅ〜〜。」
恥ずかしながら舌をチロリと出して。

葉子、
「お疲れ様です。」
トイレの入り口に…。

午後1時30分。都内のホテルに併設の喫茶レストランか…。
柱の陰で…。けれども周囲からは一切の気配を消してのある人物。
通行する人たちも特に気を止めることなく…。
その人物、あちらこちらにカメラを構えて。その度にシャッター音。
そして、あるポイントに焦点を合わせて、
「ふ〜〜〜。や〜〜っと、見つけた〜〜。…って言うか〜〜。顔写真と名前だけで探してくれったって…。無茶もいいとこ〜〜。…まっ。でも…、蛇の道は…なんとやら〜〜。」
そして被写体に望遠レンズ付きカメラを…。

連射するシャッター音。

「旦那様〜〜。高くつきますよ〜〜。」
つばの極端に広い麦わら帽子。ベージュのオールインワン。ジャンプスーツを着こなして…。
「ふ~~ん~~。こういう場所で…。彼女、何を…???…まっ。私には関係ないけど…。」
望遠レンズを撫でながら、
「しっかりと…、頂きました~~。一度、ゲットしたら、後は楽勝ね~~。チャオ~~。」

お昼休みにいつもの社員食堂。

輪湖、葉子に、
「ねぇ~~葉子~~。朝から、何やら元気ないんだけど…。何かあった…???」

その声に秀美も、ご飯を食べて、スプーンを持ちながら、
「あっ。うんうんうん。私も、今日、葉子先輩、なんだか…って。」

葉子、いきなりの輪湖と秀美の声に、
「へっ…???…うそうそうそ。私…???」

そんな葉子の顔に輪湖も秀美も、2回程頷いて、
「うんうん。」

輪湖、
「なんか…、葉子にしては、珍しく…。口数…少ないし…って、思っていた…訳だ…けど~~。何かあった…???」

そんな輪湖の声に葉子、輪湖と秀美を交互に見て。口を捻じ曲げて、
「ふん。」

輪湖、
「はっ…???」

葉子、
「朝から、ダル重~~~。」

そんな葉子に輪湖、
「はっ…???」

「まだ、朝の7時だっていうのに、おとうさんのお姉さん。つまりは私の叔母ちゃん。」

輪湖、
「うんうん。」

「リビングでかあさんと何やら話してたの。それ聞こえてリビングに行ったら。」
「うんうん。」

「おばちゃん、私に、葉子、はいはい。ちょっと来なさいって。」
「うんうん。」

「…で、何かと思ったら、私に、テーブルの上から、写真台帳を。」

瞬間、輪湖、
「写真台帳…。」
右目を歪めて…、
「へっ…???」
そして顔を傾げる。

すぐさま秀美、スプーンを持った右手の平で口に。
「へっ…???葉子先輩、写真台帳って、まさか…。」
目を真ん丸に。

輪湖、そんな秀美に、
「えっ…???写真台帳って、秀美ちゃん…???」

「輪湖先輩、ほらほら。」
写真台帳のサイズを両手でゼスチャーして、台帳を開いて中に指をトントン。

輪湖、目をパチクリと、口を噤んで…。すると…、
「うそ―――――――っ!!!」

こんな私です。~選葉子(すぐりようこ)~   vol,139.   「あっ。でも…、励子さん。この事…。」

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

《PR》
庄司紗千 花笠音頭

※ご本人の承認の下、紹介させて戴いております。

アメーバ
Source: THMIS mama “お洒落の小部屋