獏、スマホを耳にしながら小さな声で、
「小さなパネルで、宮越耀司贈…。」
輪湖、
「葉子…???」
秀美も、
「葉子先輩。」
虎一郎、
「ふん。何…???」
葉子、口を尖らせて、サワーのグラスを口に、一口。
「ん~~~。私も…、ただ、絵に頭を下げて…。…って言うのが、変だな…。とは、思うんだけど…。…ただ…。」
獏、
「ただ…。」
そんな葉子を見て匡子、
「なんか…、感じちゃったかな~~ヨウちゃん。」
「ただ…。…一瞬だったんだけど…。やたらと、丁寧な…頭の下げ方だったから…。」
輪湖、いきなり、
「おっと~~。」
秀美も、
「やたらと、丁寧な頭の下げ方…。」
獏も腕組みをして、
「ふん。…だと…したら…、確かに…、気になるね~~。つまりは…。」
獏、いきなりスツールから外して、両腕を前に、
「女性だったら…。」
そして左手の上に右手を…。上半身を僅かに前に屈んで…。
途端に輪湖、
「ぷっ。」
秀美は目を丸く。
葉子はいきなりそんな海江田を見て、僅かに体を左に引く。そして目をパチクリと。
虎一郎、左眉を歪めて、
「課長~~。何やってんですか~~。」
獏、葉子に、
「こんな…、感じ…???」
葉子、頭をコクリと、
「え、え~~。一瞬ではありましたけど…、確か、そんな感じに…。」
「一瞬…。」
「でも、その時、いきなり後ろから、都沢さんが、デカッって。私、びっくりして声の方に。」
その声に獏、一瞬ガッカリとしたように、
「…ってか、ヤッさん。」
虎一郎、
「都沢主任…。」
葉子、海江田を見て、頭をコクリと…。
獏、思わず頭を掻いて、
「…って言うか~~。もし…、これも…、ひとつの…調査…対象と、なれば…。」
陣屋、ワインを飲みながら、
「全然…、探しようがないよね~~。名前分かんなくって、顔だけって…。」
顔をグシャリとさせて…。カウンターに頬杖。
蔵井氏も、紫も、
「ふ~~~ん。」
「けどさ~~~。おいらも、こう言うのは…変だけどさ。その…、横浜トランキルマンヘブンズホテルの…、その…取締役とかの顔、一度、拝んでみたいよね~~。おいら、全く面識なんて、ないからさ~~。まっ、知ってるのは、その…、宮越弁護士~~。くらいなもんだからっさ。」
通。
その話に陣屋、
「あっ。そうだよね~~。通ちゃん。うんうんうん。確かに~~。学ちゃん、通ちゃんに横浜トランキルマンヘブンズホテルの社員の顔…、知ってもらっても、良くない…???」
いなきり振られての蔵井氏、
「えぇ…。まぁ~~。うん。構わないと思いますよ。通ちゃんも、しっかりと協力してくれている訳だし~~。」
通、途端に、
「ニッシッシッシ。」
そして紫にVサイン。
そして陣屋、紫に、
「紫~~。」
紫、
「あっ、はいはいはい。」
そして、バッグからタブレットを…。
「まっ。こういう時のためにも…ね。何処から情報が飛び込んで来るか、分かんないから。」
蔵井氏、
「おやおや。しっかりと…。」
紫、顔をコクリと、
「うん。私はね~~。…実際、ホテルのコンサルもしてるから…。万が一って時も…って。…でも、他の人は分かんないけど…。海江田課長や葉子は…。まっ。都沢君の場合は、いつも、肩に掛けてるから…。」
そして紫、タブレットをカウンターに。
「っと~~。」
画面に出たデジタルに、トントントン。トントントン。パスワードを入力。
陣屋、
「まっ。パスワードが分かんなきゃ、開けられないしね。」
紫、
「そういう事~。」
「しかも…、そのパスワードも、各自で管理。」
蔵井氏、
「えっ…???そうなんですか…???…これは、これは…。さすがにセキュリティ。」
陣屋、ドヤ顔で、
「ふふ~~ん。その辺は、しっかりと…。ガード。」
そして紫、アルバムを開いて、通に…。
「でも…、全社員だから…、かなりあるよ~~。」
タブレットを受け取って通、
「おっと~~。あんがとさん。」
そのタブレットの画像を通に横から、愛生も覗き見~~。
通、顔写真を見ながら…、
「でもさ。こういうのって言うのは…、案外…、起業の代表的、社長から。ほらね~~。」
陣屋と紫、そんな通に、
「へぇ~~え~~。」
通、顔はグシャリとしながらも目は真剣。ゆっくりゆっくりと…。
「この…、女性が~~。その…、マカオの…。」
紫、
「うん。そぅそぅ。」
通、
「さすがに…、ホテル経営してたって…、顔だよね~~。」
愛生もその画像を見て、
「奇麗~~~。」
「…で、この男子が…、オーストラリアのカジキ釣ってか…。」
そして、
「かかかかか。確かに、俺っれたっちゃタッフマン。…的な顔だわね~~。」
その声にクスクスと笑いながらの蔵井氏、
「古~~~~。」
陣屋は困った顔で、
「伊藤四朗ねぇ~~。」
紫は、
「何のCМだっけ~~???」
「いやいや。おぃおぃ。」
蔵井氏。
通、
「だから~~。タッフマン。」
こんな私です。~選葉子(すぐりようこ)~ vol,120. 「やたらと、丁寧な…頭の下げ方だったから…。」
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庄司紗千「海をこえて」
※ご本人の承認の下、紹介させて頂いております。