その声にいきなりビクンと後ろを振り向く葉子。都沢に、
「もぅ~~。びっくりさせないでくださいよ~~。都沢さ~~ん。」
エレベーターに入り込む光浦と添川。
都沢、壁に掛けられた絵を見て、
「いやいやいや。とにかくデカイ、どんくらいあるんだよ、これ~~。」
「縦2メートル。横3メートル。」
葉子。
都沢、
「いやいやいや。凄ぇ~~な~~。2メートルに3メートル。」
「ジョルジュ・スーラのグランドジャット島の日曜日の午後。点描で有名。」
そんな葉子に都沢、
「点描…???」
ふたり、共に後ろに振り向いてロビーの方に…。
「つまり、小さな斑点が幾つも重なり合って出来ている絵です。」
その声に都沢、
「うっそ!!!」
いきなり後ろに振り向き、小走りに壁の絵に。そして絵に顔を擦るように、
「ヒェ~~~。ほんとだ~~。」
そして葉子の下に小走りに、
「凄いっすよ、ホントに点で…。」
すると葉子、
「えぇ。」
「でも、凄いっすね~~、選さん。何でも知って…。」
そこまで言って都沢、
「あっ。」
葉子に指差して、
「佐藤浩市は、知らなかったっすよね。」
その声に葉子、唇を尖らせて、
「うるさいです。都沢さん。」
途端に都沢、口をへの字にして、
「あぃ。」
そして海江田たちの下に…。
海江田と紫、同時に、
「コーヒー、冷めちゃうぞ~~。」
その声に葉子と都沢も同時に、
「すみませ~~ん。」
尚登、
「おやおや。4人とも、それぞれ息ピッタリ。」
その声に海江田、
「はっ…???」
紫、
「えっ…???」
都沢、
「はい…???」
葉子、カップを持って、
「いただきます。」
尚登、
「…けど…。」
クシャリとした顔で、杏樹を見て…。
杏樹も、口を尖らせて、カップを…。
「振り出し…、ですね~~。」
海江田も紫も都沢も、
「ふ~~~ん。」
けれども…、その時、葉子、
「な~~んか、違和感…。」
その声に海江田、
「違和感…。」
紫も都沢も、尚登も杏樹も、
「違和感…。」
海江田、
「…と、言う事は…。」
その声に葉子、けれども顔を振り、
「分かりません。…でも、感じるんです。このホテルの中で…。」
紫、
「何…、その違和感…???…全然、分かんないんだけど…。」
その時、いきなり、
「専務、常務。」
メンバーがその声の方角に顔を…。
大翔である。
尚登、
「お~~っと~~。大翔さ~~ん。」
いきなりビクンとする紫。
海江田と都沢、共に目をパチクリとさせて。
杏樹、何かしら気弱に、
「お疲れ様です。」
尚登、大翔に手招きして…。大翔もニッコリとメンバーの席に。
海江田と都沢も笑顔で…。
尚登、大翔の背中に左手を回して、
「ご紹介します。鶴来大翔さん。」
その声にいきなり海江田、そして都沢に葉子、目をパチクリとさせて…、
「鶴来大翔って…。」
「じゃあ~~。」
葉子も、
「…と、言う事は…。」
いきなり葉子、紫を見て、
「主…。」
思わず葉子、口に左手を…。
そんな葉子に紫、右目を瞑り…。
途端に葉子、口を思いっきり窄めて…、目を真ん丸に。
尚登、大翔に、
「こちら、百貨店扶桑の方々。」
大翔、丁寧に頭を下げて、
「お世話になってます。」
海江田、すぐに名刺を前に、
「百貨店扶桑で、営業推進部、課長の海江田と申します。」
都沢も、名刺を、
「同じく、都沢と申します。」
紫も、
「百貨店扶桑で、財務企画部…、鈴村と申します。」
大翔、それぞれにお辞儀をしながら、
「ありがとうございます。」
そして最後に葉子、
「私は…、名刺…、持ってないので…。財務企画の…、選と申します。」
「選さん…。」
葉子、目をキョロキョロとさせて…。
…けれども、何故か大翔を全く無視するように杏樹。
紫、
「専務、何か…???」
杏樹、
「あっ、いえ…。えぇ。何も…。」
すると、大翔、
「みなさん、今回の事、本当に、ありがとうございます。よろしくお願いします。」
4人に丁寧に頭を下げて、
「それでは僕は…。」
尚登、
「おぅ。ありがとうな。うん。」
「失礼します。」
それぞれも大翔に座ったままでお辞儀をして…。
海江田、
「さて…。我々も、じゃあ…そろそろ。」
紫、
「ですね~~。」
尚登、
「みなさん、今回も、ありがとうございました。」
杏樹も丁寧に頭を下げて。
海江田、
「常務、まだ、終わってませんよ。」
その声に尚登、
「えぇ。」
そしてエントランスの外でふたりから送られて4人。
都沢、
「さてと~~。帰りますか。」
紫、
「事故は解消。今度は、スムーズに。」
海江田、
「だ~~な~~。」
葉子、
「……。」
そして車に乗り込み、数分後…。
紫、
「それにしても、日比谷部長、凄いよね~~。あの情報…。」
海江田、助手席で、
「ん~~~。」
そして海江田、
「ところで選さん、さっきの違和感…。」
紫も、体をシートから浮かせて、
「そぅそぅ。」
こんな私です。~選葉子(すぐりようこ)~ vol,116. その声にいきなりビクンと後ろを振り向く葉子。
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庄司紗千 「雫音〜shizukune〜」
※ご本人の承認の下、紹介させて戴いております。