ドキドキ 「それは、今も同じです。」
迷惑そうな北。

何も喋れずに困惑する杏樹。

北、
「時間の無駄かと…。」
そして北、
「申し訳ありませんけど…。…他に何もなければ、私は…。」
そして、
「失礼したい。」
ゆっくりと椅子から立ち上がり、ふたりに一礼をして、
「では…。」

「齋政大に入学し、国際ビジネスを学んだあなたは、ふたつの目的でオーストラリアに留学。そもそも学生時代に、大学を卒業しても企業に入社すると言う考えはなく、自身で起業してみたかった。それが若い頃からの夢。」
日比谷。

その話に北、
「えっ…???」

杏樹も日比谷を見て…。

日比谷、ニッコリと微笑みながら、北に向かって、
「如何かしら…???」

北、振り返って、日比谷に、
「何を…???」

パソコンの画面の面々の目が…。

「そんな北さん、あなたの大学卒業してからの目的は、フィッシングと外為。」
日比谷、口をも一文字に顔を傾げて、
「ね。」

すぐさま葉子、
「フィッシングと外為…。FX。」

紫、葉子を見て、
「FX…って…???」

葉子、紫の顔は見ずに、
「外国為替証拠金取引。」

海江田、頷いて、
「確かに。」

紫、
「外国為替証拠金取引…。どういう…???」

葉子、
「2つの国のお金の上げ下げの予想を取引する。」

紫、思わず、目が点。

都沢、
「凄ぇな。」

紫、
「都沢君、知ってる…???」

振られた都沢、いきなり空を見て、頭を傾げて…、
「…いや…。でも、聞いたことは…。」

紫、途端に、
「あぁ。聞く人、間違えた。」

杏樹、日比谷を見て、
「フィッシングと外為…???」

「つまりは、FX。外国為替証拠金取引の事。あなたは既に、この外為に大学時代からのめり込んでいた。しかも…、学生ながらにもかなりの収益を上げていた。」
日比谷。

海江田、
「へぇ~~。」

北、日比谷を僅かに睨み付けるように、
「あなたは…、何を…???」

「ただ…。外為、つまりはFXは日本にいても出来る。…けれども、日本では出来ないのが、フィッシング。」

葉子、顔を傾げて、
「釣が…???」

「ここで面白い事実が、出て来たのよね~~。」
ニッコリとしながら日比谷。

杏樹も、パソコンの画面のメンバーも、
「面白い事実…???」

「大学時代に知り合ったのかしら…???…お父様の…、ある同期の伝手で偶然にも知り合う事になる。しかも、その人物の趣味も釣。」

海江田、
「おっと~~。」

「ただ…。単に釣と言っても、川や防波堤や船釣りとは違う。」

都沢、
「ふん…???」

「もっとスケールのあるフィッシング。」

訝し気に日比谷を見る北。

「トローリング。」

すぐさま、海江田、
「わお。でかいね~~。」

「トローリング…と、言う事は…。」
葉子、顔を傾げて、
「もしかして…、マーリン…???」

都沢、
「マーリン…って…???」

「オーストラリアでマーリンと言えば、カジキの事。」
海江田。そして、
「へぇ~~~。カジキか~~。凄ぇな。」

日比谷、
「トローリングでカジキをゲットするのがとにかく最骨頂。」

そこまで聞いて北、口を搾って椅子に体を納める。
「どっから、そんな情報…。」

「そもそも、あなたも、子供の頃から釣りが好きで、大きな獲物があれば、その場に…。それが可能だったのも、外為で相当の収入を得ていたから…。学生でよ。企業がひとつ設立出来るほど…。」

その声に、杏樹、いきなり、目を見開いて、
「うそ。」

パソコン画面の面々も目を真ん丸に、
「マジ。」
「え~~~???」
「有り得ないでしょ。」
「凄ぇ~~。」
「……。」

「そんな、あなたが、大学時代に、父親のその同期の伝手で知り合った人物が…。」

全員、日比谷の顔に注目。

日比谷、
「宮越弁護士。」

都沢、
「来た~~~~。」

咄嗟に、葉子、
「この人も…、違う。…何かで…、失敗した…。」

その声に海江田、葉子を見て、
「えっ…???」

日比谷、続ける。
「ただ…、あなたの…、その…、宮越弁護士との出会いは…、結果的には…、運命の悪戯…、だったのかも…。」

「運命の悪戯…。」
杏樹。

パソコン画面の面々も、
「運命の悪戯…。」
「えっ…???」
「はっ…???」

日比谷、
「北さん、あなた、大学を卒業してすぐにトローリングの醍醐味と外為目的でオーストラリアに留学した。宮越弁護士の誘いもあって。…もちろん、宮越弁護士も大のトローリング好き。自分の船を所有するほど。」

都沢、
「凄ぇ~~。」

「とにかく大物のマーリンを求めて…。ただ…、その中に、ある人物がいたの。オーストラリア人の弁護士。ジョン・ウォーカー。オーストラリアで法律事務所を持っている。そして、ここからなんだけど~~。その人には、一人娘がいらっしゃる。メグ・ウォーカー。頭脳明晰で運動神経抜群。」

こんな私です。~選葉子(すぐりようこ)~   vol,112.   「運命の悪戯」

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庄司紗千「海をこえて」
※ご本人の承認の下、紹介させて頂いております。

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Source: THMIS mama “お洒落の小部屋