葉子、
「そして、今回の記事は週刊文脈。そして、記事を書いた記者の名前は、フリーの記者の前園敦也。…そして、肝心のホテルキャッスルチャイナの社長の名前は、天佑(チンヨウ)。そして…。その社長の側近の秘書が、林杏(リンシン)と言う女性。」
紫、葉子を見て、
「リンシン…。秘書…???」
都沢、
「凄っ、秘書まで…。」
海江田、葉子を見て、
「さっすが。」
葉子、
「多分、阿刀田常務。この顔を…ご存じですか…???…今、送りました。」
その声に尚登、
「えっ…???えっ…???」
杏樹、指で、トン。
尚登、おちょぼ口に、
「へぇ~~。何とも、凛々しい…。かっこ…いいっすね~~。」
そんな尚登に杏樹、また、
「常務~~。」
葉子、
「そして…。」
また指をトン。
「今、送りました。これは、全員にです。」
海江田、
「どれどれ~~。へぇ~~。この…人が…、もしかして…、社長秘書。名前が…、林杏(リンシン)。」
都沢、いきなり笑顔満面に、
「凄ぇ~~。まるでモデル…。」
紫、口を捻じ曲げて、
「都沢~~。」
「おっと、ヤバッ。」
紫、葉子に、
「いや…。葉子、社長ならいざ知らず、秘書の画像…。どうやって…???…検索しても…。」
その声に葉子、口を尖らせて、目を真ん丸に。
海江田、
「ふ~~~ん~~???…もしかして…、ベストセラー作家…???」
紫と都沢、同時に海江田を、
「ベストセラー作家~???」
「確かに。」
いきなり美琴。
全員、美琴に顔を…。
美琴、笑顔で、
「ありがとう。阿刀田常務は、これで、あなたはこの件とは一切関わりない。疑いが晴れたわね。」
そしてまたニッコリ。
葉子、
「えぇ。」
「本当に、申し訳ない。」
いきなり尚登、また頭を下げて…。
杏樹、傍で、
「だから、常務~~。もぅ~~。頭、下げるの、それで何回目…???」
そんなふたりに紫、
「ふふふ。何だか、ご夫婦みたい。」
都沢、いきなり後ろを振り向いて、
「えっ…???…そうなんですか…???」
海江田、そんな都沢に、
「…な訳…。」
いきなり杏樹と尚登、
「えっ…???」
「いえいえいえ。全然。」
杏樹、いきなり慌てて。
尚登、照れながら、
「かかかか。…んな訳ないでしょ。こんな奇麗な人が…。はは。…こんな僕に…???…ははは。悪い冗談。分…不相応…。」
すぐさま杏樹、尚登を見て右目を僅かに歪めて…。
美琴、
「とにかく…。後は…、ふたり…。」
杏樹と葉子、
「えぇ。」
そして海江田も、
「そぅ…。ですね。」
紫、
「取締役の…、ふたり…かぁ。」
都沢、
「取締役のふたり…。川峯伊織取締役と北大祐取締役。」
海江田、美琴に、
「社長、おふたりは…???」
美琴、杏樹に、
「久留巳専務。」
杏樹、美琴を見て、4人を見て、
「えぇ…。取締役の内、2人は一昨日、出張でこちらに戻っては来ているんですが…、川峯取締役と北取締役は、まだ、シンガポールの方に…。視察に…。そのままマレーシアに回って…、来週に日本に。向うのスケジュール上、変更できないらしく…。」
海江田、
「3日後…か。」
美琴、
「とにかく…。疑い…たくはないけど…。久留巳専務、ふたりの過去、直近まで、隈なく。」
杏樹、美琴に、
「畏まりました。」
その時、葉子、
「あ、あのぉ~~。鶴来社長。」
美琴、その声に、
「はい。」
「川峯取締役の事ですけど…。」
「えぇ。」
ふと、紫、
「ちょ、ちょっと…、葉子…。」
美琴、そんな鈴村に、笑顔で、
「いえ。続けて頂戴。今の状況下、とにかく、情報は、全て曝け出さないと…。天春社長からも…。けれども、決して、動くことはないようにと…。」
紫、
「鶴来…社長…。」
美琴、
「選さん。」
葉子、
「はい。川峯取締役なんですけど…。こちらの…、取締役になる前に…、マカオで…。」
美琴、葉子を見て、
「えぇ。」
そして、
「専務。」
杏樹、
「はい。私の方から…。」
海江田、口を搾って、
「ふん。」
杏樹、タブレットを見ながら…、
「まだ、整理段階なのですが…。川峯伊織、マカオでユーピテルホテル経営。若い頃より帝王学を学び…。」
都沢、
「若い頃より帝王学…、凄いっすね~。課長。」
海江田、小さく、
「あぁ。」
杏樹、
「その経営力でマカオでは日本人ながらも、しかも、女性でマカオのホテル業界、5本の指に入るほどの経営力。」
海江田と都沢、そして紫も、
「ほぅ~~。」
「凄ぇや。」
「凄~~い。」
「けれども、ホテルの業績が上がれば上がるほど、自身の持って生まれた投資の才能にも火が付く。そして、世に言われるリーマンショック。その事が引き金となり、投資に失敗。その後、マカオのホテル業界からは、姿を消しています。」
こんな私です。~選葉子(すぐりようこ)~ vol,087. 葉子、「阿刀田常務。この顔を…ご存じですか…???」
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