その事実を知った美琴、杏樹に、
「まさか…。ここに、過去、中国に関わっていた。…いえ…、出生地が中国、しかも北京の人物がいたなんて…。それよりも何より、尚登までが中国…。信じられない。」
杏樹、美琴の声に、
「えぇ…。私も本人から聞いて驚いて…。履歴書には中国の事は何も…。本人からすれば、日本に来たのが13歳。日本の中学に編入してそのまま。履歴書には確かに、日本の高校からの記述でしたから、現住所のみで…。」
美琴、
「まさか…、尚登が…、中国、北京出身。」
いきなり背中に冷たい汗を感じる美琴だったが…。
「でも…。尚登…以外にも、中国人…。」
その声に杏樹、
「えぇ。取締役の北大祐(きただいすけ)。」
美琴、腕組みしながらも右手親指で下唇を撫でながら…。
「北…、大祐…。」
「同じく、北取締役も…、中国は北京出身。年齢こそ常務とは異なりますが、小学時代に日本に。そしてそのまま日本に帰化。」
杏樹。
美琴、窓から振り向いて、
「そして…。もうひとりは…???」
その声に杏樹、
「はい。取締役の、川峯伊織(かわみねいおり)。」
そして杏樹、
「残念ですが…、社長が一番お気に入りの取締役の…、川峯さん。」
「えぇ。あの人は…、正に、ホテル業に関していえば、プロフェッショナル。経営手腕、抜群の…。宮越耀司(みやこしようじ)弁護士の紹介で…。」
杏樹、
「えぇ…。宮越先生から、ビジネスセンスは抜群、何と言っても、経営手腕が見事。マカオでは知らない企業人はいないほど。…と、絶賛されて…。…でも、そんな人が何故、日本に…???…けれども、その事を尋ねると先生も川峯さんも余り良い顔をされないので…。家族関係でもあるのか…との噂が専らで…、ホテルでは、封印されているほど…。」
美琴、
「確かに…。ビジネス界で言えば、正に、現代版ワーキングウーマン。」
そこまで言って美琴、
「でも、伊織にしても、そんな…、大胆な事、出来る。…いいえ…、逆に、男性だったら、尚登。女性なら伊織。それほどまでに愛されてるでしょう、伊織も~~。とにかく腰が低い。」
杏樹、美琴の声に、
「えぇ。」
そして美琴、
「分かったわ。まず、とにかく、扶桑の東風さんに連絡して頂戴。結果が出た以上、連絡しない訳には…。ただ、このまま…、こっちの調査は続けて頂戴。もしかして…、どんなどんでん返しが起こるか、分かったもんじゃない。」
杏樹、
「承知しました。」
けれども美琴、
「…それにしても、…。」
そこまで言って、顔を傾げて、
「変よね~~。」
杏樹、
「…変…???」
「えぇ…。…あれだけ、大々的に、週刊誌ですっぱ抜かれた割に、何故か、全く、そういう…雰囲気すら、感じない。…メディアや報道が、動く…、はずなんだけど…。」
そして杏樹に、
「杏樹、あなたにも、それらしき…、動きって…???」
杏樹、その声に軽く首を振って、
「いいえ…。」
そして杏樹、その場で姿勢を正して、
「…では、社長、直ちに。」
「えぇ。お願い。」
そしてその報告は、扶桑の東風美波に入って、すぐさま、各部署の部長から対策室メンバーに。
紫、葉子に、
「葉子~~。行くよ~~。」
葉子、そんな紫に、
「あっ。はい。」
向かい席の輪湖、
「ひぇ~~。葉子のあの一言が…。何とヒット~~。」
葉子の隣で秀美も、ニッコリと、
「葉子先輩。ファイト。」
そんな秀美に、目を丸く、口を一文字に、葉子、
「うん。ありがと。」
廊下を歩きながら紫、葉子に、右親指を立てて、
「葉子~~、グッジョブ。」
そんな紫に葉子、
「いえいえ。」
そしてエレベーターを降りたふたり。
…と、同時に、階段からふたりの男性。
都沢、紫と葉子を見て、
「あは。」
海江田も、
「ヨッ。」
紫と葉子、ふたりに頭を下げて、
「お疲れ様です。」
海江田、
「聞きましたか。」
紫、
「はい。」
「では。」
紫と都沢、前に。
海江田、瞬間、葉子にニッコリと、両眉を上下に。
葉子も、同じく両眉を…。
そして、対策室の中に…。
既に他の3人は揃っている。
4人がそれぞれの席に就いて、手元の資料を見た瞬間、
「えっ!!!」
美海、
「そうなの。結果、そういう事に…。」
紫、都沢、そして海江田、葉子、それぞれが、
「まさか…。…常務の阿刀田さんまで…。中国…出身。」
海江田、何か、狐につままれるような反応で、
「いや…、全然、そんな風には…。なぁ。」
都沢に…。
都沢も、見る目を疑うように、
「え…、え~~。」
海江田、紫と葉子を見て…。
紫も首を傾げ、そして葉子は口を尖らせる。
こんな私です。~選葉子(すぐりようこ)~ vol,081. 「まさか…。ここに、過去、中国に関わっていた。」
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庄司紗千 つつじヶ丘の坂道で…。
※ご本人の承認の下、紹介させて頂いております。