ドキドキ  ゲラの出先は、「週刊文脈(しゅうかんぶんみゃく)」

葉子、
「週刊文脈…。名前だけは…聞いたこと、あるけど…。…ここと何で扶桑…???」

そこに紫、
「営業推進部の都沢さん。」

その声に葉子も輪湖も秀美も尚子も、
「えっ…???…都沢さん…???」

「彼がここの編集部の人とコネがあるのよ~~。だから、そこから…。横浜トランキルマンヘブンズホテルの一大事。ある意味、それは扶桑の一大事でもある。都沢さんが、全部署に。」

その声に4人、
「コネ…???…営業推進部の…、都沢さん…???」

紫、頭をコクリと…。
「えぇ…。元々、横浜トランキルマンヘブンズホテルは、社長こそ、鶴来美琴(つるぎみこと)と言って、扶桑の元会長がホテルの社長をやってみないかって言って始めたホテルだったの。元会長の経営不振でデパートが傾き掛けて、破産寸前だったところ。売却も検討したらしいんだけど…。今度はそれに今のウチの社長、だったらその土地と建物の所有権、全て私に頂戴って。」

その話に4人、黙ったままで、
「……。」

紫、続ける。
「…で、横浜の…、その…、ホテル。今、物凄い人気絶頂じゃない。横浜のシンボルとでも言われるホテルに成長した。」

尚子、その声に、何度も頷いて、
「うんうんうん。横浜のホテル、調べても必ずトップ表示。」

紫、
「…で、そんな話が持ち上がって…。鶴来社長も、私も、拾われた命。やれるだけやって…。鶴来社長、実は天春社長の、叔母なの。」

輪湖と尚子、そして秀美、その話に、
「え゛―――――――っ!!!」

葉子だけが、
「わお。」

「だから、尚更。もぅ~~。社長もしょっちゅう、トランキルマンヘブンズホテルには行ってる。業績も絶好調。まっ、天春社長の肝いりがねぇ~~。何とも素敵。そんな訳で…。」

「な~~に言ってるんですか~~、紫主任。そういうあなただって~。バトンを渡されて、トランキルマンヘブンズホテル、今でも変わらず、財務のコンサルタント役~~。」
いきなり蔵井氏。

 

輪湖と尚子、
「えっ…???…そうだったんですか…???」

蔵井氏、そんな輪湖と尚子を見てニッコリと、そして頷き、
「えぇ~~。かれこれ、もぅ~~。20年以上。トランキルマンヘブンズホテル立ち上げ当初から、営業と財務のコンサルタントは社外の外注ではなく、扶桑から出す。そぅ決まってたとか…、天春社長の手腕で…。ま、確かに、ホテルと百貨店、別々ではありますが、土地と建物は社長の所有物。事実上、天春社長がオーナー。」

輪湖、
「ほんとだ。葉子の言った通り。」

紫、
「私は、前の…、ここの、柳美知留(やなぎみちる)さんからバトンを渡されたって、訳。」

蔵井氏、
「柳美知留。」
腕組みをして、
「懐かしい名前だね~~。紫君の、前のここの主任。」

輪湖と秀美、そして尚子、
「へぇ~~~。」

葉子、
「…で、課長…、営業推進部では、前から都沢さん…???」

蔵井氏、その声に、
「いや…。営業推進部でも…。」
そこまで言って、
「あれ~~。…誰だったっけ~~。」

紫、
「菅沼(すがぬま)さん。菅沼春瑠(すがぬまはる)さん。女性が社長だから、最初は女性同士の方がいいだろうって、社長が部長に言ったらしい。」

3人、
「へぇ~~~。」

葉子は数回頷く。

輪湖、
「あっ、いや…。でも…。私たち、ここの仕事に、横浜トランキルマンヘブンズホテルの財務の仕事って…。全然、聞かされて…。」

そんな輪湖の声に紫、
「ある訳ないでしょう~~開示、する必要もない。」

輪湖と尚子、その声に顔を傾げて、
「…必要も…、ない…???…どういう事…???」

そこに葉子と秀美、
「…つまりは、営業も、財務も、コンサル料…、横浜トランキルマンヘブンズホテルからは、一銭も受け取っていない。」

紫、ふたりの声に笑顔で頷いて、
「そういう事。」

輪湖、
「えっ!!!…じゃ~~。ただで…???」

その声に蔵井氏、いきなり、
「ぷっ!!!…そう来ますか…。」

輪湖と尚子、目を真ん丸に、
「い、いやいやいや。だって…。」

紫、ニッコリと、
「まね~~。私も、営業の都沢君も…。ん~~。うん。確かに…。ただで…。コンサルタント。…なんだ…、けど~~。」
そこで紫、いきなり口をへの字にして、とぼけたような顔で、
「ニッ。」

その顔が可笑しかったのか葉子、思わず口だけ凹ましたような表情で…。

輪湖と尚子、
「ちょ~~っと、主任~~。教えてくださいよ~~。」

秀美はそんな光景を見て、顔を傾げて、
「えっ…???」

紫、そんな4人の前で蔵井氏に、
「課長…、言って…、いいんですか…???」

蔵井氏、顔を傾げて…。
「ま、まぁ…。ねぇ~~。…状況が…、状況で…。」

輪湖と尚子、そんな蔵井氏に、
「はっ…???…状況が、状況…。」

「それは扶桑の一大事でもある。」

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Source: THMIS mama “お洒落の小部屋