「そのオーナーの一言が切っ掛けだったって…。」
獏。
「つまりは、そのオーナーの一言で、その…、友達の友達が、俄然、自分のパートナーとしてナンシーに猛アタックしちゃった訳。私と組まないって。」
匡子、その話に、
「へえ…???」
獏が続ける。
「必要以上にその彼女がナンシーに何度も何度も。…で、仕方ない程度でナンシーも、その…、友達の友達の彼女…、の、話を聞くことに。」
匡子、２、３度頷き、
「うんうん。」
「実は、自分で、アパレルの会社を立ち上げたかったんだって…。その彼女。」
匡子、
「へぇ～～。」
「…で、彼女から会社の事、詳しく聞いたら。」
「うんうん。」
面白そうに匡子。
「ナンシーが、ワ～～ンダフル、面白そう～～って。土台、その彼女自身、会社設立ってその考え方。基本が出来てたらしいんだ。…けど。ひとりじゃ不安。経営力は抜群。ただ、アイディアが…、今一。」
匡子、腕組みをして、
「ふんふん。」
「…で、ナンシーもやる気になって…。…但し。会社は絶対におっきくしない。後々が面倒。工場と提携する。私たちは、とにかく、企画開発。そしてマーケティング、営業販売。そして経営のみ。社員も増やさない。１００人なんてとんでもない。両手で抱える程度で丁度いい。」
後ろで佐武郎が懸命に動いている。
匡子、獏の後ろを通る客に手を振って愛想を振舞って。
客も匡子を見て、
「ヨッ。匡ちゃん。相変わらず奇麗だ～～。」
匡子、
「あは、ありがと。トイレ…???」
「あぁ…。」
「余り飲み過ぎないでよ～～。」
客、匡子に敬礼して、
「了解で～～す。」
獏、続ける。
「…で、銀行と取引して、会社、立ち上げ。マンションの一室。」
匡子、
「うんうん。」
「絶対に、無理しない。計画通りにする。体が壊れたらそれこそ台無し。そんなこんなで会社立ち上げて、ナンシーのアイディア、そしてデザインで洋服作ったら、物凄い反響。」
いきなり匡子、驚いて、
「へぇ～～～。」
「作る服、作る服、みんな売れて行く。あれやこれやで、立ち上げ…１年掛からなかったらしい。運転資金から何から、全て返済。借金ゼロ。しかも、収益は増えて行く。アメリカに、イブロマンってファッションブランドあるんだけど…。叔母貴、知らない…???」
その話に匡子、いきなり眉を吊り上げ、
「ん～～～。あんまり、ファッションには…、詳しく…。洋服、買うのは…好きだけどね～～。」
獏、スマホでササササッと。そして画面を…。そして匡子に、
「これ…。」
スマホ受け取り、見て、匡子、
「へぇ～～。凄～～い。うんうんうん。素敵～～。ほんと…、斬新ね～～。」
「今のアメリカ人にウケているファッション。…なんだけど～～。ん～～。」
獏、いきなり腕組みして、そして顔を傾げて、
「どうなるんだろ。ナンシーがいなくなって…。細々と、会社は続いてるって、噂では聞くけど…。」
「へぇ～～。そぅなんだ～～。」
匡子、獏に、
「ちょっといい…???アルバム覗いて…???」
獏、
「ふん。いいけど…。あんまり、写真なんて撮らないから…。」
匡子、撮られてある画像を見て。そして、そのナンシーの画像を見て、
「ん～～～。とにかく。どう見ても、ヨウちゃん。」
その声に獏、
「えへ…???…選さん…。選葉子さん。」
匡子、口を真一文字に、
「うん。」
「全然、そんな風には見えないんだけど…なぁ～～。」
その声に匡子、困ったような顔で、
「なんでだろうね～～???」
獏、グラスの中身を全部飲み切って、
「さて…と。帰って寝るわ。」
その声に首をコクリと匡子、
「うん。」
「じゃね。」
「あ～～、獏～。仕事、順調～～???」
その声に、
「ん～～～。」
目は天井、そして僅かに顔を傾げて、
「ちょっと、引っ掛かる事があるけど…。まっ、まぁまぁだね～～。」
匡子、いきなり口を尖らせて、
「ちょっと引っ掛かる事…???何よそれ…???」
「まぁ～～～。ん～～。追々、話せる時が、来るんじゃないかな…。事後報告って奴で…。」
「何…???あんたから、そんな事聞くと、余計、気になるんだけど…。」
少し眉を吊り上げて。
獏、バッグを持って、
「かかかか。気になっちゃうか～～。ん～～。だよね～～。」
ニッコリと。そして目をあちらこちらに…。そして、
「匡姉ぇ～～。M&Aって、知ってる…???」
匡子、すかさず、
「はっ…???…何それ…???…全然…。」
獏、また笑いながら、
「だよね～～。じゃ、おやすみ～～。」
佐武郎、獏に丁寧にお辞儀をして。
匡子、まだ眉を吊り上げて、
「何…???…その…エムアンド、なんてらって…???」
こんな私です。～選葉子(すぐりようこ)～ vol,056. 「自分のパートナーとしてナンシーに猛アタック…。」
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※ご本人の承認の下、紹介させて頂いております。
Source: THMIS mama “お洒落の小部屋
