ドキドキ 和奏と蒼介も凡そ2か月ぶりの将輝に、リビングから、
「あら~~。将輝君~~。」
「おほほほほ。しばらく~~。」

将輝、和奏と蒼介にお辞儀をして、
「どうもです~~。」

リビングから出て来た蒼介、
「ここ、しばらく顔見せなかったから、どうしたものかと…。」
けれども頭を掻いて、
「でもね~~。社会人。なにかと、忙しいでしょう。」
そう言いながら玄関を見ると、いつもの自転車がない。
「あれ…???…自転車は…???」

その蒼介に将輝、照れ臭そうに、
「車、買っちゃいました~~。」

瞬間、理沙、蒼介共に、
「え―――――――っ!!!」

理沙、
「うそうそ。」
と言いながらそのまま車椅子を…、庭から出て、ガレージの方に。

蒼介も庭から和奏を、
「かあさん。」

すると…。

理沙、
「すんご~~。かかかかか。」

蒼介、
「へぇ~~。いやいやいや。」

将輝、
「まっ、中古ですけどね~~。とうさんから、まっ、これで暫く、練習しろって…。」

和奏もガレージに、
「へっ…???これって…将輝君の車…???凄~~い。あの自転車だったのに~~???」

蒼介、
「てぇ~事は、仕事に免許取得に、時間…???」

将輝、照れながら、
「まっ、そんな訳で、ここんとこ…、かなり…。」

「うんうんうん。」

そして、それからの将輝と理沙、高校時代とは異なり、
かなりのバスケの練習やトレーニングに時間を費やした。
目まぐるしく過ぎていく時間と日々。そして、それに比例しての試合がほぼ毎月。
多い時にはひと月に数試合に出場。

理沙も将輝も馨も、入学、就職して半年は環境への変化に体を慣らすのに集中。
そしてそれからが早かった。

元々バスケバカ的な将輝と馨も、そのバスケのセンスで周りからも憧れる存在に。
方や理沙も、負けず嫌いな性格でもありながら、
近づいてくる人には優しく接して好感を浴び、友達を増やしいていた。
当然ながら、実業団と大学、今までの経験とは比較にならなかったが、
それでもとにかく食らい付いていた。
そして、1年目の後半には3人…、共に頭角を現していた。

瑞樹家にしても、菅田家にしても、可能な限りに試合の観戦に。
気付いてみれば大学生活はその殆どがバスケライフで占められていた。
その証拠が瑞樹家、菅田家同様にリビングに飾られた複数の賞とトロフィ、カップたち。
特に瑞樹家のリビングの壁、そして廊下の壁までもが理沙を称えた賞状で並べられた。
それは大学2年目から与えられた賜物である。

そして、その大学2年目から理沙の知らないところから水面下で動いていたものがあった。
実業団チームからのスカウトである。
大学2年目からいきなり脚光を浴び始めた理沙に周囲の注目が集まったのである。
とある、大学選抜選手権で、いきなり得点王。
素早いプレーと高い技術力がその得点王に導いた。
そして、その得点王から結びついたのが最優秀選手賞。
そして…、初めて理沙が雑誌や新聞に載ったのだった。

それを見た馨、将輝に、
「かかかか。理沙さん凄ぇぞ~~。すんげぇ写真写り~~。」

その声に、将輝は、
「ふ~~ん、まっ、そんなもんじゃねぇか…。」

蒼介、和奏、そして流美や丈師、栞奈に麗亜も歓喜。

そして、やがて、大学を通しての理沙へのファンレターや応援のはがきや手紙、
そしてネット上のSNSでも…。そして、その後も理沙の大学での健闘は続いたのだった。

一方、東京バスケット実業団チーム尾神電工、
露口礼司(つゆぐちれいじ)監督率いるチームも、毎回の功績に世間も注目していた。
そして、気付いてみれば、大学時代の理沙、
3年目にして、数件の実業団からのオファを受けていた。
週に一度は帰宅する理沙。こちらも、週に一度は帰宅する将輝。
懸命に庭のバスケットコートで練習する理沙と将輝。

そんなふたりを見て蒼介と和奏、
「さ~~て、どうするのかな~~。」
「まっ、多分、頭の中では決まっていそうだけど…。」

その声に蒼介、
「…だろうけどね~~。」

練習しながら将輝、理沙に、
「…で…???どうすんの…???…まっ、おまえの事だから、もぅ、決まってんじゃねぇ…。」

そんな将輝に理沙、
「うるさいよね~~。黙って練習出来ない訳~~。」

「はい。はい。」
そして、将輝、
「いやいやいや。それにしても、凄ぇところからのお誘い~~。なぁ~~。実業団の中でも最高だろう~。」

その声に理沙、ようやく、
「うん。」

「まっ。当然、迷うけどな~~。…けど、俺だったら…、多分、あそこ。」

理沙、そんな将輝に、
「何々…???どこよ~~???」

シュートを決めた将輝、そのボールを持ちながら、
「理沙~~。おまえだって、もぅ~決まってんだろ…。」

「だから…。」

将輝、
「せ~~~のっ!!!」

ふたり同時に、
「石輪大ルーク。」

途端に将輝、
「かかかか。そ~~れみろ~~。」

信じて…良かった。   vol.240.   大学2年目から与えられた賜物。

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庄司紗千「おふろ月夜」
※ご本人の承認の下、紹介させて頂いております。

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Source: THMIS mama “お洒落の小部屋