浩紀、いきなり柚花を見て、
「あっ。」
結奈は結奈で、思わず、
「ぷっ。」
将輝は将輝で、
「えっ…???」
柚花、
「だ~~って、ず~~っと、おじちゃんとばっかり~~、将輝君~~。」
その声に浩紀、思わず、
「かかかかか。…だよな~~。かかか。ついつい将輝君、バスケの話から…。しかも…、俺もバスケだったら…。かかか。柚花、ごめんな~~。」
柚花、膨れっ面になって、
「ふん。」
将輝、
「あっ。でも…。弓狩監督って…、大学辞めた後…。」
浩紀、
「ふん…???監督…???」
「はい。」
いきなり柚花、
「もぅ~~。将輝く~~ん。」
将輝、いきなり柚花に、
「あっ。」
結奈、
「はははは。いいじゃない、柚花~~。話しくらい~~。あなた、将輝君の事、好きなんでしょ。それは変わらない事だから…。」
その声に柚花、ぶすっとした顔で、
「なんだ…けど~~。」
浩紀、将輝に、
「監督…、大学辞めてから…。」
将輝、コクリと、
「はい。」
「アメリカに渡った。」
「アメリカに…???」
目をパチクリと将輝。
「あぁ。小野倉の怪我の後、自分からその責任を取って大学辞めて、もっとバスケの事を学びたくって。アメリカの…、バスケの本場、NBAに…。」
将輝、目を見開いて、
「NBA…。」
柚花、浩紀を見て、
「NBAって…???」
浩紀、
「ナショナルバスケットアソシエーション。文字通り、バスケの本場。しかも、バスケの最高峰。」
将輝、また、
「NBA…。そうだったんだ~~。」
「でも、その後は…NBAから…、どうしたのかは…、俺も…、知らないけど…。」
すぐさま将輝、
「今、僕もNBAの動画、見てるんです。」
「へぇ~~。」
その時、結奈、
「あのね、ふたりとも~~。」
その声に浩紀、
「えっ…???」
将輝は、
「あっ。」
結奈、
「そろそろ…、いいかな~~って、思ってね~~。今まで柚花、ふたりの話、聞いてたんだから~~、少しは柚花にも…。」
浩紀、途端に、
「あっ。」
将輝、柚花を見て。柚花は、そんな将輝に、口を尖らせて…。
結奈、
「ねね、将輝く~~ん。」
将輝、思わず、
「あっ、はい。」
「こんな事…、私が訊くのも変なんだけど~~。」
柚花を見て、
「将輝君は~~。その…、瑞樹さん…、その子の事、好き…???」
瞬間、柚花、顔を赤らませて…。
浩紀、
「おっと~~。いきなりダイレクトに…。」
将輝、思わず目をパチクリと…。
「えっ…???」
そして両眉を歪めて…。しかも、顔を傾げて…。数秒…。
そして今度は左手を首の後ろを撫でて…。
「え~~~???」
そして両目を右左に…。そして目を止めて…、
「ふん。全然。」
いきなり浩紀、顔だけ前に、
「えへ…???」
結奈、思わず口を尖らせて目を丸く…。
柚花も目を丸く、結奈と同じように口を尖らせて…。
結奈、
「へぇ~~~。将輝君、その子の事…、好きじゃないんだ~~。」
将輝、咄嗟に、
「俺が…、理沙を…???」
小さな声で…。そして左手を目の前で左右に…。
そしてまた小さな声で、
「いやいやいや。そりゃないでしょ。あんな強情っぱり。」
そして結奈に頭をコクリと、
「はい。好き…じゃ、ないです。」
瞬間、浩紀、将輝を見て、
「いや。あっ。でも。」
そしてチラリと柚花を見て、
「でも、将輝君、その子とバスケの…。日曜日もその子の家に。…で、障害者スポーツセンターにも…。」
そして浩紀、
「その…、障害者スポーツセンターには、いつ…???」
将輝、
「毎週…、土曜日です。土曜日の午前中に…。そして昼前には終了して…。」
「それって…、どうやって…???…その子、車椅子で…。」
「瑞樹さん。おかあさんが車で…。」
浩紀、大きく頷いて、
「あ~~~。うんうんうん。そうか~~。」
結奈、
「話を聞いてると~~。今まで半年間、その子の車椅子バスケ…。」
将輝、結奈の声に、
「はい。」
「付き合ってきて…。…でも、その子の事を…、好きと言う感情は…、持ってない。」
将輝、いきなり顔を下に向けて、左手で頭を撫でて、
「ん~~。好きって言うのは…。ん~~、ない…、ですね~~。その子…。あっ、理沙って言うんですけど…。」
結奈、
「りさ…???」
浩紀も柚花も、
「りさ…。」
将輝、
「はい。瑞樹理沙。とにかく、強情っぱりで、いつもツンツンしてる。」
浩紀、
「へぇ~~。」
「…でも、瑞樹さん、おとうさんとおかあさん、物凄く、いい人なんです。」
浩紀、また、
「へぇ~~。」
「おとうさんやおかあさんに、バスケの事、よろしくって言われて。」
信じて…良かった。 vol.199. 「ず~~っと、おじちゃんとばっかり~~、将輝君~~。」
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庄司紗千 「雫音〜shizukune〜」
※ご本人の承認の下、紹介させて戴いております。