スマホの向こう、涼香の声、
「じゃね~~。」
通話はプツリと切れる。
将輝、口をグンニャリとさせて、
「…って、涼香さんが会ってくれって…言うから…。」
そして将輝、
「…ってか、なんで…???麗亜も涼香さんも…、理沙の事…って…???…あいつと俺…、何か…あんの…???」
日曜日、柚花は従姉の結婚式に。
そして…、建国記念日の2月11日。
理沙は杏美と共にデパートに。和奏が伴って…。
杏美、
「ふふん。どんなの買うの…???」
理沙、あちらこちらを…。
ショップには大勢の女性たち。
理沙、あれこれと杏美にリクエスト。
その度に杏美、そんな理沙のリクエストに応えて様々なチョコを理沙に。
その度に理沙、
「ん~~~。」
杏美、
「こんなの、将輝君に、いいんじゃない…???」
その声に理沙、
「え~~~???…あいつに~~。やんないよ~~。」
杏美、瞬間、目を真ん丸く、
「うそでしょ。」
瞬間、和奏、
「ぷっ。」
そして、
「な~~んだか~~。」
理沙、実際に頭の中にあった人物が…、医師の駒田。
そして弓狩と小野倉。そして父親の蒼介と一樹。
残念ながら、全く将輝の顔は思い浮かばなかった。
理沙、
「…なんで、あいつにチョコ…???…冗談でしょ。」
杏美、少し不貞腐れた顔をしながらも、
「まっ、理沙がそういうんなら…いいけど…。」
けれども杏美、
「…ん…???…けどさ~~。まさか…、義理1個…って、事じゃ、ないよね~~。」
その声に理沙、
「かかかかか。それはない、それはない。昨日の夜、お姉ぇにも言われたけど~~。あんた、今度のバレンタイン、どうすんのって…???」
自分が見たいチョコに数人の女性。
理沙、
「あ、ごめんなさい。」
するとその女性、ニッコリと…。そして右手をひらひらとさせて、
「んん~~ん。はい。どうぞ~~。」
優しく場所を進めてくれる。
理沙、
「ありがとうございます。」
そして、杏美に、
「私、毎年、毎年、バレンタインって、私の場合は、おとうさんに。…でも、お姉ぇ、今回ばかりは…、と言うか、これからは、とうさんにだけって、言うのは…、無理かもよ~~って…。」
その話に杏美、
「ふ~~ん。」
そして和奏を見て…。
和奏、そんな杏美にニッコリと、
「ふふ。」
理沙、チョコを手に見ながら、
「それに、これからは手作りチョコ…。ん~~~。やって出来ない事はないだろうけど~~。当分は、無理かな~~。あっ、これにしよ。」
杏美、理沙の傍で離れないように、
「ふ~~ん。」
凡そ20分程、カートには数個のチョコが…。
レジも結構、女性で混んでいる。
杏美、理沙を抱くように車椅子の上のカートの中身を見て、
「かかかか。何個あんのよ…???」
理沙、
「…何個…だろ…???」
顔を上に向けながら、
「駒田先生…。弓狩監督~~。小野倉さ~ん…。それから…、看護婦さんたちにも~~。」
聞きながら杏美、
「あ~~。もぅ~~いい。うん。」
「この半年間、私、殆ど買い物って、してないから…、お小遣い、へへ。おとうさんも、理沙のお金~~。お小遣いなんだから~、思いっきり使えばって。」
母親を見ながら…。
そんな理沙に和奏も首をコクリと、
「当然です。」
理沙、
「それはそうと…、アズ、あんたはどうすんの…???チョコ…???」
その声に杏美、
「あ~~ん私…???ふん。もう出来てる~~。」
理沙目をパチクリと、
「へっ…???」
そして、
「あ~~ん、かかかか、アズは手作りだったよね~~。」
そんな理沙に杏美、首をコクリと、
「うん。まっ、あげる相手はとうさんと兄貴だし。適当に作ってあげちゃう。」
腕組みしながら、
「どうも…、な~~んか、出来合いって、やなんだよな~~。」
その声に理沙、
「かかかか、出た、アズのこだわり~~。」
前の女性がレジから出て行く。理沙、
「お願いしま~~す。」
そして、まずは病院の診察室。
バッグの中から駒田に理沙、
「先生、これ、どうぞ。」
駒田の前にチョコレートを。
駒田、
「えっ!!!…僕に…???わお。嬉しいね~~。かかかか。」
そして看護師たちにも…。けれども、ここでは逆に、看護師たちから理沙、
「うっそ~~~。逆に私がもらっちゃったよ~~。」
凪、そんな理沙に、
「ふふ~~ん。多分、みんな、同じ事、考えてるんじゃ。はははは。」
夏希、笑顔で、
「うんうん。そんなもんよ。とにかく、素敵な関係だから。ねっ、瑞樹さん。」
和奏に。
和奏も、丁寧にお辞儀をして、
「ありがとうございます。甘えちゃいます。」
凪と夏希、
「どうぞ、どうぞ。」
信じて…良かった。 vol.191. 理沙は杏美と共にデパートに。
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庄司紗千「おふろ月夜」
※ご本人の承認の下、紹介させて頂いております。