ボールはバッグボードに当たり、そしてリンクの中に、「ザシュ。」
理沙、ひとりでニッコリと、そして右手でガッツポーズ。
「オシ。」
「オ~~ホ~~、ナイッシュッ。」
後ろから声。
理沙、振り向いて、
「あはっ。せ~~んせぃ。え~~~~、江梨子先生も~~。かかかか。」
一樹、
「いやな。小宮山先生、どうしても瑞樹に会いたいって。かかかか。おまえのファンだから。」
江梨子、車椅子、スポーツウェアにジャンパー。そして首にはしっかりマフラー。
そして帽子。そんな理沙を見て、何故か自然に涙が出てきて、
「理沙さ~~ん。」
理沙に駆け寄りいきなりハグ。
理沙、嬉しくなって、
「かっかかかかか、江梨子先生~~。ありがとう~~。」
そして江梨子、体を放して理沙の頭をポンポンと。
理沙、
「かかかか、江梨子先生、涙~~。」
江梨子、涙を指で拭きながら、
「だ~~って~。全然会えないんだも~~ん。…それより、理沙さん、あなた、寒くないの…???」
一樹も、気になって、
「おぃ、瑞樹~~。大丈夫なのかぁ~~???」
その声に理沙、ニッコリと、
「くくくく、秘密兵器、見せようか…。」
すると理沙、ジャンパーのファスナー、そしてスポーツウェアのファスナーも、そして、
「ジャ~~ン。」
それを見た瞬間、江梨子と一樹、
「え゛~~~~ぇ???」
一樹、
「いやいやいやいや。なんとも…。凄ぇなこりゃ。」
江梨子、口に両手を、
「凄~~~。」
理沙、
「へへへへへへ~~。おかあさんの手作り~~。」
スポーツウェアの下にはベスト。そのベストの前後ろに何個ものポケット。
その中に使い捨てカイロが入っている。しかもウエストにも和奏お手製のベルト。
ポケットが真ん中に3個ほど。そして膝掛けにもポケットが…、共に使い捨てカイロ。
一樹、
「いやいやいや。凄ぇな~~。こりゃ、外から見ちゃ、全然分かんないけど、確かに、温かそう。」
何かしら、外から声が…。で、リビングのサッシを…、和奏、
「あら、先生~~~。」
一樹と江梨子、和奏に振り向いてお辞儀を…。
和奏、
「どうぞ~~。散らかってますけど~~。」
一樹と江梨子、またお辞儀をして…。
江梨子、
「凄~~いお宅~~。」
一樹、
「…でしょう~~。」
理沙、
「私、もう少しやってから~~。」
一樹、その声に、右手を上げて、
「おぅ~~。」
江梨子、
「凄~~い、理沙さん、元気~~。」
一樹、
「え~~~。…でも、実際、元気でいてもらわないと、困ります。」
江梨子、そんな一樹に唇を絞って、笑顔で、
「うんうん。ですよね~~。」
一樹、玄関の引き戸を開けて、
「お邪魔しま~~す。」
江梨子も、
「お邪魔しま~~す。」
和奏、小走りで、そして、ふたりに丁寧にお辞儀をして、
「いらっしゃいませ~~。ささ、どうぞ、どうぞ。」
理沙のスマホにライン。
杏美から…。
「いっき、そっち行った…???」
理沙、
「ふん。来てるけど…???」
「…で…???…どんな感じ…???」
そのメッセージに理沙、
「はっ…???」
するとまた杏美から、
「いやいやいや。江梨子先生も一緒でしょ。」
「ふん。」
「どんな感じ…???」
理沙、一瞬、リビングの方を見て、頭を傾げて、
「いや…。どんな感じって…言われ…ても~~。」
そのまま送信。
杏美、
「バカ、あんた、理沙。いっきと江梨子先生、一緒。」
理沙、
「一緒…。…だから…???」
「あ~~~ん。だから~~。いい、理沙っ。江梨子先生、いっきの事、好きなんだよ。」
その文字に、いきなり理沙、驚いたような顔で、
「え゛―――――――ぇっ!!!」
理沙、そのまま口に右手を。
そしてまた右手を放して、杏美からのメッセージを…、今度は小さく、
「え゛~~~ぇ…。」
杏美から、
「おぃ。リアクション、ないんだけど…。」
「いやいやいや。リアクションって…。私、そんな事、全然、知らないし…。」
「知る訳…、ないでしょ。私だって知ったの、昨日だから…。」
「はっ…???」
「ある筋からの情報。これは、間違いない。」
「ある筋からの情報って…???」
理沙、空を見て、
「あっ、そか。芙美だ。…って、芙美、今、受験勉強中~~。」
「…なんだ…けど~~。その…、芙美のおかあさん。」
「うんうんうん。」
その瞬間、理沙、
「わお。寒っ。」
そして、
「ごめん。後で…。家ん中、入るわ。」
「家の中って…???まさか…、外で練習~~???」
「うん。」
「うそ。風邪ひくぞ~~。」
信じて…良かった。 vol.176. 理沙、ニッコリと、「くくくく、秘密兵器、見せようか…。」
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庄司紗千ハッピーストライド
※ご本人の承認の下、紹介させて頂いております。
Source: THMIS mama “お洒落の小部屋