小野倉、いきなり、
「お~~し、ナイス、リバウンド~~。」
それと同時に、ホイッスル。
第3クオーター終了。
「22対24」
小野倉、
「接戦だなこりゃ~~。」
邑、
「なんだか、凄い熱気。」
理沙も、
「うんうん。なんだか、ウィンターカップの時とも、また違った熱気。」
邑、そんな理沙に、
「へぇ~~~。」
ニッコリと。
将輝、
「理沙さん、監督たちの傍で、試合、見てたから。」
「あっ、そっか~~。うん。そうだね~~。」
そして邑、
「あっ、理沙さん、今も家で…、練習~???」
理沙、
「あっ。はい。…でも、寒くって、少しでも温かくなってきたとき…。でも…、30分が限界。」
邑、
「す~~ご~~。」
そんな理沙に将輝、
「ばか、おま…、あんま、無理すんな。」
邑、そんな将輝に、
「あらら。」
そして第3クォーター終了間際に小野倉、大きな声で。
「おしっ!!!」
理沙、また真ん丸の目になって大口になって、
「うそっ!!!」
将輝、
「凄ぇ~~。」
車椅子、傾きながらのシュート。
弓狩、
「ナイス。」
邑、
「あんな事も出来るのね~~。」
理沙、将輝に、
「あれって…???」
また将輝の肘のジャージを引っ張って。
けれど、将輝も、頭を傾げて、
「あっ、い…、いや…、俺も…。」
小野倉、
「ティルティング。」
理沙、将輝、
「ティルティング…。」
小野倉、
「うん。ほら。バスケならジャンプは当たり前だけど、車椅子ではジャンプが出来ない。」
理沙と将輝、頷きながら、
「うんうん。」
「そのジャンプ力を補うための技術、車椅子の片輪を上げて傾ける事によって、高さを出す。…けど、高度な技術だ。ある意味、空中戦のプレー。」
理沙、
「へぇ~~。凄~~い。」
観覧席でも杏美、
「ねね、今、車椅子、傾きながらシュート。」
馨も、
「うんうん。俺にもそう見えた。」
丈師、
「ん~~~。」
理沙、
「終わっちゃった~~。あと、ひとつ。」
将輝、
「あぁ~~。」
2分後、また選手たちはコートに。
第4クォーター。
点差はシーソーゲーム。
理沙、興奮気味に、
「早い、早い、早い―――――っ。」
そして、その後…、
「わっ!!!」
また車椅子が転倒。けれども…。
理沙、いきなり両頬に両手を、
「え――――――っ!!!」
車椅子、横に転倒はしたものの、勢いで片手が床に。
そして一回転したように車椅子はパタンと元のままに。
「凄―――――っ。」
観覧席でも、馨と栞奈、そして杏美がいきなり前のめりに、
「嘘だろ。」
「凄っ。」
「なんで…、出来る…???」
勢いが止まらない。
そして…、残り10秒。
その瞬間、エムブレムの観覧席、
「え~~~~。」
落胆の声。
将輝、
「ファールだ。…で、フリースロー。」
理沙、
「残り…、10秒だよ~~。」
ニューバード側のフリースロー。
2本が決まり同点。
その瞬間、エンブレム側、静まり返る。
理沙、
「入っちゃった~~。」
そして3本目。またもやネットにザシュ。
理沙、泣きそうな声で、
「やだよ~~。」
ニューバード側の選手、それぞれがタッチ。
エンブレム側、落胆。
残り3秒。
ニューバード選手たち、ゆっくりと…。
その時、エンブレムのゴール下から、いきなりボールが…。
ボールはセンターで一度バウンドして、待機していたエンブレムの選手がキャッチ。
そのまま猛ダッシュでニューバードゴールにシュート。
ニューバード選手、その選手のマークに追いつけず。ボールはネットに。
そして床に、トントントン。そしてホイッスル。
静まり返る会場。
理沙と邑、そして将輝、
「えっ???」
そして観覧席でも、
「えっ…???」
「今のって…???」
「うそ…。」
2秒後、弓狩、
「ホ~~ッホッホッホッ。」
三博、
「お~~し。」
睦実、
「OK、OK。」
エンブレムサイド、
「勝った―――――――っ!!!」
コート内のエンブレム選手、ガッツポーズ。
ニューバード選手、顔をあちらこちらと…。
小野倉、
「かっかかかかか。勝ちました~~。しかも、1点差~~。」
理沙と邑を見ながら、ニッコリと。
「たかが、練習試合と言えども~~。」
理沙と邑、顔を見合わせて、
「凄~~い。勝った~~。」
「うんうんうん。」
将輝、顔を綻ばせながら、
「凄ぇや、まさか。」
観覧席でも栞奈と杏美、その場で体を揺らしながら、
「凄い、凄い、35対34。1点差~~。」
丈師、
「ふ~~。ハラハラさせやがる。」
理沙、また真ん丸の目になって大口になって、「うそっ!!!」
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庄司紗千「おふろ月夜」
※ご本人の承認の下、紹介させて頂いております。