栞奈、壁のモニターに、
「あっ、アズちゃん。」
スピーカーから、息せき切った声の杏美、
「はぁ、はぁ。あけましておめでとうございます。あ〜〜。」
理沙、車椅子でスルスルと。そして玄関に、
「アズ〜〜。開いてるから〜〜。」
その声に杏美、引き戸を開けて、完全防備の姿で、白い息を吐いて、
「さ〜〜むぅ〜〜。」
そして杏美、理沙に向かってお辞儀をして、
「あけまして、おめでとうございます。」
栞奈、理沙の後ろに。その栞奈に杏美、また、お辞儀をして、
「あけまして、おめでとうございます。」
すると今度は栞奈の後ろに和奏、
「はい、アズちゃん。」
杏美、また頭を下げて、
「あけまして、おめでとうございます。」
すると今度は、和奏の背中の方で蒼介、
「トイレ、トイレ〜〜。」
そして、
「あは、アズちゃ〜ん…???」
杏美、頭を下げて、
「あ、おじちゃん。」
理沙、いきなり、
「スト〜〜ップ。」
栞奈も、
「かかかかか、一体、何人に頭下げるつもり〜〜???かかかか。」
理沙、杏美に、
「あけまして、おめでとう。」
和奏も栞奈も、
「あけましておめでとうございます。」
杏美、チロリと舌を出して。
「まだ、来ないよね、将輝君たち。」
その声に理沙、
「まだでしょ。あれからまだ、15分も経ってない。」
和奏、
「あっ、そっか〜〜。じゃ、アズちゃんも一緒に〜〜???」
理沙、
「うん。」
将輝からの電話が切れた後にすぐに杏美からのライン。
理沙、これから菅田のファミリーと一緒に車椅子バスケのゲームに出掛けるとメッセージを送信。
すると杏美から電話で、「私も行く~~。」との事。
すぐさま将輝に電話するとOKだと言う。
杏美、急いで瑞樹家に駆け付けたのであった。
理沙、杏美、そして栞奈とゆっくり理沙の部屋に向かう。
その時、また玄関からチャイム。
理沙と栞奈、同時に、
「おっと~~。」
リビングから和奏の声、
「理沙~~。将輝く~~ん。」
和奏、モニターの将輝に、
「玄関、開いてるから中にどうぞ~~。」
将輝、
「あっ、はい。失礼しま~~す。」
栞奈、
「はいはい。はいはい。」
そして玄関に、
「はい、将輝君、あけまして、おめでとうございます。」
姿勢を正してペコリと頭を下げて。
将輝、
「あ…、あけまして、おめでとうございます。」
栞奈、
「ちょっと待っててね~~。ごめん。」
左手を振って…。
そして数分後…。2階からはどたどたと栞奈。
そして、
「理沙~~~。」
理沙と杏美、理沙の部屋から、
「はいはいはい。」
和奏と蒼介もリビングから出てきて…。
将輝、
「あっ、おじさん、おばさん、あけまして、おめでとうございます。」
蒼介、
「おぅ。あけましておめでとう~。今年もよろしく。」
和奏、ニッコリと、
「うん。今年もよろしく。あけまして、おめでとう。」
すると、引き戸のガラスに黒い影。
和奏、
「あっ、おとうさんじゃない。」
将輝、引き戸を開けると…。
丈師、
「あっ。ども。」
そして中に頭を下げて、
「あけましておめでとうございます。」
蒼介、
「あけましておめでとうございます。」
和奏、
「すみません、今日は…。よろしくお願いします。」
丈師、ニッコリと、
「いえいえ。」
そして、
「仕度の…方は…???」
栞奈と理沙、
「はい。OKです。」
「うん。じゃ。」
道路上ではバンが…。
杏美と理沙、その車を見て、
「おっきぃ~~。」
丈師、
「ちょっと…、魚臭いかも…知れないけど…。」
栞奈、そして理沙と杏美、
「魚…???」
将輝、
「とうさん、趣味が…、釣りなんだ。」
その声に3人、
「あ~~~。」
そして車に…。
瞬間、栞奈、理沙、杏美、
「わっ。」
既に後部座席に麗亜と馨。
栞奈、
「かかかかか。うんうん。」
理沙、
「麗亜ちゃ~~ん。馨く~~ん。」
馨、
「ヨッ。」
麗亜、左手を振りながら、
「あけましておめでとう~~。」
そして助手席からも、
「あけましておめでとう~~。」
栞奈と理沙、
「流美さ~~ん。」
流美、
「イェ~~イ。」
丈師、
「将輝~、理沙さん、いいか~~。」
将輝、
「おっと~~。」
「その前に…、栞奈さん、杏美さん、先に。」
栞奈と杏美、
「あっ、はい。」
そして丈師、
「理沙さん、ちょっとごめんね。」
そう言うと、アームレストのジョイント押して後ろに。そして。理沙をお姫様だっこ。
瞬間、理沙、顔を赤らめて、
「わっ。」
和奏、栞奈、そして杏美、目を真ん丸く、
「す~~ご~~。」
馨、
「あっ、俺も…。」
と、馨も動くが…。既に丈師と将輝で…。
馨、右眉を歪ませて…、
「あ…、はははは。用なしだわ…、俺…。」
瞬間、杏美、栞奈、
「ぷっ。」
杏美、馨の右脇腹を左握り拳でトン。
「かかかか。」
信じて…良かった。 vol.161. リビングから和奏の声、「理沙~~。将輝く~~ん。」
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
《PR》
庄司紗千「海をこえて」
※ご本人の承認の下、紹介させて頂いております。