将輝、和奏に、
「おばさん、この人が、理沙さんの怪我、診てくれた…。えっ…と~~。」
邑、目の前の女性に丁寧にお辞儀をして、
「横峯邑(よこみねゆう)と申します。」
自分に深々とお辞儀をするその女性を見て和奏、思わず目をパチクリさせて、
「…こ、こちらこそ、娘がお世話になりまして…。」
その女性を見て、少し慌てたような仕草を…。
そんな女性を見て邑、少し頭を傾げて微笑んで…。
和奏、瞬間、
「あっ、ごめんなさい。」
頭をペコリと…。
邑、そんな女性ににこやかに顔を振り、
「いいえ~~。」
和奏、再び頭をペコリとさせて、また、
「ご、ごめんなさいね~~。」
邑、また再び微笑んで顔を横に振る。
和奏、女性を見て、
「…いや。あの…、娘から聞いてるんです。薬師丸ひろ子に似てるって。」
その声に邑、にこやかに笑って、口元に右手を、
「もぅ~~。慣れてますから…・。」
和奏、
「…だから、もぅ~~。びっくり。それに、声までも似てらっしゃって…。」
そして和奏、将輝に、
「ねね、将輝君、薬師丸ひろ子って知ってる…???」
いきなり振られて将輝、恥ずかしそうに、
「あ、いや~~。」
そんな将輝にも邑、にっこりと、
「将輝君は、知らないわよね~~。」
将輝、恥ずかしがりながら頭を掻いて、
「す、すみません。」
けれども瞬間、将輝、
「あっ、おばさん。横峯さん。漆原総合病院の…。」
和奏、瞬間、
「はっ!!!」
そして、
「うんうんうん。そぅそぅそぅ。」
そして和奏、
「あ、あのぅ~~。漆原総合病院の…、整形外科の…。」
その声に邑、
「え~~。私も以前、働いていた病院で…、整形外科病棟は…、ある意味、古巣的な場所なんです。」
和奏、話を聞きながら笑顔で頷く。そして、
「師長の倉前さんも主任の高崎さんも。」
邑、
「えぇ、えぇ。存じております。ふたりとも、今も…。」
和奏、
「はい。娘が本当にお世話になって~~。」
「この前、ふたりから電話がありまして、頑張っているそうで。」
そして邑、
「私も…。」
そしてゲームを見ながら、
「20年にもなりますから…。…理沙さん、頑張ってるわね~~。うん。良い感じ。」
和奏、
「ありがとうございます。」
それから2分後、ゲーム終了。
理沙、母と将輝の下に。そして邑に右手を上げて、
「横峯さ~~ん。ははは。」
邑も、
「はい、理沙さん、元気、元気~~。いいね~~。」
理沙、笑顔で、
「はい。」
「それに、凄~~い、もぅ、みんなと一緒に~~。おばさん、見ていてび~~っくり~~。小野倉さんからも聞いてて、そして、漆原病院の看護師長と看護主任からも電話頂いて~~。」
理沙、頭をコクリと、
「はい。私が倉前さんと高崎さんに話したんです。」
邑、
「そぅ~~。ありがとね~~。」
そして、
「うん。元気そうな理沙さん見れて安心した。じゃ、頑張って。また。」
そう言うと邑、右手の平をひらひらとさせて3人から離れる。
和奏と理沙、
「ありがとうございます。」
頭をペコリと。
和奏、
「ほんとに薬師丸ひろ子に似てるよね~~。」
理沙、
「でしょ、でしょ。」
けれども将輝はなんとも顔を捻って。
そんな将輝に理沙、左手拳でドン。
将輝、いきなり体をよろめかせて、
「痛って~~。」
理沙も左手をぶらぶらさせて、
「痛った~~~。」
ぐしゃりとした顔で、
「骨に当たったよ~~。」
将輝、食らったところを右手で押さえながら…、
「…ったく~~。」
和奏、
「はい。じゃ、帰る準備して。」
帰りがてら事務に寄り挨拶。職員も3人にお辞儀をして。
そして、一週間後には、先に鴻上高校が学期末試験。
その翌日には名城高校が学期末試験。
期間はどちらも5日間。そして、その期間だけは部活は休みとなる。
理沙はひとり、会議室で…。担当教諭は早紀友理子(さきゆりこ)音楽教諭である。
友理子、
「理沙さん、オンラインで頑張ってるって~~。」
その声に理沙、
「はい。」
「いつもとは、ちょっと違う雰囲気だと思うけど、頑張って。」
「はい。」
「じゃ、始めようか。」
理沙、コクリと。
理沙、朝から気になっていた将輝と馨の事。
それは、教室で試験を受けている杏美、芙美、雅美、そして麻理絵と麻都香も同様だった。
理沙、
「大丈夫なのかなぁ、あのふたり~。」
杏美も、
「どうなってるか~???」
芙美、
「ふん。」
雅美、
「さてさて~~。」
麻理絵、
「やるっきゃないでしょ。」
麻都香、
「やれるだけ頑張れぃ~~。」
信じて…良かった。 vol.146. 「この人が、理沙さんの怪我、診てくれた…。」
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庄司紗千 つつじヶ丘の坂道で…。
※ご本人の承認の下、紹介させて頂いております。
Source: THMIS mama “お洒落の小部屋