ドキドキ 理沙、自分の部屋から出て、
「な~~に~~???」

栞奈も階段をトントンと。
リビングでは蒼介が自分の指定席の椅子に。

栞奈、
「えっ…???…どしたの、とうさんもかあさんも。珍しい、椅子じゃん。」

理沙もテーブルの自分の指定席に、
「何…???」

蒼介も和奏も神妙な面持ちで…。
栞奈、椅子に座る。

和奏、ふたりを見て両肘をテーブルに、両手を合わせて、
「あのね。実は、おとうさんから大事な話がある。」

瞬間、栞奈、父親を見て、
「うん…???」

理沙も、
「……。」

蒼介、テーブルの下、両太ももに両手を当てて、
「あのね。実は、昨日の事なんだけど、警察から電話があった。」

瞬間、栞奈、
「えっ…!!!」
すぐさま理沙を見て。

理沙、口を噤んで。

蒼介、ふたりを交互に見て、
「結果から先に言うとさ。…理沙の事故の…、轢き逃げ犯、見つかった。」

栞奈、思わずガッツポーズ、
「おし。」
そして、理沙を見て、
「やった~~。」
そしてニッコリ。

理沙もそんな姉を見てニッコリと、姉の右肩に左手を、
「お姉ぇ。」

そんなふたりを見て笑顔の和奏。けれどもすぐに表情は崩れる。

蒼介、
「うん。轢き逃げ犯、見つかった。…で、昨日、おとうさんがまず、警察に行ってきた。」

栞奈、
「ふん。」
けれども、すぐさま、
「へっ…???…なんで…???」
理沙を見て、母親を見て、
「いやいやいや。犯人捕まって、なんでとうさん、警察に…???」

その声に静かな和奏。

蒼介、栞奈のその声に、今度は両腕を胸の前で組んで、
「うん。…それなんだ…けど…。」

蒼介、警察に行って、相手の人を見た事をふたりに話す。

瞬間、栞奈も理沙も、
「うそっ。鬱。」

蒼介、頭をコクリ。

理沙、母を見て、
「おかあさん。」

和奏、理沙にチョコンと顔を、
「うん。鬱だった。」

栞奈、
「そんな…。」

蒼介、
「悪いことに、記憶障害も…。過去の事は…覚えていない。」

栞奈、苦い顔をして、
「え~~~~???」

理沙は、
「……。」
そして口をぎっしりと噤んで。

「その女性の人、事故に遭った事、家族に話さなかったらしい。…と、言うか、話せなかった。」

栞奈、
「うそでしょう~~。」

「根っからの優しい人で…、けれども、かなりの小心者。子供が虫を取って見せるだけでもぅダメ。」

栞奈、
「えっ…???子供がいるんだ。」

蒼介、
「あぁ。」

和奏も、頭をコクリと、
「うん。5歳の男の子と3歳の女の子。」

「え~~~~???」

「だから。」
蒼介、
「事故に遭ったことも、怖くて家族に話せず。そして旦那様と共に、旦那様の実家、鹿児島に帰った。その後、その…、轢き逃げした奥さん、パニック障害に陥った。つまりは、うつ病に罹っちゃった。」

そこまで聞いて栞奈、理沙を見て、
「えっ…???…ちょっと待って。」
父を見て、母を見て、
「何々、じゃあ、事故の事って、その奥さん、うつ病になったら、しかも記憶障害って。事故の事、さっぱり。」

その声に蒼介、頷いて、
「そぅ~~。」

和奏も口を噤んで、けれども、頭をコクリ。そして、
「そっ。」

栞奈、
「ちょっ、ちょっと、待ってよ。」
両手を左右に動かしながら。

蒼介、
「だから。だから、こんなに時が掛かった。普通なら、有り得ない。家族に、こぅこぅ、こう言う事がありました。正直に話して、出頭してくる。…でも、それが、出来なかった。」

いきなり理沙、
「おとうさん。」

和奏、理沙を見て。

蒼介、そんな理沙に、
「うん…???」

理沙、
「その、子供たち…、どうなるの…???まだ小さい。」

和奏、その声に、
「うん。そうだね。」

蒼介、
「ふ~~ん。」
溜息を突いて、そして目だけ下を向いて…。
「その奥さん。子供たちの事も…。」
首を横に。

和奏も、同じく。

栞奈、目を見開いて、
「へっ…???…うそ…。子供たちの事、その人、分かんないの…???」

蒼介、目はテーブルの上に、真一文字の口から、そして、
「うん。そぉ。その奥さん、子供たちの事、分からない。」

瞬間、栞奈、
「え゛~~~~~。」

理沙、次第に目が赤く、そして、
「やだよ。やだよ、そんなの…。」
ポツリと涙が頬に。泣き声になって、
「やだよ、おかあさんが子供たち、分かんないなんて。」

和奏、そんな理沙を見て、
「うん。そうだねぇ。」

栞奈、
「理沙…。」

信じて…良かった。   vol.133.   「あのね。実は、おとうさんから大事な話がある。」

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Source: THMIS mama “お洒落の小部屋