小野倉、車椅子を押して廊下に。
そして事務所に、
「すみませ~~ん、横峯(よこみね)さ~~ん。」
名前を呼ばれた女性、
「あ~~、は~~い。」
「ちょっとすみませ~~ん、怪我しちゃって。」
「あらあらあら。」
そして女性は別のドアから。
小野倉、車椅子を押して、その女性の後ろを…。
女性がある部屋のドアを。
理沙、
「すみません。」
女性、
「いえいえ。」
小野倉、
「ごめんね。」
「と~~んでもない。こういう時のために、私、いるんですから。」
「ありがとうございます。」
将輝、
「…ここって…???」
室内にはベッドが2台にカーテン。
そして白いキャビネットにいろんな瓶やら容器やら…。
学校の保健室みたいな部屋。
小野倉、
「救護室。」
将輝と理沙、
「救護室…。」
「まぁ~~。スポーツ。…けど、いろいろと、体調悪くなったり、怪我したりする人もいるから…。そのための部屋。」
横峯と言われた女性、私服の上に白衣を着て、
「ごめんね~~。ちょっと見せてくれる~~。」
理沙、
「あっ、すみません。」
横峯、ワゴンを引っ張り…。
小野倉、
「右のこめかみの…。」
「あらら。やっちゃったか~~。」
理沙、また、
「すみません。」
「んんん。いいの。でも、軽い傷で良かったよね~~。」
小野倉、
「横峯さん。元看護婦さん。」
その声に将輝も理沙も、
「へぇ~~~~。」
瞬間、理沙、
「あっ、ごめんなさい。」
横峯、
「ふふん。大丈夫。」
小野倉、
「どことなく、薬師丸ひろ子に似てない…???」
理沙、
「あっ、そういわれれば…。」
そんな小野倉に横峯、
「センター長~~。」
小野倉、将輝に、
「ねっ、似てるでしょ。」
けれども将輝、困った顔をして、顔を傾げて…。
理沙、
「将輝君、多分…知らないかも…。」
その声に小野倉、
「えっ…???うそ…???あんなに有名なのに…。」
横峯、チラリと目だけ小野倉の傍の男子に…。
理沙、
「バスケバカだから。」
その声に横峯、
「ぷっ。」
将輝、小さな声で、
「ほっとけ。」
小野倉、
「横峯さん。横峯邑(よこみねゆう)さん。ちょっと、読めないかな~~。ネームプレートを見ないと…。」
理沙、
「あっ、ほんとだ~~。巴に口。へぇ~~。これで、ゆうって読むんだ~~。」
「ある病院の看護婦で、子供が生まれて現役リタイヤ。でも、その子供も成長して…。けど、またいきなり看護婦って言うのは…。…と、言う事で、ここの事務の仕事もやりながらの…、救護って訳で…。お願いしてる。」
邑、
「はい。できました~~。」
理沙、
「ありがとうございます。えっ…???」
理沙、思わず、
「あっ、声も、なんだか薬師丸ひろ子に似てる~~。」
瞬間、小野倉、
「エライッ!!!良~~く気が付いた~~。」
邑、女の子を見て、
「ぷっ。」
将輝は始終頭を傾げて。
邑、堪忍したように、
「はい。みなさんから良く言われます。薬師丸ひろ子に似てるって。」
理沙、
「や~~~。凄い、凄い。ほんと、ほんと、似てる~~。」
そして将輝に振り向いて、
「ねぇ。」
将輝、何かしら、寝惚けたような顔をして。
理沙、瞬間、
「ぷっ。」
そして邑の顔を見て、
「聞く相手、間違えた。」
小野倉、将輝に、
「ほんとに知らないの…???」
邑、また、
「センター長~~。」
将輝、顔と頭をひょこんと前に、
「すんません。スポーツ選手の事なら、殆ど…。…でも、芸能人って、全く…。」
小野倉、
「へぇ~~~。…じゃ、やっぱり、マイケルジョーダン…???」
その名前に将輝、いきなり目を見開いて、
「めっちゃ神様ですっ!!!」
その声が大き過ぎた。
理沙、
「わっ、びっくりした~~。」
邑、
「くくくくく。」
小野倉、
「理沙さんは、マイケルジョーダン…???」
その声に理沙、今度は、
「えっ…???…と~~。それは~~。」
今度は理沙が頭を傾げて。
「じゃあ~~。タイガーウッズ…???」
将輝、
「凄いっすよね~~。かっこ良すぎますよ~~。」
理沙は、目をパチクリ、そして口を噤んで…。
邑、そんな目の前の女の子に笑顔で、
「そんな、分かんないよね~~。いきなりスポーツって…。ふふふ。」
そして、
「はい。もぅいいわよ~~。」
将輝、頭を下げて、
「すんませんでした~~。」
と、同時に理沙も、
「ありがとうございました~~。」
ふたり同時に。
そしてふたり同時に顔を見合わせて、
「えっ…???」
信じて…良かった。 vol.115. 小野倉、車椅子を押して廊下に。
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庄司紗千 きっと大丈夫
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