理沙、将輝に、
「でもさぁ、弓狩監督って、実際、どんな人…???」
将輝、その声に、
「どんな人…???…ん~~。まぁ、理沙さんも知っていると…、思うけど…。」
理沙、
「うん。」
「日本大学バスケの強豪、ほら、都築大学。あそこの~、1年の時からレギュラー入りって…。…で、大学バスケリーグで2度の優勝、2度の準優勝したって。」
その話に理沙、
「へぇ~~。凄~~い。」
両手中指でボールを押えて、ぐるぐると回しながら…。
「…で、大学卒業後、監督に就任したんだって…。でも…、その後が、なんで大学辞めたのか…???…で、ウチの監督になったの…かは、俺も知らない。多分…、マネージャーなら、知ってると思うけど…。」
理沙、
「マネージャーって、涼香さん…???」
「うん。」
そして将輝、
「涼香さん、練習メニューまで完璧だから。」
「へっ…???うそ…???」
ボールを両手で持って、そして将輝を見て理沙。
将輝、
「あぁ~~。あぁ見えて涼香さん、かなりシビア。」
「あんな奇麗なのに…。」
将輝、咄嗟に、
「奇麗…???」
頭を傾げて。
瞬間、理沙、将輝の頭にボールを、
「バカ。」
跳ね返ったボールを取り理沙、
「や~~ろぅっと~~。」
将輝、
「痛ぇっつぅの~~。」
理沙、
「かかかか。馨君さぁ、誰か好きな人って、いるの…???」
いきなりの声に将輝、
「は、あ…???」
ハンドリムを懸命に左手で、そしてドリブルをしながら理沙、
「ヨッ。」
ボールは高く、そしてボードに掠る程度に当たりリンクの中に。
床に落ちて跳ね返るボールを理沙。将輝に、
「ねぇ~~。」
将輝、
「なんだよ~~。」
「だから、馨く~~ん。」
「馨が~~???」
理沙、口を絞って、
「ん~~。なんかさ…。私の友達に、馨君、好きなんじゃないかな~~って…。」
瞬間、将輝、
「は~~あ…???」
理沙、途端に、顔を凹ませて、
「いやいやいやいや。ただ、単に私が、そぅ…、思ってるだけで…。」
「馨の…好きな…人…???…ふん。多分…、麗亜。」
すぐさま理沙、
「うそ―――――――――っ!!!!」
いきなり口に両手を当てて、
「えっ…???えっ…???え――――――――っ!!!!うそうそうそ。そぅなの…???」
将輝、頭を傾げて、
「ん~~~。…じゃ、ないのかな~~って…。いや。いっつも、ちっちゃいときから俺ら、3人で遊んでるし。麗亜も馨には物凄いなついてるし。本人も、馨兄ちゃん、私だ~~い好きって…、言ってたし…。じゃね…???」
「あ~~~ん、それは、ちょっと…、どうかな~~。それって、小学の時とか、まだ小さいときの話でしょ。」
「あっ、まぁ…、そりゃ、そうだけど…さ。」
「それに、馨君、小さいとき、あんなに背ぇ。」
「あ、あいつ、中学の頃からだ、いきなり身長伸びて。」
「へぇ~~~。」
「…ってか、馨を好きな人って…???…友達って…???」
その声に理沙、目を丸く、口を真一文字に…。そして顔を傾げて、
「ふん…???」
そして、
「かかかか。言える訳ないでしょ、べぇ~~。私が勝手にそう思ってるだけ。な~んだも~~ん。」
そして理沙、車椅子をクルリと、そしてフリースローラインで。
「ホッ。」
「ま~~た~~、ダメだって…。」
ネットに、
「ザシュ。」
将輝、途端に、
「うそ――――――――っ!!!」
理沙、
「へっ…???」
一気に両手を空に、
「入った――――――――っ!!!!」
その声がリビングまで。
「何~~っ、どうかした~~~???」
和奏。
将輝、
「いやいやいや。おったまげ~~~。」
理沙、将輝に振り向いて、
「かかかかか。入ったよ~~。初めてのフリースロー。かかかかか。」
時は文化祭。理沙、和奏と蒼介、そして将輝と馨、それに麗亜を伴って名城高校に。
玄関で出迎える教師陣。理沙、将輝と馨と麗亜を教師たちに紹介して。
教師たちもそれぞれが3人に挨拶。
坂崎、
「いつも、瑞樹さんの事、ありがとうございます。」
馨、
「いえいえいえ。とんでもないです。」
将輝はとにかく照れて口から声が出ない。
室越、
「是非、名城の文化祭、楽しんで。」
和奏と蒼介、
「ありがとうございます。」
やがてクラスや部活の生徒たちから、
「理沙―――――――っ!!!」
そして、当然、名城の制服とは異なるふたりの男子に視線が集中。
そんな中で、ひときわ身長が高く、目立つ馨。
女子の視線を浴びながら…。
信じて…良かった。 vol.112. 「馨の…好きな…人…???」
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