一樹、和奏に、
「すみません、突然訪れて。」
和奏、そんな一樹に首を振り、
「いえいえ。とんでもないです。」
「しかも、こんな格好で…。」
照れながらの一樹。
そんな一樹を見て和奏、
「先生、部活の帰り…???」
「あっ、えぇ…。生徒たちに、せがまれまして。…で、彼女たちと一緒に。」
和奏、
「ふふ、どうぞ。」
庭では既に理沙と一緒に、杏美、そして麻理絵と雅美、そして芙美、賑やかに。
一樹、リビングに通されて…。
「あっ、瑞樹さん、お仕事…???」
テーブルの、伏せてあるパソコンを見て。
和奏、キッチンに入って、
「えっ、え~~。はは、ちょっとした…、内職みたいな…。」
「へぇ~~。」
一樹、すぐに庭を見て、腕組みして、
「かかかかか。」
そして、和奏に振り向いて、
「…で…???…どうでした…???スポーツセンター???」
その声に和奏、ニッコリと、
「はは。もぅ~~。完璧。向うのセンター長さんも気に入ってくださって。」
その声に一樹、目を丸く、そして口を尖らせてながら、
「へぇ~~~。」
「特に申し込みって、ないみたいで…。気軽に参加できるようなんです。」
「あっ。そうなんですか~~。」
和奏、トレイにお茶を。そして一樹に、
「どうぞ。」
「あっ、すみません。」
そして一樹、
「…で、理沙君…???」
庭を見ながら椅子に…。
和奏、
「ふふ。もぅ~~。あの子、最初っから。」
「最初っから…???」
和奏、ニッコリと、椅子を引いて、
「えぇ。…溶け込んでました。」
一樹、その声に、目を見開いて、
「うそ~~。へぇ~~。や~~るな~~。あいつ~~。」
瞬間、口に手を、
「あっ、すみません。あいつって…。」
和奏、
「ふふ。いいぇ~~。」
そして和奏、椅子に座りながら、
「でも…、やっぱり…将輝君と一緒に行って、正解。」
一樹、
「ほぅほぅほぅ。」
「なんだかんだ言って、将輝君、理沙を持ち上げてくれているような…。」
「へぇ~~。」
「まっ。でも…、理沙の前で将輝君の事言うと、何故かあの子、口をぐんにゃりと…、嫌な顔、するんですけどね~~。」
「えへっ…。そうなんですか~~。」
「まっ、理沙にとって、将輝君、まだまだ、とっつきにくいようで。それに、いっつも、上から目線って…。」
一樹、
「かかかかか。そっか~~。」
庭では4人が理沙を相手にオフェンスやらディフェンスやら。
一樹、その光景を見て、
「しっかし、よくもあれだけ、動けるように~~。」
和奏、
「センター長さんもびっくりしてました。良く動けてる。ボール、良く見ているって。」
「へぇ~~。」
そして一樹、和奏の顔を見て、
「まっ。でも、やっぱり、菅田将輝効果。あったのかも…、知れませんね~~。」
和奏、
「えぇ…。」
庭の方では、コートを離れる5人の姿。そして賑やかな声が玄関から。
和奏、椅子から立ち上がり、
「いらっしゃ~~い。」
4人、
「お邪魔しま~~す。」
夜になり、蒼介も栞奈も…。
「へぇ~~。」
「良かったじゃ~~ん、理沙~~。」
和奏もニッコリと、
「ねぇ~~、理沙~~。」
理沙、満面の笑みで、
「へへへへ。」
和奏、
「あまりの心配さに、先生も部活終わった後に、訪ねて来て。」
蒼介、
「へぇ~~。そぅ~~。…まっ、駒田先生や看護婦さんたちも喜んでたと言うし。うんうん。OK、OK。」
そして、その話は名城高校でも話題になる。
江梨子、
「えぇ~~。凄~~い~~。車椅子バスケの…障害者のスポーツセンターまで~~。」
一樹、
「えぇ。なかなか良く、頑張ってくれてます。」
そしてそれは、校長室でも。
坂崎、
「そぅ~~。うんうんうん。」
そして、
「凄いね~~。鴻上高のバスケの部活の見学には驚いたけど、今度は障害者スポーツセンター。で、今度は本人も本格的に。」
一樹、
「えぇ。」
話を聞いて室越、
「いやいや。なんとも…。喜ばしい事ですね~~。」
そして室越、
「ん~~。うん。我々も…励まされますなぁ~~。なんとも、なんとも。」
そんな室越を見て一樹、
「教頭…、瑞樹のために、頑張ってくれてましたもんね~~。」
ニコニコと。
「あ~~、いや~~。私なんて、そんな…。かかかかか。」
そんな室越を見て坂崎、
「照~れてるよ~~。」
一樹と笑いながら…。
信じて…良かった。 vol.110. 一樹、和奏に、「すみません、突然訪れて。」
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