凡そ数分、小野倉が理沙にいろいろと話かけている。
その話に理沙も頷きながら。将輝は将輝でゲームの流れを見続けている。
その内、車椅子の女の子がパスを受けるのに失敗してボールがコートから外れる。
ボールはトントントンと、将輝の前に…。
そのボールを拾い上げて将輝。
コートの中のそれぞれがその男性を…。
将輝、ボールを拾い上げたと思ったら、いきなりボールを理沙に。
「ほぃ。」
理沙はいきなりの事に、
「はぁ~~あ…???」
将輝はコートの方に顔をプィと。
理沙は口を尖らせながらも、
「な、なによ~~。」
そして理沙はそのボールを両手で…、
「ふぃ。」
ボールはある意味、ライナーのように…。
そしてコートの中に落ちて一度バウンドして女の子がそれを受ける。
女の子、受けたボールを見て、そして車椅子の女子を見てニッコリと。そしてお辞儀をする。
「へぇ~~。」
小野倉、
「なかなかいいパス~~。うんうんうん。車椅子乗った状態で、あんなパスが出来る。凄いね~~、瑞樹さ~~ん。」
その声に理沙、
「えっ…???」
小野倉、
「うんうんうん。」
数回頷いて…。
理沙、そんな小野倉に、
「えっ…???」
そして今度は将輝を見て、
「えっ…???」
そんな将輝、ゲームを見ながら、
「おっ。行く行く行く。おっ、おぉぉぉ。シュー。ナ~~イス。」
そして今度は…。
大柄の男性。シュートされたボールを取り、
そのボールを自分の子供みたいな小さな子に優しくパス。
将輝、
「へぇ~~~。」
小野倉、
「もっと近くからでもどうぞ~~。」
その声に2人、
「はい。ありがとうございます。」
今度は壁際の…、保護者と家族だろう、母親らしい人と小さな男の子。
小野倉、
「どうぞ、お座りになって。」
将輝、和奏を見てニッコリと。
和奏、頷いてベンチに座る。
将輝は理沙の隣でゲームを…。
凡そ20分。
小野倉、
「いかがですか…???」
理沙を見て…。
理沙、コクリと頭を、
「はい。やってみたいです。」
その声にニッコリと小野倉、
「分かりました。」
そして和奏を見て、
「特に、申し込みなんかは必要ないんです。気軽に参加して頂ければ…。」
和奏、その声に、きょとんと、
「えっ…???そうなんですか…???」
「えぇ。いつでも参加できます。」
そして小野倉、ニッコリと、
「やる気さえあれば…。」
理沙を見て。
その声に理沙、
「わお。」
そして和奏と将輝を見て…。
和奏、そんな理沙を見て、
「大丈夫なの~~???…そんな、来て初めてで…。」
理沙、今度は将輝を見て…。
「ねぇ…。」
将輝、その声に、
「お…、俺は~~。うん。理沙さん、やりたいんなら。見てるけど。」
理沙、また和奏を見て、
「私、やってみたい。」
和奏、困ったような顔をして小野倉に、
「す、すみません。よろしいんですか…???」
小野倉、ニッコリと、
「えぇ。構いません。ちょっとお待ちください。」
そしてその場を離れて廊下に…。
ものの5分弱で…。
「お待たせしました。」
将輝、和奏、理沙、
「わぁ。」
目の前に車椅子バスケ用の車椅子が…。
「これが、みんなが使用している車椅子。大丈夫かな~~。」
理沙、
「わは。」
和奏を見て、将輝を見て。
和奏、
「ヨシ。」
ベンチから立ち上がり…。
理沙も、アームレストを外して…。
和奏も手伝いながら、
「ほぃ。」
理沙、
「ヨイショッ。」
そして、見事に移乗。
そして、
「へぇ~~。こんな感じ~~。」
小野倉、
「うん。そして、ベルトは、しっかりと。」
理沙、
「はい。」
小野倉、
「はい。じゃ、ゆっくりとでもいいから、動いてみて。」
その声に理沙、
「はい。」
理沙、その場をぐるぐると。
将輝、肩からバッグを。そしてバッグの中からボールを。そして理沙に、
「ほぃ。」
理沙、
「うん。」
ボールを受け取り将輝にパス。
それを数回繰り返して…。
将輝、
「うん。いいんじゃない。」
頭をコクリと。
小野倉、
「おほっ。」
そして、コートに向かって、
「みんな~~。ひとり、加わるよ~~。」
その声にコート内から小野倉に顔を振り向いて。
数秒後、手を上げる人、そして、
「おいで。」
の両手。そして、
「こんにちは~~。」
の声。
理沙、
「わはっ。」
小野倉、
「行っといで。」
理沙、元気な声で、
「はい。」
信じて…良かった。 vol.105. 小野倉、「行っといで。」
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