「何、ボ――ッとしちゃって~~。」
栞奈。
その声に理沙、
「へっ…???私…、そんな…。」
蒼介、
「かかかかか。まぁな、いろいろあるさ。」
栞奈、
「あ~~。もしかして理沙~~。将輝君が椎名の彼氏って…、ひょっとして、妬いてた…???」
「へっ…???」
いきなり理沙、首を左右に振り、
「いやいやいやいや。そんな事は…、うん。全然ないけど…。ただ…。」
蒼介、
「ん~~???…ただ…???」
理沙の顔を見て…。
「…どうした…???」
「あ~~、うん。…目の前で、あんなに凄いバスケ…、見せられて…。…何て言うの…???…どうやったら…???…って、思って…。」
そして理沙、自分の今の状態を見て…。
栞奈も蒼介も、そんな理沙を見て、
「ふ~~~ん。だ~~ねぇ~~。」
夜8時、帰宅してキッチンのテーブルで一樹、目の前の食事に両手を合わせて、
「いただきます。」
弟、倫久(ともひさ)の作った料理である。
食べて頷き、
「うんうんうん。はは、旨い。」
その時、メールの着信音。一樹、
「うん…???おや、涼香さん。…今、電話…いいですか…???」
そして一樹、
「えぇ。大丈夫ですけど…。」
送信。
すると3秒後、一樹のスマホにある番号から…。
一樹、
「もしもし、八倉ですけど。」
スマホの向こう、
「あっ。夜分すみません。涼香です~~。」
「あ~~、はい。こんばんは~~。」
「先生、実は、折り入って、お話が…。…と、言うか、お願いが…。」
一樹、その声に、
「お願い…???」
その15分後に、将輝のスマホに着電。
「えっ…???マネージャ…???」
そして将輝、
「はい、もしもし、」
スマホの向こう、涼香、
「将輝。あのね。」
翌日のお昼。
和奏のスマホに電話が…。
「瑞樹です。あ~~、先生~。お世話様です。」
スマホの向こう、一樹、
「すみません、お忙しい中、しかも…お昼の時間に~~。」
和奏、
「いいえ~~。」
理沙はテーブルで食事をしている。
スマホの向こう、
「…実は…。」
和奏、
「あ~~、はい。」
そして…、一樹の話を聞きながら和奏、
「えっ…???…は…???…はぁ~~。」
和奏、両目をキョロキョロと…。
そして、スマホを見ながら食事をしている理沙もチラリ、チラリと…。
スマホの向こうで一樹、
「僕としては、この話、乗ってみようと思うんですが…。」
和奏、いきなりの話に思わず動揺は隠せない。スマホ越しに、
「あっ、はい。分かりました。とにかく、本人にも話をして…。……。そぅ…ですか~~。…はい。分かりました。えぇ。はい。失礼します。」
通話を切って一樹、
「ふぅ~~。」
「へぇ~~。瑞樹さんに…、そういう話~~。」
江梨子である。まだ仕事をしながら…。
その声に一樹、
「えっ…???…え~~。ははは。」
一樹、弁当を広げながら、
「あいつの力に…、何とか…。車椅子バスケ、近づけてあげたくって…。」
「わっ!!!今日のも美味しそう~~~!!!!」
一樹、その声に、
「えっ…???…あっ、あ~~。ははは。ありがとうございます。」
和奏、通話を切ったスマホをエプロンのポケットに。
手を洗い。そして自分の食事をトレイに…。そしてテーブルに…。
理沙、
「先生…、何…???」
既に動画は見ていない。
和奏、
「うん。」
そして、
「いただきます。」
スプーンで一口。
「あのさ、理沙~~。」
理沙、
「うん…???」
「弓狩監督が…、あるスポーツ協会、紹介してくれた。」
「スポーツ協会…???」
眉を吊り上げながら理沙。
「うん」
「どう…いう…事…???」
和奏、スプーンでまた一口。
「うん。」
そして、
「北区に…、あるスポーツセンターがあるらしいの…。」
「スポーツセンター…。」
「うん。弓狩監督、話が早くて、もぅ…、そこのセンター長には話は付けてあるんですって…。本人次第。ってことで。」
理沙、口を尖らせて、目をパチクリと。
「ふん。」
和奏、
「でね。そこのスポーツセンターって、実は、障害者のスポーツセンターなの。」
「障害…者…。」
「うん。…つまりは、車椅子乗っていてもスポーツが出来ると言うとこ。」
その声に理沙、目を見開いて、
「えっ!!!」
その顔を見て和奏、口を真一文字に、そして笑顔で、
「そっか。はは、やっぱり…。」
すぐさま理沙、はしゃぐように、
「おかあさん、おかあさん。そこ、どこ…???どこ…???」
またスマホを…。
信じて…良かった。 vol.099. 「何、ボ――ッとしちゃって~~。」
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