杏美と栞奈、そんな馨にキョトンとした顔で、
「えっ…???」
馨、また右手を振って、
「いやいやいや。そういうことって、こいつ、何にも言わないから。土台が…照れ屋だから…。…なんつぅの、シャイなんだよ。」
その声に将輝、
「うるせぇ。」
杏美と栞奈、口をへの字にして、
「へぇ~~~。」
そして将輝を意地悪な目で、
「そうなんだ~~。」
いきなり蒼介、
「かかかかか。はいはい、そこまで。将輝君困ってるよ。女子に攻撃されて…。なぁ~~。」
将輝、
「あ、いえ…。そんな…。」
左手で頭の後ろを撫でて。
馨、
「…けど…、彼女が死んじゃってから、こいつ、女子にはあんまり…。」
杏美と理沙、
「…ん…???」
「どっちかっつぅと…、女子…、遠ざけてるよな~~。」
栞奈いきなり、
「へぇ~~~。」
将輝、馨に、
「おぃ。」
途端に蒼介、
「ほ~~ら、ほらほら。またぶり返す~。お姉ぇ。」
杏美、腕組みして、
「そっか~~。将輝君、椎名かぁ~~。うん。うんうんうん。椎名、滅茶苦茶可愛かったもんな~~。ねぇ、理沙~~。」
その声に理沙も、
「うん。うんうんうん。」
その声にまたまた将輝、顔を赤らめて。
杏美、
「教室でも男子にモテモテ~~。」
蒼介、また、
「こ~~ら、アズちゃ~~ん。」
途端に杏美、目を真ん丸に、
「わっ!!!」
そしてまた小さくなって、
「しぃましぇ~~ん。」
栞奈と和奏、いきなり、
「かかかかか。」
手を叩いて…。
栞奈、
「銀嶺中かぁ~~。何とも懐かしい~~。」
杏美、
「あっ。確か、麗亜ちゃんも銀嶺~~。」
将輝、
「あ~~、うん。そぅ。今年、3年。」
和奏、
「へぇ~~。そうかぁ~~。麗亜ちゃん、3年なんだぁ~~。」
そこまで言って和奏、
「へっ…???…あれ…???でも、理沙もアズちゃんも、銀嶺で3年の時、麗亜ちゃん、1年…。」
すぐさま理沙も杏美も、首を振って、
「ううん…、それが全然、知らないの。ねぇ、アズ~~。」
杏美、
「うん。全く…。」
その声に和奏、腕組みをして、
「へぇ~~。」
「まっ、そもそも私も理沙も、完璧に部活忙しかったから。」
その声に理沙も笑顔で…。
「でも、杏美さんも理沙さんも、中学で剣道って…、全然イメージ湧かないですよね~~。」
馨。
そんな馨の声に杏美、右手で前髪を右耳に…、
「そぉ…???」
そして眉をわずかに上にチョコンと。
瞬間、理沙も栞奈も、
「ぷっ。」
栞奈、いきなり、
「あ~~。アズちゃ~~ん、もしかしてて~~、馨君、狙ってな~~い~~???かかかか。」
その声にいきなり杏美も馨も赤くなって…。ふたり同時に、両手をひらひらと、
「いやいやいや。」
「な~~に言ってるかな~~栞奈さ~~ん。」
そこに将輝、目の前で右手をサラリと、
「あっ、それ、ないです。」
その瞬間、馨以外、
「えっ…???」
杏美、
「うそ…。」
理沙は目をパチクリと…。
栞奈、
「へぇ~~~。」
和奏も、
「ん~~~???」
蒼介、
「おやおや。」
将輝、
「だって、こいつの好きなの…。」
そこまで言っていきなり馨から口を塞がれる。
将輝、目をパチクリ。
杏美、理沙、
「へっ…???」
栞奈、
「はい…???」
和奏、
「あらま。」
蒼介は、
「かかかかか。」
将輝、口を塞がれたままで両目で右左…。
馨、瞬間、
「ふぅ~~。」
将輝の口から右手を放す。
それでもまた将輝の両目は右左。
そんな将輝を見て杏美も理沙も、早い瞬き…。そしてふたり同時に、
「えっ…???」
将輝、馨に右手を振りかざして…、
「あのな。」
馨、さらりと体を横に、
「おっと~~。」
杏美、首を傾げて、
「…と、言う事は~~。馨君…。」
馨、思わず鳩が豆鉄砲を食らったような顔で…。
「あっ。いや。いやいやいやいやいや。」
杏美、にやけながら、
「あ、はぁ~~。馨く~~ん、好きな子、いるんだ~~。」
蒼介、
「かかかか。今度は馨君が困った顔してるよ~~。アズちゃ~~ん。」
そんな蒼介の声にまたまた杏美、
「あっ。」
栞奈、
「かかかか。さすがにアズちゃん、そういうの、好きだよね~~~。」
そんな栞奈に杏美、目を真ん丸く、そして舌をチロリ。
栞奈、腕組みして、
「ん~~。馨君の~~。気~~になるな~~。はは。」
和奏、
「お姉ぇも。」
蒼介、
「かかかかか。ヨシ。…片付けようか。」
すぐさま、馨と将輝、
「はい。俺たちも。」
杏美、
「うん。私も。」
蒼介、和奏を見て、
「うん。サンキュ~~。んじゃ、甘えようか。」
信じて…良かった。 vol.097. 「将輝君困ってるよ。女子に攻撃されて…。」
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庄司紗千「海をこえて」
※ご本人の承認の下、紹介させて頂いております。