ベッドを隔てた医師に一樹も、立ったままの姿勢でわずかに前屈みに、
「武蔵野市名城高校教師、八倉一樹と言います。お世話様です。」
駒田、ニッコリと、
「お世話様です。」
そして、女子2人を見て、
「こんにちは。ありがとうね〜〜、いつもお見舞い。ほんとうに、ありがたい、君たちには感謝だ。」
その声に杏美と麻理絵、思わず顔を赤くして、
「こんにちは。理沙の事、ありがとうございます。」
麻理絵と杏美、二の腕を擦りあいながら…。
駒田、理沙に、
「おかあさん、丁度診察室に来たから、リハビリの事伝えて。」
和奏、
「うんうん。」
理沙、舌をチロリと、
「へへ。」
そして駒田に、
「先生、ありがとうございます。」
将輝、ドアの傍で、
「じ、じゃあ…。僕は…この辺で…。」
和奏、
「あっ、ありがとうね〜〜うん。」
駒田、
「うん。サンキューなぁ。」
ドアを開けて将輝。
その時、
「ありがとう。」
理沙。
将輝、後ろに振り向いて、
「お、おぅ…。」
ドアが開いて閉まる。
一樹、
「へぇ〜〜。彼、鴻上かぁ。」
杏美、
「バスケ部。」
「ふ〜〜ん。」
その時、一樹、
「えっ…???」
和奏も、
「えっ…???…将輝君、バスケ部…なの…???」
その声に駒田、ニッコリと…。
麻理絵も杏美も、
「だから〜〜。」
一樹を見ながら。そして床頭台の中の雑誌を見て、
「車椅子バスケの本〜〜。」
麻理絵、床頭台から本を全部取り出して、その中から車椅子バスケの本を…。
一樹、
「確かに…、迫力あるよな〜〜。これだけを見ても…。」
「将輝君、鴻上高のバスケ部、そして、ポジションはポイントガード。チームの司令塔なんだって。」
駒田、ニッコリと、
「学校からそのまま麗亜ちゃん、見舞いに来るときは必ず肩にバッグ。中に、バスケのボール、入ってるんでしょうね〜〜。私も…、バスケ、バレー、野球、好きですね〜〜。」
その声に一樹、
「あは。先生もですか〜〜。」
「それと…、サッカーかな〜〜。まっ、スポーツは好きです。うん。」
杏美、
「八倉先生、バレー部のコーチなんです。」
駒田、目を真ん丸に、
「おやおやおや。そうでしたか〜〜。」
和奏、
「リハビリ、どうだった…???」
理沙、そんな母親に、目を見開いて、
「凄いよ、物凄い、楽しかった〜〜。…って言うより、気持ち良かった〜〜。思いっきり、体、動かせた〜〜。」
駒田、
「理学療法の先生も感心してました。」
和奏にニッコリと。
和奏、
「そうですか〜〜。うんうん。ありがとうございます。」
そして和奏、理沙に、
「理沙〜〜。これで…、また一歩、前進だね。」
その声に一樹、杏美、麻理絵も、ニッコリと…。
駒田もニッコリと顔を傾げて…。
けれどもその時、理沙、
「学校…、行きたい。みんなに…会いたい。」
その瞬間、全員、
「……。」
理沙、
「先生…。」
駒田、そんな理沙を見て、ニッコリと、出来るだけ理沙の顔まで顔を下げて、
「理沙君。その理沙君の気持ちと…同じように、みんなも…、理沙君に会いたい。…と、僕は思う。…だから、そのために、理沙君、頑張ろう。みんなに、会えるためにも、頑張ろう。そのための努力は、僕らも惜しまない。全力で見守っていく。絶対に諦めない。君が頑張れるなら…。うん。」
その声に和奏、目を潤ませて…。
一樹、口の中の物を飲み込んで、
「うん。」
頷いて、
「みんな〜〜。瑞樹に会いたがってる〜〜。それに、学校の先生たちも…、校長なんか、首長くして待ってんだからな〜〜。」
隣の麻理絵、そして杏美、薄っすらと涙を…。
一樹、
「まっ、今までと同じようには…。けど…、みんな、おまえの顔を見るのを楽しみにしてる。…とにかく、目標に向かえ。先生たちも、応援している。」
理沙、ポツリと…。
「今は…、無理だよね…。」
その声に和奏、キッパリと、
「理沙っ。」
いきなり理沙、母親の顔を見て思わず困ったような笑顔で、
「はは。おかあさん、分かってるよ〜〜。」
そして、息を吐いて、
「うん。私、頑張って、みんなに会いに行く。」
そして、
「負けたくない。」
瞬間、涙目で杏美、
「はは、理沙の負けず嫌いが出た。」
ハンカチを顔に当てながら…。
理沙、
「アズ〜〜。何ハンカチ〜〜。」
杏美、
「だって…。」
杏美、思わず麻理絵の右肩に顔を…。
麻理絵も目を真っ赤に…。
信じて…良かった。 vol.046. 理沙、「学校…、行きたい。みんなに…会いたい。」
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庄司紗千 花笠音頭
※ご本人の承認の下、紹介させて戴いております。
Source: THMIS mama “お洒落の小部屋