午後2時頃、理沙の病室のドア、ノックの音。
理沙、
「はい。」
ドアを開けて入ってきたのが駒田。そしてもうひとりの男性。
理沙、その男性にお辞儀をして、
「こんにちは~~。」
駒田、
「ヨッ。昨日、約束した通りに、リハビリ開始~~。…で、こちら、PTの…。…な~~んて言っても分からないよね~~。理学療法士さんって言って…。…いわゆる、リハビリの先生。的場勝司(まとばかつし)先生。」
的場に右手を差し伸べて…。
理沙、的場に、
「こんにちは~~。瑞樹理沙と言います。」
的場、女子に向かって一礼、
「こんにちは、初めまして的場勝司と言います。今日から瑞樹さんのリハビリを担当する事になりました。よろしくお願いします。」
「おねがいしま~~す。」
駒田、的場に目配せをして、
「じゃ、早速。」
そして理沙に、
「あっ、理沙君。開始早々は、別に部屋から移動することなく、ベッド上でも出来る事から、一歩づつ。ねっ。」
理沙、駒田の声に、頭をチョコンと下げて、
「あっ、はい。分かりました~。お願いしま~す。」
理沙のリハビリが始まった。
凡そ1時間弱。
「ふぅ~~。」
時間の頃合いを見て病室を訪れた駒田。ドアの場所から、
「失礼します。どぉ…???」
理沙、
「あっ、駒田先生~~。」
駒田、ニッコリと、そして両手をポケットに突っ込んで…。
理沙、
「はい、気~~持ち良かった~~。」
その声に駒田、再びニッコリと、
「うん。良かった~~。」
的場、
「いやいや。僕も女子高生にリハビリって…初めてで…。けど…。」
理沙を見てニッコリと。
「さすがに高校生、しかも…部活もバレーボール。体が柔らかい。なんでも熟しちゃうから凄いよね~~。」
駒田、そんな的場に、
「ハッハッハッハ。…でしょう~~。」
的場、
「内心、こういう人ばかりだと、仕事も…楽なんですけどね~~。」
その声に駒田、
「お~~い、的場く~~ん。そんな事言って良いのかな~~。仕事が来なくなるぞぉ~~。」
的場、瞬間、頭に手を…、
「かかかか。ですよね~~。」
理沙、
「えっ…???駒田先生…、的場…くん…って…???」
そんな理沙に駒田、
「あ~~。うん、彼…、的場勝司。僕が以前、勤務していた病院で理学療法士をやってたんだ。職種は違うんだけど、妙に話しがあってね~~。」
「…って言うか、駒田先生、話が凄いですもん。完璧に引き込まれちゃって…。…こういう人と一緒に仕事が出来たら~~って…。…でも、いつの間にか、駒田先生、別の病院に移っちゃって…。」
「えっ…???駒田先生って、この病院…。」
理沙。
「うん。まだ、ここ勤務して、2年。ははは。まだまだペイペイ。」
駒田。
「何仰いますか~~、アメリカ帰りが~~。」
理沙、またまた、
「アメリカ帰り…???」
瞬間、駒田、両手を上げて、
「まぁまぁ。…その話は…また…。ところで理沙君。これから、少しずつ習慣付けさせて…。それからはいよいよ、病室を出て…。退院までは別の場所でって…、なるけど…、いいかな…???」
その声に理沙、ニッコリと、
「はい。大丈夫です。」
駒田、ニッコリと、
「うん。」
そして、的場の左肩に手を、
「頼んまっせ~~。」
的場、
「はい。任せてください。」
「凄~~~い、理沙、リハビリ~~。」
杏美。
一緒に見舞いに来た一樹も、
「へぇ~~~、リハビリかぁ~~。」
麻理絵、
「やるじゃん。」
理沙、
「物すんごい、気持ち良かった。かか。や~~っと、体動かせた~~。」
一樹、
「かかかか。そっか…。うん。まっ、ベッド上でも、専門家から見れば、いろんな体の動き、あるんだろうな~~。」
その時、ドアにノック。
理沙、
「あっ、はい。」
ゆっくりとドアが開く。そして、
「失礼…します。」
顔を出したのが…。
杏美と麻理絵、
「あっ。」
一樹、
「うん…???」
理沙、
「あっ。」
将輝である。
ドアの傍で…、
「あ、あの…。リハビリ…、始まったって…、看護婦さんから聞いて…。一言…、頑張れよって…。」
その声に杏美と麻理絵、理沙の顔を見て。
わずかに沈黙。
理沙、思わず口を尖らせて、目をパチクリと…。
そして…。
一樹、
「瑞樹。」
理沙、
「あっ、うん。ありがと。わざわざ。」
信じて…良かった。 vol.044. 「昨日、約束した通りに、リハビリ開始~~。」
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庄司紗千 きっと大丈夫
※ご本人の承認の下、紹介させて戴いております。
Source: THMIS mama “お洒落の小部屋