将輝、
「あは、看護婦さ〜〜ん。」
左手を左肩まで…。
瞬間、凪、
「あ、だめだめだめだめ…。私には無理。」
首を振って、
「無理無理無理無理。」
将輝、可笑しそうな顔で、
「えっ…???…けど、今…。」
凪、瞬間、将輝の横に…。そして、将輝に手を振り、
「じゃね〜〜。」
将輝、首を捻りながらバッグにボールを仕舞う。そしてまたバッグを肩に、
「帰〜〜えろ。」
和奏、蒼介のグラスに、
「はい。」
「おっ、サンキュ〜〜。」
蒼介。
「ところで…お姉ぇは…???」
その声に和奏、
「うん。今夜もちょっと遅くなるって。1時間前にラインきてた。」
蒼介、
「ふん。ふんふんふん。じゃ、食べよっか。はい、かあさん。」
蒼介も和奏のグラスに。
「はい、ありがと。」
そしてふたり、
「乾杯。」
そして食事をしながら…。
「さて。これから…、理沙も大変だけど…。こっちも大変になるな〜〜。」
ビールを飲みながら蒼介。
和奏、
「うん。いろいろと…調べてもいるんだけど…。これからは…、理沙、リハビリ中心。」
「うん。…けどさ。」
「うん…???」
「和奏さん、ごめんね。リハビリとなると、どうしても、家にいる和奏さんに…負担…。」
口を尖らせての蒼介。
そんな蒼介に和奏、いきなり、
「ぷっ。ば〜〜かな事、言ってもらっちゃ〜〜困りますね〜〜、蒼介〜〜。自分のお腹を痛めた娘よ〜〜。何仰います〜〜。抱き締めながらやっちゃいますけど〜〜。」
そんな和奏に蒼介、
「かかかか。ごめんごめん。愚問ございました〜〜。」
そして蒼介、
「とにかく…、リフォーム、急がないとな〜〜。」
和奏、
「うん。玄関から何から何まで…。」
おかずを食べながら、
「駒田先生が、今のままの状態で維持するのであれば、来月の半ばごろには…退院…かな。って…。」
蒼介、
「ふ〜〜ん。」
「いやいやいや、駒田先生、凄いよ。病室にいても、可笑しな事ばっかり。確かに、あれじゃ〜、患者のみんな、活気良くなるわ〜〜。看護師さんにも人気だもんね〜〜。とにかく、ボキャブラリーが凄いって。…でも、肝心な時には、物凄いシリアス。」
蒼介も、
「うんうん。俺も、駒田先生凄い。物凄い礼儀正しいし…。…それにさ。廊下で先生と会うじゃん。」
「うん。」
「俺が挨拶する前に、先生がいきなり直立で頭を下に、こんにちは、お世話様でございます。いやいやいや、腰が低い。」
その声に和奏も、
「うんうんうん。それそれそれ。私もそんな時あった。」
そして和奏、いきなり、
「ぷっ。私の時なんて…。ほら、お医者さんの白衣…、ユニホームあるでしょ。それまではポケットに手を入れてたのに、サッと、ポケットから手を出して…、今、蒼介が言ったように、直立で頭を下げて、お世話様です。肩までの髪が前にパサリ。お辞儀する度に髪が前に後ろに。クククク。」
そして和奏、
「あの仕草が…、ある意味、笑っちゃうよね。かかか。なんか…、可愛いって言うか…。」
「駒田先生、整形外科医…。何歳なんだろうね。」
蒼介。
そんな声に和奏。首を傾げて、
「さぁ…。」
「あっ、かあさん、理沙に、部屋、2階から下になるって…。」
「あぁ、うん。明日、病院行った時。」
「まぁ…。自分の部屋が2階にあるんだから…、そのまま、使うのが…当たり前なんだろうけど…。…けど…もし、万が一…。」
和奏も、
「ん〜〜〜。ねぇ〜〜。」
翌日、その話を和奏、理沙に…。
間髪入れずに理沙、
「いやいやいやいやいや。そんなの当たり前。私、下でいい。うんうんうん。おとうさんとおかあさんの部屋でいい。私の部屋じゃ狭いかも知んないけど…、2階はおとうさんとおかあさん使って。」
和奏、少し目を潤ませながら、
「理沙〜〜。ほんとにいいの〜〜???」
「いいよ、いいよ。私の事で、おとうさん、おかあさん、迷惑掛けたくない。」
そこまで言って理沙、途端に口をグンニャリと、
「…もぅ…、完璧に…私…、迷惑…、掛けてるけど…。」
和奏、
「ば~~か。迷惑なんて…。自分の子供のために親が頑張るの、当たり前でしょ。親にとっては、子供はいつまで経っても子供なんだから。」
その声に理沙、
「おかあさん…。」
ドアにノックの音。
和奏、
「あっ、はい。」
ドアが開いて、
「お邪魔…します~~。」
入って来たのが駒田医師。師長の夏希も伴って。
信じて…良かった。 vol.042. 「理沙も大変だけど…。こっちも大変になるな〜〜。」
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※ご本人の承認の下、紹介させて戴いております。
Source: THMIS mama “お洒落の小部屋