ドキドキ 凛久、頭を掻いて、
「あっ、いや…。」

薫子、可笑しがって、
「いきなり後ろでおっきな声で笑うから…。霧島さん、なんて言ったのか全然聞こえなくって…。」

電車がホームに入ってくる。そして…止まって…。
薫子、凛久に顔を傾げてニッコリと…。そして電車の中に…。

さきほどの男性ふたりはまだ大きな声で話しながら薫子と凛久とは別方向に…。

薫子、そんな男性ふたりを見て、
「かかかか、なんとも盛り上がってるね~~。」

自然に凛久と薫子、ドアの一番近くのシートに座って…。

薫子、
「エトランゼ、良い記事になるといいけど…。」

凛久、
「先生…。茉祐子さんとは…、もぅ…、プライベートでは…。会う事はないかと…。」

ダニエルとルーシーの事を考えていた薫子、
凛久のその声に、顔を微妙に左右に揺らして…、そして凛久に顔を…、
「えっ…???…今、何て…???」
目をパチクリと…。
「き…、霧島…さん…???」
凛久を見て、また目をパチクリと…。
「霧島さん…。」

凛久、
「先生…。」
まっすぐ前を向いて、
「茉祐子…さんから…、今まで、ありがとう…ございました…と…。」

その声に薫子、
「へっ…???…なんで…???…茉祐子、いつも休みの時に、霧島さんに…、会って…。…特に、誰と会うとも言わずに…。私は…、てっきり…霧島さんと…。」

凛久、
「えぇ…。ここずっと、茉祐子さんからラインもらって、その都度、一緒に…。」

凛久を見て薫子、
「なのに…、どうして…???…私…、霧島さんに、茉祐子の事、お願いしますって…。」

「えぇ…。私も…このまま…茉祐子さんを…。」

そんな凛久を見て薫子、思わず、
「……。」
そして、一拍置いて、
「……、どう…いう…???」

瞬間、凛久、
「ふ~~~ん。」

薫子と凛久の座っているドアのすぐそぱのシート。
吊革に捕まっている人はいない。乗客もポツリポツリ。
薫子と凛久の会話も、電車の音から消されるように、余り周りにも響かない。

凛久、まっすぐに前を向いて、
「僕…、先生からは、茉祐子さんの事…。…けど…、僕の気持ちは…、どうしても…、変わらない。先生の事…。…だから…、その気持ちを…逆に抑えてみても…。結局は…、茉祐子さんの事…。」

薫子、
「霧…島…さん。」

「申し訳…ない…、と、思って…いるんですけど…。…どうしても、茉祐子さんの事は…、なんか…、妹のような感じでしか…。」

その声に薫子、
「いも…う…と…。」
すると薫子、今度は前を向いて、
「ふん…。そっか~~。いも…うと…、かぁ~~。」
一息置いて…。
「…けど…。茉祐子…、私には、そんな素振り…。見せてないんだけどな~。」

凛久、
「そ…う…、なんですか…。」

「うん。ここ、2、3日は…、全然、全く、今まで通りに…。」
そして薫子、まっすぐ前を向いたままで、
「そっか~~。…でも、霧島さん…、ありがと…。話してくれて…。何はともあれ、話してくれて助かった。」

凛久、
「先生…。」

薫子、口を真一文字に、
「う~~ん。まっ、茉祐子も…、いろいろと考えてるんでしょう。…ただ、私には、まだ、何も言ってくれてないけど…。自分の気持ちが整理できたら…、話してくれるよ。きっと。」

「先生…。」
「うん…???」

「茉祐子さん…。」
「うんうん。大丈夫だよ。折を見て…。そういう…雰囲気になったら…。まっ、いい方向に…向いてくれたら…いいけど…。うん。」

凛久、薫子に顔を…、
「先生…、僕の気持ちは…。」

そんな凛久を今度は薫子が見て…、眉を少し歪ませて、困ったような顔で…、
けれども口を真一文字に…、そして…笑顔で…。
「うん。」
頷いて。

そして田園調布駅。

薫子との別れ際。凛久、薫子の背中を見て…、
「先生。」

その声で薫子、後ろの凛久に首だけ振り向いて…。

凛久、
「先生…、好きです。」

そんな凛久に薫子、また笑顔で頷いて…。
そして前を向いて、凛久には聞こえないような声で…、
「…なっちゃった~ものは…、仕方ないでしょ。」
右手を上に…、そして手の平をヒラヒラと…。

薫子と茉祐子~その愛~   vol.222.   「今まで、ありがとう…ございました…と…。」

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庄司紗千 花笠音頭

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Source: THMIS mama “お洒落の小部屋