愛耶乃、ドアの前にいる茉祐子を見て、
「えぇ…、はい。成宮…茉祐子…と、言いますけど…。」
茉祐子、いきなりの事で、ドキン。
愛耶乃、困惑した顔で、
「な…、成宮…、茉祐子…ですけど…。」
真理、体を左斜めに、そしてニッコリと。
「成宮…、茉祐子…さん…。」
茉祐子、篠田真理に丁寧にお辞儀をして、
「は…、はい。」
佐那、いきなり落ち着かなくなり、
「先生っ。そんな…。…いくら何でも…。」
そんな佐那に向かって真理、
「あら…。私…、言わなかったかしら…。今までとは、少し、感じ…、変えてみようか…って…、言ったじゃない~~。それにあなたも…。」
佐那、その声に、
「そ、それは…そうですけど…。それにしても…。全くの…、一般の…人…。」
真理、
「ふふん。…だから…、いいのよ。」
「…だからって…。そんな…。」
愛耶乃、そんなふたりに…、
「あ…、あの…。」
真理、愛耶乃を見て、
「宇治川本部長。」
愛耶乃に体の向きを変えて…。
「本部長、今回、御社のオールインワン、アイリーン。そして私のファッション、篠田真理とのコラボ。全く新しく、しかも新鮮に。そして、日本中の…、いえ…、ある意味、グローバルとしても、新しい方向性で…、作りたいんですけど…。」
愛耶乃、そんな真理の話に、まだ困惑を消せない表情で、
「え…、えぇ…。それは…、はい。その通りで…。…ですけど…。」
また茉祐子を見て、困ったような…。
茉祐子は既に鼓動が高鳴っていた。
真理、
「確かに。今今の事で…申し訳なく思っております。」
愛耶乃、素直に、
「え…ぇ。」
そんな愛耶乃に真理、
「私…、以前に、あるジャーナリストから取材して頂き、如何に、今までと違った、新しい視点からの物作り。…それは…斬新でもあれば、また新しくもある。それでいて、多くの人々に触れて、納得できるものをと…。追及して参りました。」
「えぇ…。」
「今回も、その考えをそのまま…、このコラボで表現したいと…。」
そんな真理の話に佐那、
「先生…。」
愛耶乃、困惑した表情は変わらず…。けれども、
「茉祐子。」
茉祐子、
「あっ、はい。」
愛耶乃の近くまで歩み寄り…。
「本部長…。」
愛耶乃、
「私も…、今、何をどう言えばいいのか、分からないけど…。」
茉祐子、
「……。」
「あなた…。どぉ…???」
その声に茉祐子、体を縮こまらせて、
「…い、いや…。本部長…、どぉ…???…って言われても…。」
戸惑いを隠せずに。
真理、そんな茉祐子に、
「成宮さん。うんうん。いきなりだもん、そうだよね~~。でも…。多分…、そんなに緊張しなくとも…いいかも…。」
茉祐子と愛耶乃、
「えっ…???」
「当然だけど…。今回のコラボは当然、アイリーンと私のファッション。とにかく…、自然にしていれば…それだけで…いいわ。うん。」
茉祐子、その話に、
「は…、はぁ…。」
結局、茉祐子のモデルの件は、2日後に返事をすると言う事で…。
ただ、真理の一言、「何事も…前向きに…。」の言葉が、愛耶乃と茉祐子には響いた。
その30分後、真理と佐那はエクレールを後に…。
玄関まで愛耶乃が…。
本部長室から出た茉祐子、中々落ち着かず…。
そんな茉祐子にスタッフたち、
「…???」
逆に、茉祐子に声を掛けられない雰囲気で…。
部署に戻った愛耶乃は、すぐさま迅と凛花を部屋に。
そして愛耶乃から話を聞いた途端に、
「え゛―――――――っ!!!」
愛耶乃、すぐさま、
「シ―――――ッ!!!」
茉祐子、千晶にも何があったのか尋ねられたが、愛耶乃からは口止めさせられていた。
茉祐子、
「うん…。ふふふ。ちょっとね。」
迅、自分の机で、口を真一文字に…。
そして腕組みをして…。椅子を窓の方に回転させて、頭の中で、
「…ん~~~、茉祐子が……か。」
凛花は…、壁際のコーヒーコーナーでコーヒーを淹れて、一口。こちらも頭の中で、
「…ん~~。」
そして頭を小刻みに振るわせて、囁くかのように、
「なんとも…びっくり。」
薫子と茉祐子~その愛~ vol.142. 茉祐子、いきなりの事で、ドキン。
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※ご本人の承認の下、紹介させて戴いております。
Source: THMIS mama “お洒落の小部屋