ドキドキ 「…って~~事は、彼女、秀美ちゃん…。もしかして…。…その足で伊伽瑠美行ったと…。まっ、住所も電話番号も…。…って言うか、伊伽瑠美の名刺…渡してあげたけど…。…んなもん、俺には必要ないから…。」
通、電話越しに。

匡子、話しを聞きながら、
「あ、あ~~。な~~るほどね~~。」

「…で、店行って、伊伽瑠美に会って、サブちゃんの履歴。まっ、何等かの理由、聞きつけて教えてあげたんじゃないのぉ~~。まっ。そんなとこ~~。…で…???」

匡子、口を尖らせながらも、
「うん。じゃ分かった。ありがとね。」

その声に通、
「お~~い、おいおい。幾ら何でも、じゃ分かった。ありがとね。じゃ、お天道様のバチ当たりゃしねぇか~~。おいらが折角、ただで教えてあげたっつぅのに~~。サブちゃんの誕生日にプレゼント~~。…で…???…それから…、どうなすったぃ…???」

匡子、いきなり顔をニンマリとさせて、スマホ越しに、
「知りたい…???…知りたい…???」

通、すぐさま、
「ガォルルルルルゥ~~。ネコニャンニャン。」

「今時、そんなの、若い子に言っても、何のギャグ…???…って、相手にされないよ。」
「お代官(でぇかん)様、お願げぇしますだ~~。」

「だから…。って言うか、今の若い子、水戸黄門、見てんのかしら…???」
「さぁね。…って、おぃ。いつまで待たせんだよ。」

匡子、いきなり、
「いやいやいや。そっちが勝手に弄ってんじゃないのよ~~。」

「いやいやいや。こちとらだって、もぅ~~いい加減に痺れ、切らしてんだからさ~~。」

「…と、言う事で…。」
そこで一旦、止める匡子。

通、
「ふん。……。…で…???…」
受話器の向こう、店の中の雰囲気だけ…。
「お~~ぃ。」

「……。ごめん。息、止めてた。」

その声に思わず、通、体を、ガク。
「いや…。…あの…、匡ちゃんね。いや…。そこで、なんであんた。」

「秀美ちゃん、サブちゃんに、告ったよ。付き合ってくれませんかって…。」

途端に通、
「ぷっ。や~~~り~~。」
そして、子機を持って、前にかざして、
「この紋所が目に入らぬか~~。」

そんな通を見て、客たちが、クスクスと笑う。

通、
「あ、どうも…、すみませんね~~。また変な癖、出ちゃいまして~~。」

受話器の向こう、匡子の声、
「そういう訳さ。じゃ、切るね~~。ありがとう~~。」

通が耳に子機を近づけた途端に、最後の、「ありがとう」の声だけ。プツリと切れる。

耳に子機を当てた途端に、
「あれ…???…切れた…。」
けれども通、
「まっ。そっか~~。ヨウちゃんに続いて、今度は秀美ちゃん。」
腕組みしながら…。けれども、今度は右手で顎を撫でて、
「…つぅ~~か~~。輪湖、あいつはどうなんだ…???…て事になるとぉ~~。」

お昼休み終了。

自分の席に戻った秀美、既に自分の席に就いている葉子、そして輪湖に、
「戻りました~~。」

葉子、輪湖、
「うん。おかえり~~。」

秀美、
「さて…と。」

コーヒーブレイク中もブースで、特に問題もなく、あれこれと仕事の話や葉子と獏の話。
そして輪湖と虎一郎の話で…。…けれども、僅かに秀美は上の空。

時折輪湖から、顔の前で左手の平を上下に、
「秀美ちゃ~~ん。」

葉子、秀美を見て、目をパチクリと…。
「どうした…。なんだか、心ここに非ず…。体の具合でも…???」

輪湖も、
「うんうん。あんまり、無理しなさ…。」

秀美、ニッコリとさせて、
「いいえ。はい。大丈夫です。」

そして夕方はいつも通りに、カフェ匡子。既に虎一郎はビールを…。

輪湖、いつも通りに、
「あんた、仕事、してんのぉ~~。」

その声に虎一郎、ニタリと、
「ご心配なく。へへへへ。」

そして…、輪湖、秀美、葉子が椅子に落ち着いた瞬間、佐武郎は俄かに顔を赤らめて…。
僅かながら…、動きがぎこちない。
そして、秀美の方も、こちらも、お昼に自分のした事、言った事を思い出して、
何かしら、鼓動は高鳴っていた。

けれども、いつも通りの輪湖と葉子、輪湖は虎一郎を揶揄いながらもにこやかに。
葉子は葉子で獏との事を匡子に。

匡子、
「うんうんうん。」

そして…、料理がそれぞれに…。
その時、輪湖の料理は気付かなかったが、秀美と葉子の料理が…。

葉子、
「えっ…???」
いきなり視線を匡子に、そして佐武郎に、そして目をキョロキョロと…。
そして、秀美を見て、輪湖を見て…。そして今度は顔を傾げて…。頭の中で、
「…気のせい…???」
僅かに両眉の先端を吊り上げて…。

そんな葉子を見て匡子、
「あは。ヨウちゃん、どうした…???」

瞬間、秀美が、半ば赤い顔をして、
「えっ…???」

輪湖、
「どしたの、葉子~~???」

葉子、途端に…、
「あっ。いや…。…別に…。…って言うか~~。サブちゃん。どうした~~???…何かあった~~???…手ぇ、僅かに、震えているようだけど…。」

こんな私です。〜選葉子(すぐりようこ)〜   vol,244.   「…その足で伊伽瑠美行ったと…。」

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庄司紗千「おふろ月夜」
※ご本人の承認の下、紹介させて頂いております。

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Source: THMIS mama “お洒落の小部屋