ドキドキ 紫は紫で、口をポカ~~ンと、
「有り得ないでしょ。」

美知佳は美知佳で、両手でガッツポーズ。そして小さな声で、
「や~~りぃ~~。」

通、腕組みしながら、口を一文字に。そして、
「やっちまったね~~。なぁ、姉御。」

陣屋、自然に目から流れる涙、
「…う…、うん。」

しなやかに踊る獏と葉子。しかも、共に、息ピッタリに…。
ただ…、獏の意識は既にシカゴにあった。そして、踊っている相手は、ナンシー。
そして、相手の葉子にも、目にする人物は獏。
しかも、今まで一度も訪れた事のない外国の景色。
けれども何故か、その景色が懐かしい景色にも感じられていた。
そして、そんな葉子が見ている景色が、実は、いつも獏とふたりで出掛ける公園。
体を抱き寄せながらも、そして、顔を寄せ合いながらも踊り続ける獏と葉子。

そして、ワンコーラスが終わり間奏。そして2コーラス目。
けれども、まだふたりの踊りは終わらない。
けれども…。ようやく、その頃には、ふたりの意識は元のままに。
思わず自分の意識に戻る獏と葉子。お互いに、目をパチクリと。
そして、今、自分たちが踊っているのだと認識した上で。
そして、お互いが、すぐにでもその場を…。

…では、あるのだが…。ふたり…共に、体の自由が利かない。
葉子と獏、共に鼓動が高鳴り、お互いの鼓動が体で感じられるほどに…。
いつの間にかゲストたちは、愛生の歌声とふたりの踊りに見惚れているままになっていた。

みな、それぞれに、
「葉子…。」
「ヨウちゃん…。」
「課長…。」
「海江田…課長…。」

葉子は今まで踊った事のない体の動きで…。とにかく体が勝手に動いていた。
そして、涙を流し続けていた。
そして、獏は…。獏も同じように、かつて一度も踊った事のない踊り。
自分自身、これほどまでに踊れる…???と言う事にも頭の中では驚きながらも、
しっかり葉子を抱き締めながら踊り続けている。

店内は静まり返り、音楽と歌、そして踊りに見惚れ続けていた。
そして…。不思議にも、曲のエンディングに踊りはダイナミックに。
そしてギターとキーボードの音が止んだ瞬間にふたりの踊りもピタッと、止まる。
不思議に葉子も獏も踊り終えた。と、言う満足感の上で…。
獏は獏で、ゲストたちに挨拶を。そして葉子も笑顔でゲストたちに挨拶を。

その時、前のテーブル席の財務企画部社員たちがいきなり葉子に。
そしてみなが葉子を抱き締める。
「葉子―――――っ!!!」

その瞬間に葉子は…、気を失う。

そんな葉子に駆け寄る海江田。
「選さんっ!!!」

輪湖財務企画の面々、海江田を見て、
「課長…。」
「海江田課長…。」

陣屋も蔵井氏も紫も、
「ヨウちゃん。」
「葉子っ。」

匡子も、
「ヨウちゃん。」

海江田、優しそうな顔で、
「ただ…。気を失っているだけ…。うん。心配ない。」

輪湖と虎一郎、
「課長…???」

秀美も海江田を見て、
「……。」

海江田、輪湖と虎一郎、そして秀美を見て、少し躊躇はしたが…、
「いや…。僕も一体…、何がどうして…???…いきなり体が誰かに引っ張られた…か、背中を押されたって言う、感じで…。…しかも…、その時には、目の前は…。シカゴだった…。…あの、公園。」

虎一郎と都沢、
「シカゴ…???…公園…???」

輪湖、
「あん。課長がシカゴで婚約者といつも出掛けてた公園。」

虎一郎、都沢、海江田を見て、
「あ、あ~~~ん。」

「でもさ。」
励子。

陣屋と蔵井氏、
「ねね。」
「ヨウちゃん、大丈夫か…???」

紫、
「葉子~~。」

励子、佐智に、
「ねぇ~~。」

佐智、
「うん。カッコ良かった~~~。ものすんごい、素敵~~。」

その瞬間、他のゲストたちからいきなり拍手。そして激励の声。

いきなり匡子、
「あは。」

通、
「お~~ほほほほ。」

陣屋、輪湖に抱かれながらもまだ眠っているような葉子を見て。
そして、ステージの愛生に抱き付いて、握手。愛生も嬉しそうに。
そして陣屋、愛莉にも抱き付いて、
「ありがとう~~。うんうん。凄い、良かった~~。」

愛莉、ニッコリと、
「ありがとうございます。」

愛生、陣屋に、
「部長…、葉子ちゃん。」

そして愛生、愛莉を見ながら、
「私たちもいきなりビックリで…。でも、凄い素敵に感じて…、思わずテンション、上がっちゃった。」
そして舌をチロリと。

陣屋、ニッコリと、
「うんうんうん。いやいや。私たちもビックリ~~。まさか、ふたりが踊り出すなんて…。」
そして陣屋、
「海江田課長~~。」

その声に海江田、目をパチクリと、
「あ、あ~~。はい。」

陣屋、海江田を意地悪そうな目で見ながらも、腕組みして、
「これ、責任重大よ~~。しっかりと、責任、取ってよね~~。」
意地悪そうな目がニッコリと笑う。

その声に励子も、
「あは。うんうんうん。その通り~~。」

こんな私です。〜選葉子(すぐりようこ)〜   vol,222.   陣屋、自然に目から流れる涙、「…う…、うん。」

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Source: THMIS mama “お洒落の小部屋