昼休みの社員食堂。
輪湖、椅子に座るなり葉子に、
「どうしたの~~。」
秀美も、
「うんうんうん。」
そんなふたりの声に葉子、タンパクに、
「へっ…???」
葉子、一瞬、我身を疑って…。そして葉子、
「えっ…???…私…、どうかした…???」
つまりは葉子、あれから夢中で仕事に集中していた。
輪湖、葉子を見て、
「…ってか、葉子、あんた。仕事中に、何がなんだか…。」
秀美も、
「うんうんうん。」
輪湖、思わず顔を傾げて、
「…で、いきなり、なんだったの…、今の…???…って言って。そしたら今度はいきなり立ち上がって、そう。小田島専務っ!!!…って、大きな声で。」
そこまで言って輪湖、
「小田島専務が…どうしたの…???」
そんな輪湖の声を聞いて…、葉子、いるのか、いないのか…。
「…って言うかさ…。…ナンシーって…、誰…???」
その声に輪湖も秀美も、
「ナンシー…???」
その日の夕方近く…。百貨店扶桑、社長室。
ある人物の前にはずらりと揃えられた資料が…。
廿楽、その人物の前で…。一言。
「長い間…。お疲れ様…。これらを見て、もぅ…。お分かりよね…。」
廿楽の目の前で厳しい表情のままで頭を垂れている人物。
体を震わせながら…。そして、深々と頭を下げて…。
「申し訳…、ございませんでした~~。」
廿楽、
「…私だって、辛い。まさか、あなたが…。…信じてはいた…。…だけど…。」
廿楽、唇を嚙むように、
「…痛恨の極み。…泣いて馬謖を斬るとは…。…この事。」
廿楽を前に、
「申し訳…。ございません。」
「ひとつだけ、教えて…。」
廿楽、相手を見て、
「目的は…、何…???…ここ、10数年…。扶桑を去って行った人の代わりに…、あなたの復讐…???…もしかして…、それだったら…。とんだ勘違い。正に、茶番よ。」
その声に、ただ、ひたすらに、
「誠に。申し訳…ございませんでした~~。」
その声に廿楽、ため息のように、
「ふ~~~。」
そして…、
「残念だけど…。今日…、この日を限りに…。あなたは…、私の手から離れた。」
そして、ポツリと、
「専務取締役、小田島英嗣(おだじまえいじ)。職を解く。」
そして、瞬く間に、その情報は百貨店扶桑内に知れ渡った。
緊急に開かれた取締役会議。「専務取締役、小田島英嗣、解任。」
その衝撃は扶桑内全社員に。
社員、それぞれが、
「うそだろ。」
「信じられない。」
「社長の右腕だぞ、小田島専務~~。」
「やだ~~。私、好きな専務だったのに~~。」
そして、一番の衝撃は…、財務企画部の鮎川秀美。小田島英嗣は彼女の叔父でもある。
「おじさま…。」
秀美の母親が小田島の妹である。
財務企画部、終業前のミーティングで陣屋、
「悲しいかな…。結果は…、こうなってしまった。」
蔵井氏も、
「まさか…。こうなるとは…。」
そして蔵井氏、
「秀美君。」
輪湖に肩を抱き抱えられている秀美、悲しそうな顔で…。
そして蔵井氏、
「それにしても…、ヨウちゃん。午前中に、いきなり、小田島専務は、ビックリしたよ~~。ははは。」
その声に陣屋、
「へっ…???…そうなの…???ヨウちゃん…???」
陣屋のその声に葉子、
「へっ…???…あっ。いえ…。はい。ありがとうございます。」
僅かに笑みを…。
そんな葉子を見て、蔵井氏も陣屋も、
「えっ…???」
「へぇ~~え~~。…そうなんだ~~。横領の主が…、秀美ちゃんの叔父様~~。」
匡子。
「…複雑だよね~~。幾ら、事が解決したって~~。」
そこまで言って匡子、
「あっ。…じゃ、じゃあ~~。秀美ちゃんのアパートの件、どうなっちゃうの…???」
その声に輪湖、
「ん~~。事が、事だからね~~。」
葉子、
「残念ながら、既に警察は動いているし…。今夜遅くには、緊急逮捕…、に、なっちゃうよね~~。」
「…って言うか…。」
輪湖、店のドアの方に顔を、
「課長…、今日は、遅いよね~~。」
その声に葉子、いきなりビクン。
輪湖、
「あっ。そっか~~。横領の件…かぁ~~。確かに。管理職、大変だわ。」
そして輪湖、葉子を見て、
「あっ。ねぇねぇ葉子~~。あれから…、結局、その人…、分かったの…???…その…、ナンシーって…???」
輪湖の声に匡子、いきなり、
「えっ…???」
葉子、顔を左右に振り、
「ぜ~~ん、ぜん…。…けど~~。なんだか…、物凄い切ないって感じ…。」
「でも…、まさかね~~。仕事中に、そういう事…、有り得る~~???…私なんて普通に仕事、してるとばっかり思ってたのに。ねぇ~~。秀美ちゃん。」
秀美、その声に2度頷き、
「うんうんうん。」
匡子、顔を傾げて、両眉の先を僅かに吊り上げて、
「何々…???…ヨウちゃん…、何かあった…???」
いきなり輪湖、こちらは両眉を歪めて、可笑しな顔で、
「怖いぞ~~。幽体離脱~~。」
その声に匡子、
「はぁ~~~ぁあ~???…かかかか。何それ…???」
輪湖、キョトンとした顔で、
「葉子が仕事中に、幽体離脱、しちゃいました~~。」
いきなり匡子、
「うそ~~~~。」
こんな私です。〜選葉子(すぐりようこ)〜 vol,204. 葉子、「…って言うかさ…。…ナンシーって…、誰…???」
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※ご本人の承認の下、紹介させて頂いております。
Source: THMIS mama “お洒落の小部屋