ドキドキ 「体は…かなりのダメージ…。」
ベッドの中の輪湖を見て葉子…。

虎一郎、
「確かに。」

輪湖、かなりグッタリとした顔で虎一郎を見て、困ったような顔で、小さな声。掠れた声で、
「ごめんね。コイチにも…、心配…掛けた。」

その声に虎一郎、
「あぁ…。葉子から電話あった時、びっくりしたぜ。40度なんて…。」
そしてコンビニの袋を輪湖に見せて、
「何買ってくりゃいいか、分かんなかったけど、店員に聞いて…。一応、フルーツ。」

そんな虎一郎に輪湖、
「うん。ありがと。」

「それにしても、コイチ~~。あんた…。良く輪湖のアパート…。」

その声に虎一郎、
「あっ。あ~~。」
顔を傾げて…。けれども、葉子に、
「…って言うか、葉子、おまえも一緒~~。あん時~~。俺たち、とうとう同期3人だけになった時~~。頑張って行きましょう会~~。輪湖のアパートで3人で決起会、やったの~~。」
そこまで言って虎一郎、
「まっ。ただ、その1回切りだけど…。場所…、覚えてたから…。」

葉子、虎一郎の話に、輪湖を見て、
「だっけ…???」

輪湖はまだ熱で思い出す事が出来ずに困惑の表情。

葉子、虎一郎に、
「良く覚えてたね~~。私なんて、完璧に……。…ん…???…あっ。…はいはい。思い出した~~。確かに。…あんとき、一気に3人…。ひとりは辞めて…。2人は異動~~。2人とも、宮城~~。」

虎一郎、
「あ~~。宮城。阿彦(あひこ)と友道(ともみち)。会えるかな~~と思ったら…。…結局、2人共に、異動の次の年に辞めたんだって。空気が会わないって…。」

葉子、
「へぇ~~~。」

虎一郎、
「それより輪湖…。」

葉子も、
「うん。」
そして、
「確かに。いきなり熱、40度。完璧に体…参っちゃう。」
そこまで言って葉子、
「へっ…???…輪湖、あんた…。お医者さんには行ったよね。薬あるから…。救急車…???」

その声に輪湖、困ったような顔で右左に…。

「へっ…???…て、事は、自分で…???」

また顔をコクリと輪湖。

「うそ。40度の熱で…。」
そして葉子、顔をクシャリとさせて…。
「やだ。あんた。あちこちにインフル撒き散らして…。」

輪湖、思わず葉子に舌をチロリと…。そして、小さな声、掠れた声で、
「先生に、怒られた。無理しないで~~。そういう時は、救急車呼びなさいって。」

目をパチクリと葉子、
「わお。あららら。」

すると輪湖、葉子にあるものに指差して。

葉子、
「ふん…???」
その指の先を…。
「クッション…???」

輪湖、コクリと…。

そして…、葉子からクッションを受け取って、背中に…。

ゆっくりと体を起こす輪湖。

葉子、
「ふんふんふん。…でも、大丈夫…???…昨日の今日よ…???」

輪湖、ニッコリと、
「後でゆっくり休むから。…もうひとつ、くれる…???」

「あ、うん。」

何とか、座椅子程度に近い恰好に…。

ようやく秀美の顔が見れた。輪湖、
「…で、昨日…、どうだった…???…秀美ちゃん。」
そして輪湖、
「これでも、心配したんだから…。可愛い後輩が出来て、葉子とふたり、喜んでたんだから…。」
ゆっくりと、静かに、小さく話す輪湖。

葉子、口を真一文字に。そして秀美を見て…。
虎一郎も秀美を見つめたままで…。

秀美、
「実は…。……。あれから…、おかあさんとは、口…、利いてない。」

虎一郎、
「なんと…。」

「ただ…。」

葉子、
「ただ…。」

「後々…、おかあさん、部屋に入ってきて…。」

輪湖も葉子も虎一郎も頷く。

「あんた…。いい友達持ったねって。」

虎一郎、
「おっと~~。」

輪湖、
「葉子~~。」

葉子、頭をコクリと。
「うん。」
そして…。
「まっ。最初は普通のおかあさん。応接間に通してくれたのよね、私たち。」

輪湖、コクリと。

「まっ。最初は、仕事の話で10分くらい…???…で、軽くジャブみたいな感じで、秀美ちゃんの子供の頃の事。そして学生時代の事。…そしたら、いきなり。あなたたち、何を仰りたいの。…と、来た。」

虎一郎、また、
「おっと~~。」

「まっ。隣に課長もいたから、いざとなったら…。って、フォローを期待して…。男性だからね~~。おかあさんに突っ込んでダイレクトに。アパートに一人暮らしの方が秀美ちゃんには環境的にいいですよって。…そしたら、もぅ~~。機関銃みたいに捲くし立てる。」

輪湖、目を真ん丸に。

虎一郎、
「わ~~お。」

「こういうのを…、髪を逆立てると言うか…。」

輪湖、思わず顔をクシャリと…。

葉子、
「でもさ…。息せき切って捲くし立てた後のおかあさんの表情。…思わず、私、顔…、傾げちゃった。」

瞬間、キョトンとした顔の輪湖。

虎一郎も、両眉を吊り上げて、
「へっ…???」

葉子、
「だ~~ってさ~~。あまりにも滑稽で~~。あれじゃ、逆にこっちが頭、疑っちゃう。言いたい事言ってスッキリした顔してるんだも~~ん。思わず、この人…、バカなのって…。秀美ちゃんの前では、あれだけど…。娘の事より自分の事ばかり…。」

いきなり笑いたい衝動に駆られる輪湖。

こんな私です。~選葉子(すぐりようこ)~   vol,189.   「体は…かなりのダメージ…。」

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Source: THMIS mama “お洒落の小部屋