ドキドキ その女性を見て、海江田、僅かに頭を傾げて。
虎一郎も同様に。

そしてふたり共に、頭の中で、
「…旅行客…???」

匡子、女性にグラスに水を。

女性、ニッコリと、
「あっ。ありがとう~。」
ハッキリとした声で。
女性、匡子に、
「ねね。ママ。お店の看板、凄い素敵ね~~。」

その声に匡子、
「あっ。はい。え~~???…ふふ。ありがとうございます。」

女性、
「うん。素敵。お店も可愛い~~。」

匡子、ニコニコと照れながら、
「ありがとうございます。お客様、こちらへは…???」

「あ~~、うん。10年前に、住んでたけどね~~。また、戻ってきちゃった。ふふ。」
「そうでしたか~~。」

女性、ニコニコと、
「はは。社長命令ってヤツ…???…な~~んてね。」

何かしら輪湖、何気に後ろに首を…。そして輪湖も頭の中で、
「…奇麗な声の人~~。」

女性は後ろ髪をリボンで留めている。そして前髪は両サイドに…。

女性、匡子に、
「今まで神戸にいたんだけど、社長から呼び出されちゃって~~。」

匡子、ニコニコしながら、
「そぅなんですか~~。」

「まっ。一年だけなんですけどね~~。」
女性、メニューを見ながら、
「シンガポールに出向なんですって~~。私がこれから行くところの部署の人~~。」

その瞬間、海江田、目を見張って、
「…ん…???」

すると、隣の葉子も、顔を僅かに右に…。
「…ん…???」
そして…、
「課長…???」
一言。

その声に海江田、葉子に…。顔は見ずに…。
ゆっくりと椅子から離れる海江田。そしてその女性のテーブルに…。

匡子、いきなり獏を見て目をパチクリ。
「ふん…???…獏…???」

獏、女性の前に。そしてお辞儀をして、
「失礼ですけど…。」

いきなり後ろを振り向く虎一郎、輪湖。
首だけ僅かに左に秀美。
葉子はそのままで…。

その声に女性、男性を見てニコリとして、
「はい。」

獏、
「失礼ですけど…。もしかして…、百貨店扶桑の…???」

女性、2度程瞬きをして、
「え…、え~~。…そうですけど…。これから1年、お世話になるところですけど…。」
そして頭を僅かに傾げての女性、男性を見て、
「あなたは…???」

獏、思わず姿勢を正して。

匡子は女性の声に、目を見開いて口を窄める。そして、頭の中で、
「…わ~~お、扶桑~~。」

獏、そんな女性に、頭をコクリと。
「すみません。いきなりで…。私、その、百貨店扶桑の、営業推進部で、課長をやらせてもらっている、海江田と申します。」

いきなり後ろで虎一郎、ビックリとした顔で、輪湖に、
「わわわ。おぃ。あの人、もしかしてシステム企画の…。」

輪湖、ムスッとした顔で虎一郎を見るが、けれども表情を変えて、
「う…、うん。」

秀美、
「じゃ~~。日比谷部長の…後任…。」

葉子、サワーを一口、
「そう…なるのかな~~。」

「…って、葉子、そんな…、自然に…。」
輪湖。

その声に、
「じろじろと見る方も、ある意味…。」
葉子。

輪湖、
「おっと…。」
そして左手で虎一郎の右肩をグィッと。
「ほぃさ。」

虎一郎、体の向きからワンテンポずれての顔。
「あ、あ~~。」

匡子、笑顔で、女性に軽く一礼をしてその場を…。

女性、ニッコリとして、
「あら~~。偶~然~。はは。」
そして右手を出して、
「初めまして。百貨店扶桑、関西支社。コンプライアンス部の、松樹美知佳(まつきみちか)と申します。」セカンドバッグから名刺を取り出し目の前の男性に渡す。

海江田も、内ポケットから名刺入れを取り出し名刺を…。
「海江田と申します。」

美知佳、丁寧に頭を下げて、
「頂戴致します。」
けれどもいきなり顔を崩したように、
「ふふ。…でも、同じところに勤務して…。」
そして僅かに頭を傾げて、
「まぁ…。…とは言え、地域性がね…。東京と神戸。全然地理的に思いっきり別々だし。」

海江田、
「あ、あ~~。」
笑いながら、
「はははは。はい。」

そして、美知佳、
「よろしかったら…、ご一緒に…???」

その声に海江田、思わず頭を撫でて、
「あ、あ~~。ははは。」
そして葉子たちを見て、
「実は…。」
右手をカウンターの4人に…。
「彼女たちと一緒で…。」

美知佳、すぐさまカウンターの4人を見て、
「あらまぁ~~。」
そしてニッコリと、
「海江田課長~~。おモテになる~~。ふふ。」

海江田、
「いえいえ。」
左手を振りながら…。
「そんな…。…でも…。実は、彼女と左端の男性も、扶桑の社員でして。」

美知佳、
「あら~~~。」
すると、
「うんうんうん。私も、今、こっちに来たばかりで、すぐさま百貨店、見ておこうかって…。…で、近くにある食事できる場所、探してたのね。なんと、偶然~~。」

海江田、
「彼女たち、財務企画部の…。」

美知佳、
「へぇ~~~。じゃ、陣屋さんの~~。」

こんな私です。~選葉子(すぐりようこ)~   vol,177.   頭の中で、「…旅行客…???」

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Source: THMIS mama “お洒落の小部屋