「そして。私たちは、これからも、このままで…。一緒にいられるって…。」
葉子。
輪湖も、
「うんうん。」
虎一郎も匡子も、頷いて、共に、
「うんうん。な~~るほど~~。そういう事か~~。」
海江田、
「はは、良かったね~~。秀美ちゃ~ん。」
そんな海江田に秀美、ニッコリと。
「はい。」
輪湖、
「ふふ。…でもねぇ~~。そっか~~。秀美ちゃん。大変だね~~。おかあさん。…そんなに…凄いんだ、気性…???」
その声に秀美、コクリと。
「凄いです。…私が…、中学3年の…。確か…、大学…受験勉強辺りから…。一気に…。それまでは、そんな…風でも…。でも、それからは…。」
輪湖、口を丸く、
「へぇ~~~。」
海江田、
「まっ。実際、いろんな母親…、いますからね~~。」
匡子、
「…って言うか、獏~~。つまりは、謎が…。」
虎一郎、
「謎…???」
匡子、
「ほら。つまりは~~。コイっちゃんの~~。聞きてぇよ~~が、自然に…。」
「あ、あ~~~。」
海江田、
「待てば海路の日和あり。ってね~~。」
そして獏、
「まぁ~~。…でも、実際、秀美ちゃんも、秀美ちゃんで、何が何だか分かんなかったみたいだったから…。選さんたち、話してくれるだろうって事は、分かってたから…。」
輪湖、いきなり、
「かかかか、さっすが、課長~~。」
「それくらいは…。ですよね、課長~~。」
葉子。
その声に海江田、
「えっ…???」
葉子に。思わず頭を撫でて、
「あ、いや…。参ったね~~。」
「私、子供の頃から、友達には恵まれてたんです…けど…。不思議な事に、友達が出来ても、私の傍から離れて行っちゃう。友達に、どうして…???…って聞いても何も言ってくれない。」
そんな秀美の話しを聞きながらそれぞれ…。
「……。」
「それが、私、高校に入る頃まで。」
輪湖、そんな秀美を見て、
「うん。…それから…???」
「初めて、好きになった男子がいて、付き合い始めて。」
匡子、黙ったままで秀美の話しを。
「うん。」
葉子は真っ直ぐ前を…。
海江田はビールを一口。
「一度だけ…、その彼が家に遊びに来た事があったの。」
虎一郎、
「へぇ~~~。」
そんな虎一郎に輪湖、ムスッとした顔で…。
「…でも…。彼が帰る時、何だか困ったような顔で…。」
葉子、
「彼…、おかあさんと、何かあったね。」
ポツリと…。
その声に、匡子も、コクリと、
「うん。」
輪湖、そんな匡子と葉子を見て、
「へっ…???…何が…???」
そして秀美を見て…、
「秀美ちゃん…???」
秀美、コクリと…。
「その日の夕方、彼に電話したんだけど…。もぅ…、会うのよそう…って。」
その話しに輪湖、いきなり、
「えっ。ちょ…、ちょっと待ってよ。えっ…???…いや…。…なんで…???」
「大方、彼、おかあさんから何か言われた。」
葉子。
「かなり、失礼な事。高校生でも分かるような…。」
淡々と話す葉子。
「えっ…???…そうなの…???」
輪湖、秀美の背中を右手で撫でながら。
秀美、
「ウチの子はあなたみたいな子とは釣り合が取れないの。身分をわきまえなさい。何なの、その格好。」
静かに話す秀美。
その話しに輪湖、いきなり目を見開いて、
「え~~~~っ!!!…何、それ~~~???」
虎一郎、思わず項垂れて、
「いやいや、ひで~~な~~。…いくらなんでも…。そんな…。その男子って、初めて家に来た子でしょ。それも、秀美ちゃんのおかあさん、一度しか会っていない。」
そんな虎一郎の声に秀美、頭をコクリと…。秀美、また下を向いて…。
「あの時が…初めて…。おかあさんの本性を知ったと思った。…今までどうして…、友達が出来てもいつかは私の傍から離れて行く。…不思議で仕方がなかった。」
「つまりは…。…おかあさんが全て…。秀美ちゃんをおかあさん自身が独占したかった。秀美ちゃんを我が物にしたかった…、とか…。…まっ。確かに、我が娘でもあるんだけど…。…他人と結びついて欲しくなかった。」
葉子。淡々と話しながらも、
「ある種の毒親。」
葉子の隣で海江田、
「ん~~~。」
そして、
「…で…???…それからどうなったの…???…秀美ちゃん…???…なんだか…変わりたいって…。」
秀美、一度、サワーを飲んで、ゴクリと。
「それから…。おかあさんが外に出掛けた時におとうさんにおかあさんの事、訊いたんです。」
虎一郎と輪湖、コクリと、
「うん。」
「おとうさん、おかあさんの事、昔はあんな風じゃなく優しい女性だった。」
そして、
「多分…あの頃から変わった…のかも…。って。」
それぞれがその声に、
「あの頃…???」
秀美、ポツリと、
「私が生まれたのって…。おかあさん…、38歳の時。」
瞬間、葉子、両目を左右に、
「高齢出産。」
輪湖と虎一郎、
「あ~~。うんうんうん。そんな風に…。」
こんな私です。~選葉子(すぐりようこ)~ vol,175. 「そして。私たちは、これからも、このままで…。」
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庄司紗千 「雫音〜shizukune〜」
※ご本人の承認の下、紹介させて戴いております。